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究極の舞台

究極の舞台

もう既に2ヶ月前のことだ。
あまりに大切な思い出として
どう書いて良いのかわからないほど
感動した夜について。

3月半ばに
夫がアーティストディレクターを務めるフェスティバルに
パリ在住のピアニスト務川慧悟さんをご招待した。

プログラムは
バッハ、西村朗、バッハ=ブゾーニ、
ショパン、ラヴェル。

前週のレオノーラ・アルメッリーニさんの
コンサートに引き続き
娘と、親友のニナと一緒に聴いてきた

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子供の情景

子供の情景

サマータイムから
すっかり日照時間が長くなり、夏休みまであとひと月。
フランスは年度末だ。
5月は連休が続き、花が咲き乱れる中
あちこちでイベントがあり
子供達も浮き足立って落ちつかない。

そんな中、娘は6月に3回、
リサイタルを予定している。

今まで私達両親や友達、先輩達と
一緒に様々なコンサートに参加してきたが
ひとりで1時間近く弾くリサイタルは初めてだ。

昨日は日帰りでパリに、
ピアニ

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Burlesque について

Burlesque について

Burlesqueと呼ばれる滑稽喜劇映画を続けて観た。

まずは
私たち家族が
毎月開催している土曜クラシックの5月のゲストが
ジャズピアニストのロベール氏と
映写技師のアンドレさんによる
映画コンサートだった。

アンドレさん、元々はトランペット奏者で
音楽院の院長先生だったと
奥様から聞いてびっくり。
映画好きが高じて映画技師にもなったそう、
素敵でしょう。

ジャズピアニストのロベールは、

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未来の音楽

未来の音楽

先日、娘にとって大切なピアノの試験が終わった。
音楽院の第3過程に進む飛び級試験で、
2ヶ月前からそのための準備をしていた。

審査員は院長先生と外部からの先生の3人で、
写真は娘の先生が送ってくださった。

試験は土曜日の午前中、私は仕事があったので
夫が付き添った。
試験の時間中はソワソワソワして待っていたら
審査員の賞賛つき満場一致で合格、
という良い結果が届いた。
とても集中して良い演奏を

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静かに正確に燃やすこと

静かに正確に燃やすこと

先日、あまりピアノを練習してこなかった言い訳に
オリンピックマスコットを学校から
持ち帰ったから、という子がいた。

マスコットって、フリージュのぬいぐるみ?
で、何してたの、そのマスコットと?

と聞くと
それはもういろいろ、と
さぞ大変だったという様子で彼女は話し出した。
一緒におやつを食べたりブランコに乗ったり‥。

あまりにオリジナルな言い訳に
私は笑い出してしまった。

白血球みたい、な

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音の繋がり

音の繋がり

どうしてママはソロの曲を弾かないの?と
娘に時々聞かれる。

思い出したように
バッハやショパンをさらっては
また楽譜を仕舞い込んでいる様子を見ているのか、
あれ、もう聞こえないなと思っているのか、
まあとにかく心が一瞬でギクッと疼くことを
子供というのは外せないタイミングで言うものだ。

だって時間がないんだもん!と言うのが
いちばんの言い訳。
才能も努力も足りなかったことは事実だけれど、
ソリ

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ようこそ我が家へ

ようこそ我が家へ

このごろ外出中に思うのは
「早く帰ってピアノを弾きたい」
こればっかりだ。

なぜなら我が家には
3週間から新しいピアノくんがいるのである。

中古ピアノ探しの旅に出てから4ヶ月、
いろいろなピアノに出会った。
業者さんのところでも
個人のお宅でも
それぞれのピアノに
物語があって興味深かった。

あるお宅でのスタインウェイ。
素晴らしい音色に
少々予算を超えても、と心が動いたが
メカニックに故障

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Be strong

Be strong

夫が芸術監督を務める
Les soirs du piano フェスティバルで
今年も素晴らしい演奏を聴いた。

イタリア人ピアニスト、レオノーラ・アルメッリーニ氏は
前回のショパン国際ピアノコンクールの入賞者だ。
夫が何度もラブコールを送り
演奏会が実現した。

リハーサルに夫は
娘と、彼女の親友ニナを連れて行った。
ニナのママはイタリア人、
マネージャーさんとのメールのやり取りでは
ずいぶん助け

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大切なことはすべて子どもたちに教わった

大切なことはすべて子どもたちに教わった

マルセイユの猫劇場で紙芝居コンサート6公演。
忘れないうちに記録を残しておこうと思う。

50分くらいのプログラムを、という依頼だったので
今回は紙芝居を2本することになった。

まずは
「おおきく おおきく おおきくなあれ」
(まついのりこ作)

この参加型の楽しい紙芝居は
娘が小さな頃から大好きで、
コンサートでも日本語の授業でも大活躍、
ここに湯山昭氏のお菓子の世界の音楽をつけた。

そして

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猫劇場の舞台で

猫劇場の舞台で

猫の看板が目印の
Théâtre des chartreux という劇場で
紙芝居コンサートをしてきた。

Chartreux シャルトルーというのは
マルセイユ4区にある地区の名前で
中にChat(シャ=猫)が入っている言葉遊びなのだそう。

小さなアップライトピアノと紙芝居の舞台が
なんだかレトロで良い感じ。
この舞台で
2月28日から4日間に渡り6公演!

なかなかハードな、
すごーく貴重な

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好きになりたい

好きになりたい

2月も残りわずか、桃の花が咲き始めた。
スキー休みと呼ばれる休暇が始まったけれど
いくつもの本番を控えているので
普段よりも忙しい。

そんな中、英語の宿題である
星の王子様を読んでいる。

先週、9歳の生徒くんに読書は好き?と聞いたら
生真面目な様子で
「好きになりたいんです」
と返ってきた。

好きでも嫌いでもなく
好きになりたいという
思いがけない言い方に胸を打たれ
粋なこと言うわね、、と

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ボージャングルを待ちながら

ボージャングルを待ちながら

眠りにつく前に
明日は
何の本を読もう
何の曲を弾こう
とワクワクしていられることは幸せだなあと
ふと思った。

日々のルーティンを大切にする男性を描いた
映画パーフェクトデイズを観たあと、
正反対の世界を表す本を読み終わった。

ちょうどバレンタインにぴったりの
ロマンティックなラブストーリー。
デュオを組んでいるチェリストのエルザが
貸してくれた。

フランス人作家のオリヴィエ・ブルドー氏の

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マリア・カラスというオペラ

マリア・カラスというオペラ

2ヶ月ぶりの土曜クラシックは
ソプラノ歌手のジュリア・クネシュト氏による
マリア・カラスのへのオマージュだった。

ジュリア自らが脚本を書き
フランス各地で様々なピアニストと
コンサートを行なっている。
今回は、うちの夫が伴奏を務めた。

会場には45分前からお客さんが入り
あっという間に客席が埋まった。
ホールのあちこちから
あるだけの椅子を置いても足りず
両脇の階段にも座ってもらう。

人々の

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音楽のもたらしたモノは

音楽のもたらしたモノは

教育コンサート期間が始まった。
私の勤務する音楽学校は市の経営なので
町の幾つかの小学校を招待して
今日、来週の木曜金曜と全部で6公演する。

今年はメロディーというバレリーナの卵の話で
青がテーマカラーだ。

私もピアノ連弾、クラリネットやチェロとのデュオの他にオーケストラの一員としても弾いている。

大忙しではあるが
たくさんで作り上げる舞台は本当に楽しい。
午前の部と午後の部の間には
レスト

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