巣食う病
掃除が好きになってから、他の人はどんな風に掃除しているのかなと参考に動画をみることがあります。
いろんな動画をみていると、掃除動画に紛れて、ものすごい量の物がある部屋から、きれいになっていくまでの流れを配信している人もたくさんいました。
今までも時々テレビで、部屋をきれいにしていく番組を見かけたことはありましたが、たまたま周囲に居なかっただけで、片付けが苦手な人は多いのかもしれません。
人がそれぞれに抱える問題について考えた時、その根本原因は一つなんじゃないかと思うことがあります。
例えば、食べ過ぎによる度を越えた肥満や、物にあふれて足の踏み場もない状態、あとは依存症、お金や人間関係の問題など、一見それぞれ別のカテゴリの問題を抱えているように見えます。
ただ、よく考えてみれば、一つの問題で苦しんでいるだけではなく、いくつかの問題を持っているとか、すべてにおいて問題を抱えているという人も少なくはないかもしれず、その根本原因が、絡み合った糸の中に埋もれている場合があります。
だとしたら、根本原因を一つ解決すれば、すべての問題は糸がほぐれるように解消されるのではないか、と思うのです。
そもそも、問題、と思われている場所自体にはもしかしたら原因はないかもしれません。
過食の影響で肥満体型になったとします。
お医者さんから減量するよう言われたとき、ダイエットを決意して頑張るでしょう。
ですが、肥満の根本原因が過食ではなかったらどうですか。
本当は解消すべき大本の問題を、別で抱えているのだけど、それが過食とか肥満として現実に現れただけかもしれません。
それが、人によっては依存症だったり、お金の問題だったりするだけなのではないかということです。
人間の身体で例えると、解消すべき問題は心臓にあるのに、その痛みが現れる場所が、人によって肩だったり、膝だったり、その両方だったりしているみたいなものです。
肩や膝が痛いからと、そこを治療しても、根本原因である心臓の方を治さないと肩や膝の痛みは解消されないということです。
問題の一つ一つを見ていくと、私は多くの場合、共通するのは寂しさや孤独ではないかと思います。
私も以前仕事ばかりしていて、仕事でスケジュールが分単位で埋め尽くされていることに悦に入っている状態の時がありました。
しかし、それを続けている時に、ふと虚しさを感じたことがあります。
その時に、胸の中に大きなブラックホールみたいな穴があるような感じがしました。
自分に何をどれだけ与えても、そのブラックホールにいろんなものが吸い込まれていくような気がして、何にも満足できない時があったのです。
その時は本当に満たされなかったし、幸せを感じることも、今日という一日を大事にもできてなかったと思います。
ですから、なぜか無意識のうちにいろんなものでブラックホールを埋めようとするんですよね。
それが、人によっては食べ物だったり、物にあふれた部屋だったり、忙しくして仕事で埋める時間、場合によっては肩書や権力など、さまざまなもので埋めようとしたりするんだろうなと思います。
後は、そのブラックホールを見ないようにするために、別の物に逃げたり、考えないようにしたり、他に依存することで、向き合うことをしない選択をしているのかもしれません。
私は、こういう様々な問題は、家庭環境とか、生き方や才能などで現れるのではなく、誰にでも起こりうる問題だと考えています。
ですから、その根本原因を解決させるためには、まずブラックホールを閉じないといけません。
ただ、ほとんどの人が閉じ方がわかりませんし、吸い込まれていくとわかっていても、心にぽっかりと大きな穴が開いている方がつらいので、何とかしようとするのです。
その結果、たくさんのお金や時間、食べ物や物を一生懸命かき集めて、その穴を塞ぐために全力で頑張ります。
中には、生きるためにとか幸福で豊かになるためにでなく、穴を塞ぐために仕事をしたり、お金を得ようとしている人もいるかもしれません。
場合によっては、他から奪ってでもなんとかしようとする人もいるでしょう。
そうやって一生懸命頑張っても、いつまでたっても穴はふさがらないしで、頑張りが限界になった先に、心の病になっていく人もいるのではないでしょうか。
この心のブラックホールは、物理的なものや時間、目に見えるものでは絶対に埋まりません。
じゃあどうすればいいのかというと、
自分に対する愛、それだけです。
何かしらの問題を抱えている時、心の状態は穴の開いたコップのようになってしまっています。
このコップにどれだけ美味しいジュースを入れても、いくら高級なワインを入れても飲むことはできないんです。
コップに注いだ瞬間、すべて流れ出てしまうので。
ですから、一度、コップの底を自分に対する愛で穴を塞ぎます。
そして、少しずつ長い時間をかけてコップに好きな飲み物を注いでいき、あふれた時、そのあふれた分で、自分も周囲の人も幸せにできるようになると思うのです。
では、自分への愛ってどうしたらいいのでしょうか。
それはまず、お世話をしてあげることだと思います。
出来ることから、身の回りを整理整頓したり、掃除を毎日少しでもしてあげるとか、料理を作ってあげたり、声をかけたりすることです。
ただ、自分のためにはなかなかできないという場合もあれば、始めは声かけから始めるといいでしょう。
あとは、セルフコンパッション、自分を抱きしめることです。
正直私は、『自分に声をかけるなんて』と思っていました。
鏡の向こうの自分を見てがっかりするほうが多かったような気がしますので、そんな時に褒め言葉が出てこない。
言っていても、口先だけではないか、と感じてしまいます。
ですが、この威力は大きくて、続けるうちにブラックホールが閉じていくのを感じられ、本当に少しずつ心が満たされていくのも感じられるようになりました。
今ではレッスンの最後に、参加者さんにも自分を抱きしめてもらう時間を作っています。
結局、心に巣食う病は、自分を救う病なんだと思います。
それをきっかけに、自分への愛を取り戻したり、思い出してって言われているサインなのではないかと思います。
いかがでしたか。
今日もお読みいただきありがとうございます!
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