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IT組織に対する顧客体験価値の重要性を探る! 第1弾

最新のITIL®4では、顧客体験を重視したサービスデザインの重要性に触れています。
この記事は2回にわたって顧客体験価値の重要性を探っていきたいと思います。
第1弾として、NPS®と顧客体験の向上について解説します。


NPSとはどういうものなのか?

「あなたは、このサービス/製品を親しい友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」

これは、サービスや製品に対する評価の質問として最近良くみかけることも多くなったのではないでしょうか?この評価方法は、NPS(Net Prompter Score®)といいます。

10-9をマークした人は、再購入比率が群を抜いて高く、この人から推奨された友人や同僚の購入も80%を超えるというデータから推奨者と名付けられています。

8-7をマークした人は、推奨者と比較して再購入比率や推奨比率が大幅に低く、そのサービス/製品に対するロイヤリティは高いが、積極的に購入しているのではなく、受け身で惰性的に購入している可能性が高いため、中立者といいます。

6-0をマークした人は、批判的で否定的な態度をとるグループで、情報発信のうち否定的なものはこのグループからのもので80%を超えるというデータから、批判者といいます。

そして、Net Prompter Scoreは推奨者の割合から批判者の割合を減算して求められる数値になります。推奨者の割合が批判者の割合よりも多ければ、プラスの値になります。

NPSは単なる顧客満足度調査方法ではない!?

NPSは「究極の質問」と言われる非常にシンプルな1つの質問で、満足度調査で利用される評価方法ですが、単なる満足度調査方法ではありません。

推奨者は再購入比率や推奨比率が非常に高いグループです。この推奨者の割合が多いということは、その企業のサービス/製品に満足しているということ以上に、その企業やそのサービス/製品に対するロイヤリティ(忠誠心)が非常に高く企業の成長を促進する優良な顧客が多いということになるため、将来的な成長のバロメーターになるわけです。

実際に推奨者の割合が多い企業は、成長率が高いというデータがあります。

逆に、批判者が発信する1つの批判的コメントは、5~10の推奨コメントがないと打ち消せないくらいの影響力があると言われています。したがって批判者は企業の成長にとって悪影響を及ぼすバロメーターとなるため、批判者の数を減らすために何を改善すればよいのかを検討する必要があります。

つまり推奨者は企業にとっての資産、批判者は負債とも考えられます。

そして、これまでの単なる顧客満足度調とは異なるというのは、会社の成長に直結するスコアリングであるということです。この究極の質問は、非常に強力な評価指標であり、単なるマーケティングの指標ではなく、経営指標になるということです。


顧客体験の向上

製品/サービスに対するロイヤリティの高さは、その製品/サービスに対するカスタマージャーニーにおける優れた体験によって生まれます。これは、消費者がまだ製品/サービスを探しもとめる(探索)体験から始まります。

カスタマージャーニーの解説はこちら

例えば、ある企業のWebサイトがとても見栄えの良いグラフィカルなデザインなのに、肝心の製品情報になかなか辿りつけなかったり、説明が非常に分かりづらいものであれば、消費者にとっては良い体験ではありませんし、うんざりしてしまいます。

さらに、製品/サービスに対する購入前の問い合わせをした際(エンゲージ)の体験、セールスからの説明を受けた際(提案)の体験、製品/サービスの購入/契約をした際(合意)の体験、製品/サービスを利用するためのセットアップの際(オンボード)の体験、製品/サービスを使い始めてサポートへの問い合わせの際(共創)の体験、製品/サービスの改善(実現)の全てのジャーニーにおける顧客体験によって、推奨者にも逆に批判者にもなり得るのです。

つまり企業の業績を向上させるためには、言い換えるとNet Prompter Scoreの評価を向上させるためには、カスタマージャーニーにおける顧客体験価値の向上が不可欠であることが理解できると思います。

1つ重要な点は、企業の業績を上げるために、付加価値の向上がないのにも関わらず値上げをしたり、コスト削減のために製品/サービスの品質を低下させたりするようなことをすれば、一時的には売上高向上や利益率向上につながる可能性はありますが、顧客ロイヤルティが下がり、企業の成長は向上するのではなく低下に向かうということです。企業は利益の指標に注力するのではなく、NPSに注力すべきで、NPSスコアが向上すれば、自然と利益も向上するということです。利益は後からついてきます。


第2弾では、IT組織における顧客体験に「おもてなし」は必要なのか?を考察していきたいと思います。


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