障害者も有意義な転職をしよう:第2章 エージェント選びから応募まで
2-1.エージェント選び
転職をしよう、と決めたら。
まず取りかかってほしいのは、エージェントを選ぶことです。
自分で会社ごとに求人をがんばって探したり、ハローワークに出向くのも手段ではありますが、特に現職に就いている場合は時間が限られています。(ハローワークは現職の退社後に行っても開いていないですしね)
また素人が集めるよりも、就職のプロが集める情報はより有効です。
専門的なことは専門家に任せるのが一番効率がよいのです。
エージェントを利用することも視野に入れてみてください。無料ですしね。
障害者を対象とした就職・転職エージェントは複数あります。
インターネットを検索すると少なくとも5~6社はヒットして、仲介してくれる企業も重複しているものもあれば、エージェント独自のものもあります。
エージェントによっては、オープンにされていない、非公開の求人を出してくれるところもあります。
また求人を提供し相談を受け付けてくれるエージェントもあれば、がっつり企業との間を取り持って「仲介」してくださるエージェントもあります。
自分自身で探して応募するか、企業とのやり取りをエージェントに任せるか、といったちがいがあります。
私は「仲介」してくださる企業のうち、atGP に一任しました。
仕事が決まった今振り返っても、atGP を選んで正解だったと実感しています。
ただし地域や勤務形態によっては、別のエージェントがよい場合もあると思います。
まずはエージェントのサイトに掲載されている求人を確認し、エリアや勤務形態の融通が利くかどうか(在宅勤務などが掲載されているか等)を調べてみるとよいですね。
またエージェントを1社に絞らずに複数を同時に選んでもいいでしょう。
自分に合った方法をしっかりと吟味することが大事です。
2-2. マイページの作成
エージェントを選んだら、マイページを作成して自分の情報を登録しましょう。
エージェントによって登録方法はちがいますが、ここでは atGP を例としてプロセスを書いてみます。
マイページには住所等の基本情報のほか、学歴、職歴、資格、配慮してほしい事項などを記入します。
職歴の業務内容は自由に書くスペースがあります。
ここには一般的な職務経歴書に書く方法を活用するといいでしょう。
下記は私が実際に書いた内容です。atGPの担当者も修正を加えなかったほど、完成系に近い内容です。
ぜひ参考にしてみてください。(一部加工しています。)
ーーーー
社名:株式会社●●(20××年×月~現職)
業種:●●
従業員数:●●名
雇用形態:契約社員(障害者雇用)
職種:事務関連 総務・人事
主な職務内容: ◎本社の人事部に配置され、事務スタッフとして勤務しております。
・会計処理・統計処理(支払依頼書処理・請求書処理)
・物品発注・検収・管理、書籍の発注・検収・管理
・月別入社者・退社者データ(電子データ・紙データ)管理
・雇用契約書の製本・管理
・外線電話応対
・中途採用試験(筆記試験)監督、試験会場の予約(外部会議室)
【ポイント】Word、Excel、Outlook、Teams、楽楽精算、Bill Oneなどのソフト利用経験あり
※求職理由:正社員(登用も含む)としての就業先を探すため
ーーーー
最初の1文で全体の内容を要約し、詳しい内容は箇条書きにしておきます。
最後に【ポイント】として身につけたスキルを書いています。要約、箇条書き、ポイントという形式をとることで、文章にするよりも読みやすくなります。
そもそも書類選考の担当者や面接官は膨大な情報を処理する必要があります。
その中で彼らの記憶に残るよう、書類の文面を読みやすく工夫しておくとよいでしょう。
そのほか、資格もしっかりと書いておきましょう。
たとえば事務業務であれば、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)やパソコン検定などがアピールできます。
あとはスキルや職歴につながるもの、最近働きながら意欲を持って取った資格も書くとよいでしょう。
私はTOEICスコア、教員免許、コーチングの資格、就労支援事業所に通所しているときに取ったパソコン技能検定Ⅱ種2級を書きました。
のちほど述べますが、ここで書いた資格については面接で聞かれたり、興味を持っていただいたりします。
中には面接時のみならず採用後も業務にどうつなげていくかを考えてくださる場合もあります。
せっかく頑張って取った資格です。自信を持って書きましょう。
2-3.面談(電話・オンライン面談)
会員登録が完了すると5営業日内に atGP から連絡があります。私の場合は電話がかかってきました。
そこで簡単に内容が確認されてから(個人の基本情報と意思の確認程度)、キャリアプランナーに引き継がれます。
メールで面談の日程を調整して、数日後にキャリアプランナーとの面談があります。
私の場合は電話での面談でした。
面談では居住地、希望勤務地、職種、業種、障害・病気などの確認があります。
そのうえで、職務経歴書に書いた内容を共有します。
転職があった場合には、その際の転職理由も聞かれます。
私は転職回数が6回(障害者雇用⇒障害者雇用は今回が初めて)と非常に多いので不安になり「多いですよね・・」と言ったところ「きちんとした転職理由があるので、大丈夫ですよ」と励ましてくださいました。
この温かい言葉が転職活動中、心の支えになりました。
