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尻トレ効果を効率よく得るために知っておきたい事~骨盤の傾きに着目して~

近年の尻トレブームにより、尻トレに特化したジムやトレーナー、スタジオプログラムやトレーニングメニューがどんどん増えてきていますね。

全身の中で最も大きい筋肉であることから、メリットの多い尻トレ。女性のコンプレックスをチャームポイントに変えることができるという点でも、やはり鍛えて損はない部位だと思います。

しかし、沢山の筋肉が関与する大きな関節で働く筋肉が故に、なかなかピンポイントで効かせられなかったり、思うような効果を得られていない人もいるのではないでしょうか。

効かせられない原因として、誤ったトレーニングフォームやセット数など、様々な事が考えられますが
その中でも今回は、”骨盤の傾き”に注目して解説をしていきます。

自分の骨盤の傾きと、それによって考慮すべき点を知って、効率的な尻トレを目指しましょう!


解剖学的な理解

殿筋群

お尻の筋肉は、主に大殿筋、中殿筋、小殿筋の3つから構成されています。これらの筋肉は、骨盤後面から大腿骨後面に向かって付着しており、股関節の動作に大きく関与します。

殿筋群で最も大きな大殿筋は、単一筋として全身の中でも最大であり、その殿筋群が働く”股関節伸展”は全身の中で最も大きな力を生み出します

骨盤の傾き

骨盤は、通常やや前傾気味に位置しています。いわゆる良い姿勢の状態です。

しかし、骨盤に付着しているあらゆる筋肉の弱化や硬直、日常生活での姿勢の悪化が原因で、前後に傾きすぎてしまうことがあります。

骨盤前傾の原因と特徴

骨盤の過度な前傾を「反り腰」とも言いますが、その原因はいくつかあります。

・大腿四頭筋や腸腰筋など、骨盤前面と”腿骨前面を結ぶ筋肉の硬化
・殿筋群やハムストリングスなど、骨盤後面と大腿骨前面を結ぶ筋肉の弱化
・広背筋など、骨盤後面と脊柱を結ぶ筋肉の硬化
・腹直筋など、骨盤前面と肋骨を結ぶ筋肉の弱化

これらに当てはまる人は、ヒールをよく履く人や、体の前で大きい荷物を抱えることが多い人、妊娠後期もしくは妊娠・出産経験者、立ちっぱなしで爪先重心になっている人が多いと思われます。

太ももの前側が骨盤よりも前に出て張っていませんか?
壁に背中と踵をつけて立った時に、腰の隙間が広くないですか?
そんな人は、反り腰になっているかもしれません。

骨盤後傾の原因と特徴

”骨盤前傾”とは反対に、骨盤が後ろに傾く”骨盤後傾”の原因はこちらです。

・大腿四頭筋や腸腰筋など、骨盤前面と大腿骨前面を結ぶ筋肉の弱化
・殿筋群やハムストリングスなど、骨盤後面と大腿骨前面を結ぶ筋肉の硬化
・広背筋など、骨盤後面と脊柱を結ぶ筋肉の弱化
・腹直筋など、骨盤前面と肋骨を結ぶ筋肉の硬化

これらに当てはまる人は、靴の外側が擦り減りやすい内股の人、デスクワークが多く猫背気味の人、椅子に座る時に浅く座る人、よくポケットに手を入れて歩く人などが多いと思われます。

前屈が苦手ではありませんか?
壁に背中と踵ををつけて立った時に、腰の隙間に手が入りずらくはないですか?
そんな人は、骨盤が後傾しているかもしれません。

尻トレへの応用知識

伸長系と短縮系

尻トレには、骨盤が前傾した状態で行う種目と、骨盤を後傾させた状態で行う種目があります。それぞれのトレーニングにおいて、骨盤がどのような状態であり、お尻の筋肉がどう収縮しているのかを理解しておくことで、尻トレの効率がぐんとアップするでしょう。

