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未来の音楽


先日、娘にとって大切なピアノの試験が終わった。
音楽院の第3過程に進む飛び級試験で、
2ヶ月前からそのための準備をしていた。

審査員は院長先生と外部からの先生の3人で、
写真は娘の先生が送ってくださった。

試験は土曜日の午前中、私は仕事があったので
夫が付き添った。
試験の時間中はソワソワソワして待っていたら
審査員の賞賛つき満場一致で合格、
という良い結果が届いた。
とても集中して良い演奏をしたそうだ。
いつも厳しいヴェロニク先生も、
ずいぶん褒めてくださった。

この頃娘のピアノはずいぶん変わったのだ。

とにかく好き!は感じられるが
荒削りで自由奔放だった演奏が、
正確さと音の幅の深さを求める
素晴らしい先生方のおかげで、
意思の強さを感じさせるしっかりした演奏になってきた。


そしてこの日の夜は
私たち夫婦も
勤めている音楽学校の講師コンサートという
本番があった。

私は
グリンカの悲愴トリオ
プロコフィエフのチェロソナタ
ブラームスのクラリネットトリオ
メンデルスゾーンの連弾
と、4曲を弾いた。

2週間前に満足の行く演奏ができなかった
グリンカがこの日は気持ちよく演奏できて嬉しかった。

ブラームスのトリオは
クラリネットのオディールが大ファンの
イヴクラインブルーをバックに弾いた。

深い海の底から聴こえてくるようなチェロの出だし、
中間部のクラリネットの切ないメロディーが
胸を打つ大好きな1曲だ。


夫との連弾では
ノルウェー人の画家で友人のトーヴェの作品を
飾らせて貰った。
聴きに来てくれたトーヴェも、とても喜んでくれた。

娘に励まされて舞台に立てた夜、
チェロのエルザ先生と楽屋で話した。

こうして仲間と音楽をできることは
なんて幸せなんだろうと。


コンサートが終わったのは23時近く。
長い1日が終わって疲れ切っているのに
興奮冷めやらず
次回のプログラムの話を続ける娘に思わず微笑した。

秋からは中学校に行かずに
ホームスクールをしながら
地方音楽院の第3課程に進む彼女には
ピアノやソルフェージュの他に
室内楽や初見など他の授業も増える。

これから音楽の仲間がどんどん増えていくだろう。

今の私にできることは
音楽って楽しいよ、ハーモニーって素敵だよと
自ら見せることだけかもしれない。

しかしそういう私もまた
彼女から毎日何かを学んでいるのだ。






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