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鎌倉 男ひとり ④パンとコロッケ
大町の寺巡りをしていてよかったのは、なんといってもその静かなことだった。
境内に誰もいないことなど珍しくもなかったし、他に人がいてもせいぜい2~3人。とにかく観光客が少ないのだ。
寺に限ったことではない。要するに町なかに人が少ないのである。バス通りの交通量は決して少ないほうではないと思うのだが、行きかう人の数は多くない。つまりは店の数が少ない、ということだ。飲食店や土産物屋が軒を並べる小町通り
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鎌倉 男 ひとり ①鎌倉に住む
昨年(2023年)春、三月の半ばから一か月余りを鎌倉で過ごした。駅からさほど遠くない大町の一隅に部屋を借り一人暮らしをしたのである。
なぜそんなことを、といわれれば、鎌倉が好きだから、としかいいようがない。好きな町で暮らしてみたいと、いたって単純な理由なのである。
東京育ちのご多分にもれず最初の鎌倉体験は小学校の遠足である。古いアルバムを開いてみると1960(昭和35)年の5月、江の島まで足