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【読書感想文】2022年に読んだ本の中でベストかもしれません…『サイコロジー・オブ・マネー』

今回紹介するのは、モーガン・ハウセル 著、児島修 訳の『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』です。

本書は私がよく見る投資系YouTuberの方々がおすすめしている1冊。投資や一生お金に困らない方法について知りたくて読んだのですが、結果的にお金のことだけではなく、人生やよりよく生きる方法について学べました。

また、序盤から著者の言葉の優しさにグッときてしまい、泣きそうになってしまったところもあります。

私が泣きそうになった部分①: テールイベントについて

テールイベントとは「たまにしか起こらない少数の事象」のことですが、そのテールイベントこそがファイナンスやビジネスや人生に大きな影響をもたらすと著者は述べています。

ウォーレン・バフェット(「投資の神様」と呼ばれる有名投資家)がいかに間違った選択をし、お粗末なビジネスをし、買収を失敗させたかについては誰も語らない。しかしそれらはバフェットのストーリーの大部分を占めている。これらの失敗はテールイベントがもたらす莫大なリターンの裏側に隠れているのだ。
バフェット自身、自らの投資会社バークシャー・ハサウェイの2013年の株主総会で、生涯で400から500の銘柄を所有し、そのうちの10銘柄でほぼすべての利益を得てきたと述べている。(中略)
ロールモデルとなる成功者が特別な注目を集めるとき、その利益がごく一部の行動から得られたものであることが見落とされがちになる。 その結果、私たちは成功者が完全無欠の存在であるような錯覚に陥る。
そして、自分が失敗したり、損失を出したり、挫折したりしたときに、何か間違いを犯したような気分になって落ち込んでしまう。だが実際には、私たちはお手本と なる人たちと同じように、あるときは正しく、あるときは間違っているだけなのである。

モーガン・ハウセル 著、児島修 訳
『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』より

この最後の一文がめちゃめちゃ響きました。自分の人生も憧れの人たちの人生と同じく、ある部分では正しくて、違う部分では間違っていただけなんだなと。だから人と比べて「なんで自分の人生はうまくいかないんだ〜〜」って悔しがる必要はなく、「氷山の一角の成功に光が当たっているだけで、その下には幾億もの失敗や苦悩が眠っているのかも」と思えばいい。

現代ではSNSで「充実した自分」を発信してる人がいますが、それは「いいときの自分」を切り取って発信しているだけであって、「よくないときの自分」は発信しないと言いますよね。投稿だけ見ると「この人は楽しそうな人生でいいな〜」と思ってしまいがちですが、その人も一部の時間が楽しいだけであって、SNSには映っていない辛い時間もあるのだということを忘れてはいけません。

このように、他人の成功や幸せを「ニュートラルな視点で見る」ことの大切さをものすごく思い知らされました。そして自分の人生を悲観したり卑下したりしてはいけないということも学びました。

私が泣きそうになった部分②:運とリスクについて

もう一つ感激したのは、「運とリスクを考慮することが大切である」という部分。人生のあらゆることは、その人の判断や知識・手腕などによって結果が左右されると思われがちです。しかし著者は「運を見過ごしてはいけない」と主張しています。

私たちをより良い方向に導いてくれる指針は2つある。
誰かを絶賛して「こんなふうになりたい」と憧れたときや、誰かを見下して「こんなふうにはなりたくない」と思ったときには気をつけること。加えて、誰かの成功や失敗の原因が100%、その人の努力や判断にあると思い込むことにも注意が必要だ。(中略)
大切なのは特定の個人や事例ではなく、もっと大きなパターンに注目することなのだ。特定の人物や事例を良い(悪い)手本にしようとするのは危険である。そのような場合、対象になるのはたいてい億万長者やCEOの成功例や、ニュースで話題になる大失敗など、極端な例である。だがこうした極端な例から、誰にでも当てはまる教訓を導くのは難しい。それらは、極端な運やリスクに影響されたものだからだ。

モーガン・ハウセル 著、児島修 訳
『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』より

本の中ではマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが成功できた理由や、法を犯してまでも事業を進め、大富豪になり賞賛を浴びた人物と、法を犯して批判の的となった企業の話などが出てきます。そのどれもが運によって左右され、大きな富や名声を得たり、逆に不幸な結果に終わってしまったりしたのです。幸と不幸のどちらに転ぶかは紙一重で、自分の努力や手腕によってどうにかなるものではないというわけですね。

だからこそ私たちは「誰かの成功や失敗の原因が100%、その人の努力や判断にあると思い込むこと」を避けるべきだし、成功者の例を鵜呑みにしてはいけない。 誰かが成功したとき、もしくは自分が失敗したときに、「その人や自分以外の力が働いていなかったか」を見ることも大事なのかもしれません。

テールイベントの項目でも述べたように、必要以上に自分を責めすぎないこと、そしてうまくいっている時も「自分の実力がすごいからだ!」と天狗になるのではなく、「努力もしたけど、運のおかげもあるかも」と謙虚な姿勢でいることが大切なのだと思いました。

ちなみにこの運の話を読んだ時、大学時代に読んだ『天才! 成功する人々の法則』(マルコム・グラッドウェル 著、勝間和代 訳)を思い出しました。この本にも似たような運の話が出てきます。別の本の話で恐縮ですが、こちらもおもしろいので読んでみてほしいです。


長くなりましたが、投資やお金について興味がある人にもそうでない人にも、ぜひ一度読んでみてほしい1冊です。タイトルの通りやや心理学に寄っているので、誰にとっても読みやすいと思います。

またここでは紹介しきれないほどの金言がザクザク出てくるので、稲妻に打たれた!みたいな衝撃を味わいたい方は、ぜひ手に取ってみてください!笑

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