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【読書感想文】ルームシェアって「依存しあわないこと」が大事なんだな…と思わされた1冊。『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』

今回紹介するのは、藤谷千明 著の『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』です。

著者はフリーライターの藤谷千明さん。個人的に昔からお名前は知っていて、音楽ライターという印象が強い方です。

本書は藤谷さんがご自身のシェアハウス生活を紹介する1冊。「オタク4人」というワードがタイトルにある通り、藤谷さんを含む4人のオタク女子が1つ屋根の下で暮らしている様子が描かれています(あらすじはAmazonの商品ページでご確認ください)。


この本を読んで個人的に思ったのは、「ルームシェアをするなら、依存しあわないことが大事」ということ。

たとえば

●現状、家事に対して関しては誰がコレをやるといった指定はせず、その時々で手の空いている人がやればいいという形になっている。(中略)これは甘えが発生するレベルの親友同士ではなく、いい意味で他人行儀な仲だからなのかもしれない。

●それぞれ仕事やオタク活動で家を空けることも多いし、我々はその日の夕方に「当日券あるならライブ/観劇行こう〜」と思い立ってしまう生き物である。したがって料理当番は決めていない。
誰かが家にいるとき、「つくりすぎちゃったけど食べる?」「食べる〜♡」ということは多々あれど、“義務”は増やしたくないのだ。家に帰ってきたら料理があるのが当たり前でない状態のほうが、我々にとっては気がラクだし、「夕飯があればラッキー」「喜んでくれたらラッキー」くらいの距離感で食事を振る舞ったり、振る舞われたりするのが精神衛生上一番良い気がする。

藤谷千明 著『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)より

みたいに、誰かの行動に期待するのではなく、また誰かの期待に応えようとするのではなく、一人暮らしの時と同様「自分のことは自分でやる」マインドを持ち続けることが、シェアハウスでうまく生きていく秘訣なんだなと思った。

私がルームシェアとか同居生活をするなら、真っ先に「当番」とか「役割」を決めてしまいそうなんだけど、それをやってしまうと確かに同居人の自由(ライブに行くとか推し活をするとか)を制限してしまうことになりかねないかも……。

「ルームシェア」とはあくまでも同じ家・部屋で暮らすというだけであって、生活自体は一人暮らしとあまり変わらないのかもしれない。同じ家の中でいくつもの「一人暮らし」が展開されている、みたいな感覚でいたほうがいいのかもしれない。


とはいえ同居人が病気になったり緊急事態があった場合はさすがに助け合ったりするそうだし、時々みんなで焼肉パーティーを開いたりもするそうなので、その辺は普通の一人暮らしよりも楽しそうだなと思う。依存はしないけど支え合いはするみたいな、絶妙なバランスの上で成り立っているんだなと思った。

…でも自分が「依存しあわない」という意志を持っていても、同居人が同じようなマインドを持っていなければルームシェアは成立しにくいよね。同居人が依存性の高い人(自分に対してあれこれやってほしいと要求してくる人)だったら生活しづらいし。だから自分と似たような感覚を持つ同居人を探すのが一番大変なのかも。そういう意味では本書の例はめちゃくちゃ奇跡的なものなんだろうと思いました。


とてもおもしろいけど、いろいろなことを考えさせられる1冊。1日くらいでさらっと読めてしまうので、気になる方はぜひ読んでみてください。

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