大切な人に4℃をプレゼントした時の話
この時期になると決まってTwitterで槍玉に上げられる4℃。
デザイン、質、値段、なんやかんや言われがちだが、私は大切な人に4℃のアクセサリーをプレゼントしたことがある。
私の母親だ。
母は4℃が昔から好きで、結婚記念日、誕生日など、節目節目で私の父親に4℃を買ってもらっていた。
結婚30周年のときには、ゴールドの馬蹄のネックレスを買ってもらったと私に自慢してきた。
華奢でシンプルなデザインで、上品な母によく似合っていた。
そんな訳で、私の中では長らく「4℃=母の好きなブランド」というイメージだったので、SNSでこき降ろされているのを見た時はそれはそれは悲しかった。
いつか母に4℃のアクセサリーをプレゼントしたい。
私の目標になった。
しかし、地元を出て一人暮らしと大学生活を謳歌していた私は、 自分の生活にばかり目がいってしまい、貯金は留学で使い果たし、母に4℃をプレゼントしたいな〜という思いだけを薄らぼんやりと抱えながらも、結局実現できないまま大学を卒業してしまった。
その後、私は社会人2年目で仕事のストレスからうつ状態になってしまい、休職してしばらく実家に戻ることになった。
ベッドに横たわって泣くことしかできない私を、母は「今までよお頑張った」と慰めてくれ、毎日美味しいご飯を作ってくれた。
1ヶ月ほど実家で休養し、転職活動のために一人暮らしの家へ戻った。
転職活動は難航したが、無事内定を貰うことができた。
転職先が遠かったため新たな物件探しをしたり、退職手続きなどに追われたりする日々。
ふと、「そうだ、母に4℃を買おう」と思った。
どうやらルクアイーレに店舗があるらしい。
ブランドのアクセサリーを買いに行くなんて初めてだ。
あまり適当な服装だと良くないだろうから、手持ちのちょっといい服で綺麗めなコーディネートを見繕い、梅田へ繰り出した。
ルクアイーレは高めのブランドが沢山入っているから、普段はあまり行かない。
ビビりながら4℃の店舗に近づき、そーっとショーケースを覗いた。
おお、なんか全部キラキラしてる……可愛い……!
これは店員さんに声をかけて良いんだろうか。
ショーケースのやつはお願いしたら出してくれるんだろうか。
てかいっぱいありすぎて迷う迷う……
勝手が分からず店内をうろうろしていると、店員さんが声をかけてくださり、あれこれと商品を出してくださった。
「贈り物ですか?」
「あ、はい…母親に…。高校卒業して実家出てから何もしてあげられてなかったんで…」
店員さんはニコニコしながら私の話を聞いてくれ、「話してくださってありがとうございます」と言ってくださった。
素敵な返しだな、私も使おうと思った。
迷った末に、淡い桃色の小さな石が3つ連なったイヤリングにした。金具はピンクゴールド。栗色の髪の母にきっと似合うはずだ。
転職前、母が引越しの手伝いに来てくれた時に、イヤリングをプレゼントした。
凄く驚いた様子で「高かったんじゃないん?」「いいの?」としきりに言いながら、でもとても嬉しそうだったのをよく覚えている。
その場で着けてもらったら、耳元で小さな石がキラキラ揺れて可愛かった。
プレゼントしてよかった〜。
いつか自分でも買いたいな。
やっぱり、4℃は私にとって、大好きな母が大好きなブランドだ。
どうか母が、4℃を馬鹿にする人達の心無い言葉を目にしませんように。
ずっとずっと、母を彩る特別な宝石でありますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?