スクワット

例えば、筋トレの王道であるスクワット。お尻を含む下半身全体を鍛える事ができるスクワットは、股関節を大きく屈曲させて負荷をかけます。
股関節が屈曲する際、殿筋群は伸長しながら大きな力を発揮しますが、しっかり伸長させるためには骨盤前傾位で行う必要があります。

ヒップスラス

by personaltraining Rient

尻トレブームによってメジャーとなった、ヒップスラストはどうでしょう。
ヒップスラストは、股関節を伸展させて行いますが、この時の殿筋群は短縮性収縮によって大きな力を発揮します。
筋をより活性化させるために最大収縮を狙う場合は、骨盤を後傾させるような動作が求められます。ですからヒップスラストは、骨盤を後傾させて行う種目と言えるでしょう。


このように、同じ”尻トレ”でも動きの種類が異なり、骨盤は反対の動きをしています。尻トレには、二面性があるのです。

殿筋の伸縮率

骨盤後面から大腿骨後面に向かって付着している殿筋群。筋の起始と停止場所は変わらないので、この二つの骨の傾き、つまり股関節の角度によって筋は伸縮して長さが変わります。


もともと骨盤が過度に前傾している人

骨盤が過度に前傾している人は、股関節が大きく屈曲しています。よって、股関節をさらに大きく屈曲させるスクワットの動作は、筋トレ初心者でも取り入れやすく得意としています。しかし、スクワットを行った時の殿筋群の伸張率は、正常あるいは後傾している人よりも低くなります。

スクワットとは反対に、股関節を伸展させるヒップスラストの動作は少し苦手かもしれません。ただし、最大限伸展させることができればかなり高い収縮率で負荷をかけることが可能です。

これが骨盤が後傾している人の場合、全く逆のことが言えるでしょう。

もともと骨盤が後傾している人

骨盤が後傾している人は、元々股関節が伸展気味です。よって、股関節をさらに大きく伸展させるヒップスラストの動作は、取り入れやすく得意としています。しかし、殿筋群の収縮率は、正常あるいは前傾している人よりも低くなります。

ヒップスラストとは反対に、股関節を屈曲させるスクワットの動作は少し苦手かな傾向があります。ただし、最大限屈曲させることができればかなり高い収縮率で負荷をかけることが可能です。


このように、尻トレ動作の基盤となる骨盤の傾きと種目の関係により、それぞれの効果が対等ではないことがわかります。もちろん効果の度合いには、トレーニングの正確さや、やり方が大きく影響しますので、効果が得られない原因を断言することはできませんが、

反り腰の人が股関節屈曲系のトレーニングばかりやって効果が得られない場合や、骨盤後傾の人が股関節伸展系のトレーニングばかりやって効果が得られない場合
原因は、伸縮率にあるのかもしれません。

傾きを助長する危険

自分の骨盤の傾きと、尻トレの二面性が理解できたなら予想がつくと思いますが 
”自分の骨盤【前傾】×尻トレ動作中【前傾】” あるいは "自分の骨盤【後傾】×尻トレ動作中【後傾】"の組み合わせは、自分の骨盤の傾きを助長する危険があることを念頭に置いてトレーニングを行いましょう。

傾きをさらに大きくさせるような動きを、大きな負荷をかけて行うわけですから、体のバランスが悪化する可能性は高いと考えられます。
骨盤の傾きのせいで既に不調が現れている人は、特に注意が必要ですね!

まとめ

尻トレの成功の秘訣は、”骨盤の傾き”への理解と言っても過言ではありません。
尻トレの二面性や、殿筋群の伸縮率などを理解した上で、まずは骨盤を整えることから始めるのが良いかもしれません。

骨盤が正常に位置していれば、種目を厳選せずとも、ある程度の効果を得られるでしょうし、骨盤を整え姿勢を正すことで得られるメリットは、他にもたくさんあります。

効率の良い尻トレのために、自分の骨盤に注目してみてくださいね!

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