そして面談した際に、なるべく早く履歴書・職務経歴書をエージェントに送るよう依頼されました。
atGP の場合、サイト上で記入した内容がそのまま履歴書・職務経歴書のファイルに反映されて、ダウンロードできます。
ダウンロードしたファイルをもう一度見直して、提出しました。
現職の仕事で忙しいとは思いますが、履歴書・職務経歴書は手を抜かずにじっくりと何度も見直して仕上げましょう。
この書類をもとに、企業は最初の選考を行うからです。
がんばりましょうね。
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面談が終わると、キャリアプランナーが希望や条件に合った求人を選んでメールで送ってくださいます。
非公開の求人を、どんどん送ってくれます。その中から自分で応募する企業を選びます。
キャリアプランナーによって違うかもしれませんが、私はけっこうな数の求人が送られてきました。全部で20社です。
この中から実際に応募する会社を選んでいきます。
ここで選ぶポイントは、自分にとっての「最低条件」を設けることです。
例えば年収の額をはじめ、年間休日数、駅からの徒歩10分以内、などです。
ここだけは譲れない、と思っている条件は最後まで大事です。
まあ、いいかと妥協して残しておいても、結局最終的に除外する可能性が高いためです。
ただし、あまり厳密に設定することは避けておいたほうがよいでしょう。
「最低条件」のみにしておけば、そのほか気になった点はキャリアプランナーに確認をとったりできるほか、面接で詳細を聞くこともできるからです。
最初は広く浅く、最低限の条件のみ設定して選ぶとよいでしょう。
2-4.リスト作り・応募
求人を見て応募先を選ぶにあたり、リストを作って整理しておくと客観的にとらえることができます。
まずはエクセルを開きましょう。
最初にどんどん条件を入力していきます。項目は自分が重要視する点を書いていきます。
ちなみに私は下記の項目を評価基準としてリスト化しました。
職種
雇用形態
最寄駅
年収(賞与含む)
賞与(月数)
面接回数
備考
リスト化する際には、たとえば次のようにまとめます。
ひと通り入力したら、希望する順番に入れ替えて「順位」をつけ、順番を入れ替えていきます。
ここでは情報をしっかりと整理し、じっくり考えましょう。
リストを作っておけば、書類審査の結果が出たときにどのくらいの希望度だったか、条件はどんな内容だったかについて、いちいち求人を見る必要がなくなります。
自分の優先順位が一目でわかるのでとても便利です。
仕事と同時並行なので時間は限られていますが、一度じっくりと考えておけばあとは選考が進む段階でサクサクと手続きが進みます。
時間をかけるところはしっかりと時間をかけて、効率的に進めるところはサッと進めながら転職活動に取り掛かりましょう。
転職活動は、あなたの将来を決めるものです。
内容はしっかりと、ただしプロセスは効率的に進めるとよいでしょう。
リストを作成したら、あらためて見直して、応募するかしないかを判断します。
応募しないところはグレーで塗りつぶしてリスト外にペーストしておくと分かりやすいですね。
そのうえで、いよいよ応募です。
応募すると、事前にエージェントに送った履歴書・職務経歴書がキャリアプランナーによって企業に送られます。
求職側にとっては、それぞれ1社ずつ書類を印刷したり送り状を書いたりするという手間がはぶけるので、ありがたいですね。
エージェントを利用するメリットがここにもあります。
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ここまでエージェントの登録から応募までのプロセスについて説明しました。
マイページの履歴書・職務経歴書は作成時にしっかりと時間をかけて内容をブラッシュアップしておきましょう。
そのうえでエージェントから送られてきた求人をもとに、自分がこれは外せないという条件をもってリストを作成し、順位をつけておきます。
細かい条件は面接でも聞けますので、よっぽどのことがないかぎり(休日数が少ないなど)、最低条件のみを設定してまずは応募してみるとよいでしょう。(私は結果的に20社中14社に応募しました。)
このプロセスを経ると、応募しながら自分の希望などの整理もできます。
そして応募してしばらくすると、書類審査の結果がどんどん返ってきます。
企業から直接届くのではなく、エージェントから合否の連絡があります。
書類審査に合格すると、2次試験の案内も同時に届きます。
2次試験には適性検査や筆記試験などがありますが、合格だった場合にはその試験の日程や内容が通知されます。
そこで第3章では、適性検査・筆記試験の形態やその準備・対策方法について書いてみます。
しっかりと着実に次につなげていきましょうね。
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この記事は本来はkindle出版を検討しましたが、noteですべて無料でお届けします。(今の就業先が副業禁止なのもありますが、少しでも障害者のみなさんのお役に立ちたいと思っています。)
ですので、読んでいただいたら、ほかの障害者や関係者の方々に広めていただけると幸いです。
(こちらのリンクを貼ってください。)
https://note.com/epilab/m/mc29dabeb2457
よろしくお願いします!
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