ITSMコンサルタント鈴木寿夫の6つのルール【後編】
「ePlugOne」の講師を務めるとともに、ITSM(ITサービスマネジメント)最適化やDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業の支援を行うコンサルタントとしても活動するDIG2ネクスト代表の鈴木寿夫。前編に続き、コンサルタントとしてのこだわりを鈴木に聞きました。
※前編の記事はこちら↓
ルール4:決まったフレームワークは使わない
――(前編から続く)ここまでの話で、鈴木さんは「リッチな資料はつくらないこと」「とにかく話を聞く、お客様に寄り添うこと」「お客様企業の一員として考え、行動すること」、3つのルールを自らに課していると聞きました。
あと3つあると言いますが、それは何でしょうか。
鈴木 お客様から「DIG2ネクストでは、どのようなテンプレートやフレームワークを使ってITSMコンサルティングを行っているのか、教えて欲しい」と言われることがあります。しかし、そのようなものは私にはありません。これも1つの「ルール」と言いうるでしょう。
なぜ決まったテンプレートやフレームワークがないのか。それは、企業ごとに直面している課題や状況はすべて異なるため、決まったやり方では対応できないからです。
結局、どのようなロジックを使って、何を行うのかは、その都度つくっていくしかないのです。
当然、ベースとなる考え方は「ITIL® 4」や「SIAM™(※)」をもとにしていますが、それらを現場の状況に合わせ、柔軟にカスタマイズしていきます。
ルール5:アセスメントは行わない
――一般的なコンサルティングサービスでは、まず既存のシステムや組織のアセスメントを実施することが多いように見受けます。やはり鈴木さんも、同じようなことを行うのでしょうか?
鈴木 状況把握のために、お客様からヒアリングし、ドキュメント類を全て出していただいて分析する。これ以上のことは行いません。ヒアリングをしていくと、お客様自身の現状の整理や理解にもつながり、お客様自身にも大きな成果が実感されます。
アセスメントを実施するより、しっかりお話を聞いて、問題点を洗い出していく方がスピーディです。お客様にとってはコストメリットもあるでしょう。
――コンサルタントの業務標準化を実現するには、統一されたテンプレートを使ったり、決められた方法でアセスメントを行う必要があると思います。でも、鈴木さんのやり方はそんなやり方とは真逆ですよね。かなりの力量がないと、難しいのでは。
鈴木 そうかもしれません。力量があれば裸一貫で立ち向かえばよいだけです。ですから、現在直面している大きな課題は、他のコンサルタントをいかに育てるかということです。
――統一のテンプレートがないので、コンサルタントを育てるのは確かに難しそうですが、日本企業のITSM最適化を実現するためにもぜひ解決してほしいと思います。
ルール6:楽しく仕事をする
鈴木 それからもう1つ重要視しているのが、当社のコアバリューでもある「楽しく仕事をすること」です。結局、楽しくない仕事は、成果が出にくいものですから。
このことは、私たちコンサルタント側だけではなく、一緒にプロジェクトを進めるお客様も同様です。そう考えるからこそ、キックオフミーティングを行う際には、いつも「プロジェクトは楽しく、ざっくばらんにやりましょう」と、お客様に伝えるようにしています。そして、「毎週このコンサルティングの時間を楽しみにしています。今日は本当は休暇なんですが、これだけは参加したいので出席しています」と言われる上級マネジメントの方もいらっしゃいます。