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【読書感想文】株式投資の大名著、思ったより楽しく読めた(かも)!『ウォール街のランダム・ウォーカー』

今回紹介するのは、バートン・マルキール 著・井手正介 訳のウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理』です。

「投資をやる人は全員読んでおけ!」と投資系ブロガー・YouTuberが口を揃えておすすめする本書。

著者のバートン・マルキール氏は大統領経済諮問委員会委員、バンガード・グループの社外重役などを勤めてきた超絶エリートで、世界のお金を動かしてきたと言っても過言ではないとてつもなくすごい方です。

本書ではそんなマルキール氏が「一個人が株式投資でどのように資産形成・資産運用していけばいいのか?」を非常に細かく説いた1冊となっています。


個人的におもしろい!と思ったのはこちら。

●積み立てた資産を取り崩す「4%ルール」が有効な理由

マルキール氏いわく、

★株式も債券も年率平均4%以上のリターンをもたらす可能性は高い。しかし
①インフレを考慮して将来もっと大きな額を取り崩すことが可能な余裕を確保するため
②株式市場は成長するだけでなく低迷することもあり、低迷局面を乗り切るための余裕を温存する必要がある
という2点の理由から、4%という控えめな数字で取り崩すのがおすすめ。

なお①については基本ルールとして「ポートフォリオ全体の期待リターン−期待インフレ率」で引き出し率を求めるべし。しかし毎年同じ%で引き出すのではなく、2年目以降は初年度に引き出した金額にインフレ率1.5〜2%を足した金額を引き出すのがおすすめ(この辺りはやや混乱する…)

②については、たとえば退職した途端に2008〜2009年のように相場全体が50%下落した場合、毎年7%取り崩すとなると10年で資産が底を尽きてしまう。しかし3.5〜4%に抑えられればおそらく100歳まで尽きることはないと予測できる。

★配当収入だけでは足りず、元本を取り崩すことになった場合、株式と債券のどちらを売却するかという話になるが、これは自分で決めた割合(株式:債券=60:40など)を上回っている方を取り崩すべき

バートン・マルキール 著・井手正介 訳
『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理』
より抜粋・要約

とのこと。

なんとなく「世界経済の成長率がだいたい4%くらいだからでしょ〜?」くらいにしか思ってなかったんですが、インフレ率や取り崩す際に暴落が来てもおそらく大丈夫だから、というちゃんとした理由があったんですね。

引き出すのはまだまだ先ですが、知っておきたいルールだと思いました(その時までちゃんと頭が働いていればいいんですが…)

●アメリカ以外への分散投資も大事


現在つみたてNISAなどで「S&P500だけに投資してる!」という日本人が多いらしいのですが、マルキール氏はアメリカのみに投資することについて以下のようなことを言っています。

「諸外国、特に新興国の経済は必ずしもアメリカのそれと同じ方向には動かないため、国際投資分散によってさらに大きなリスク低減効果を享受できるのである。 例えば、石油や他の資源価格の高騰はヨーロッパや日本はもちろん、部分的には自足自給が可能なアメリカ経済にも大きな打撃を与えた。一方で石油価格の値上がりは、インドネシアや中近東の産油国の経済には大きなプラスの要因となった。同様に鉱物その他の天然資源の値上がりは、オーストラリアやブラジルといった資源国にはプラスに、資源を持たない多くの先進国にはマイナスに働く。
(中略)
(ブルームバーグ社の研究結果を出し)ポートフォリオのリスクが最も小さくなるのは、外国株式18%とアメリカ株式82%という組み合わせであることがわかった。さらにアメリカ株式だけだったところに18%だけEAFE株式(ヨーロッパ・オーストラリア・極東の株式)を加えることによって、ポートフォリオのリターンも高まっている。この意味で、国際分散投資は金融の世界では珍しく、「ただ飯」に近いものを提供してくれるのである。リスクの高い株外国株式を加えることによって、より高いリターンとより低いリスクが実現できるというのなら、これは個人投資家にとっても機関投資家にとっても無視するわけにはいかない」

バートン・マルキール 著・井手正介 訳
『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理』より

つまり「アメリカ経済と違う動きをする外国の経済の動きも取り入れて行ったほうが得」というわけですね。

これに加えて相関係数の話なども出てくるのですが、とても興味深いです。

自分もつみたてNISAやiDeCoを始めるとき、「全世界に投資するか、アメリカにのみ投資するか?」と悩んだのですが、1つの国にだけ投資するのが怖くてとりあえず全世界株式インデックスを買うことにしました。

マルキール氏のこの意見を聞いて、全世界株で良かったのかも、と思えて嬉しいです(正解かどうかがわかるのは数十年後ですが…)。


他にもおもしろポイントがたくさんあったのですが、書ききれないのでここまで。

気になる方は是非読んでみてください。かなりボリュームがあるので時間がかかると思いますが。笑

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