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障害年金について 国に望むこと

以前、企業に望むこととして、障害者雇用の給与アップを提示してみました。


今回は、国に望むことを書いてみます。

その視点のひとつとして、障害者が国から得る収入、つまり障害年金を見てみます。


障害者の収入としては、働いている人は給与のほか、公費として与えられる障害年金があります。(ただし審査はあるので全員ではないんですよね・・)

障害年金は非課税でもらえるから、大事な収入ではあります。

ただ、給与が低いことは先日説明したとおりですが、やっぱりこっちも額は低い。

障害基礎年金額は月額約6.6万円(年額約79.5万円)~月額約8.3万円(年額約99.4万円)

障害厚生年金額は月額約4.9万円(年額約59.6万円)~(最大額は計算しきれませんでした)(いずれも67歳未満の数値です)

(日本年金機構:障害基礎年金https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html

障害厚生年金 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html


ちなみに私は障害厚生年金3級で、月5万弱です。

障害者雇用の給与も低いし、プラス障害年金としてやっと新卒レベル。

もし、てんかんの大発作が起こって休職・退職せざるを得なくなった場合、障害年金だけでは難しいのが現状です。

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では、ここでちょっと想像してみてください。

日本社会を「収入-支出」という単純な経済の観点からとらえたとき、「障害者の世界」と「健常者の世界」の収入は明確に分かれている気がします。


まずは障害者の世界から。

障害者の収入が少ないことは先ほど書きましたが、

あえて一歩下がって考えてみると、世界が障害者の収入で事足りる物価でまわっているなら、障害者の収入額がこのままであっても納得できる気がします。

障害者が障害者物価指数の世界だけで生きていけるなら、障害年金はこの額でもよいだろう、と。

たとえば充分満足してしっかり食べたうえで食費が月5,000円くらい、きちんと生活できる清潔な家で家賃が月10,000円くらいで済むような物価で世界がまわっていくのであれば、老後のための貯金にも回せるし、余暇も楽しめる。

でも障害者が生きていかなければならないのは「健常者」の世界だから、なかなかやりくりが難しい。

スーパーで買う食料品も健常者の世界の物価指数だし、外食するのも健常者と同じ物価指数。

大きな買い物である車も家も。コンビニも、ユニクロだって。

収入は障害者の世界の指数なのに、支出は健常者の世界の指数で計算し直さなければならない。

これは、公平だとは言い難い。


視点を変えて、地方・都市部のちがいで考えてみます。

地方は収入(平均給与・収入額)が都市部と比べて低いです。
(国土交通省: https://www.mlit.go.jp/common/000031981.pdf

その分、家賃や土地代は都市部に比べると低価格に抑えられます。

ただショッピングモールには都市部と同じ店が入っていて、もちろんユニクロもあります。

地方に住むと必須である自動車代も都市部と変わりません。

学生の頃にぼんやりと、なんだか地方のほうが不利なんじゃないか?と思っていました。


これが、障害者・健常者となると不利な差はさらに歴然とひらきます。

わずかな収入の世界で生きる障害者からすれば、健常者の世界基準での支出はとかく膨大なのです。

これはつまり、障害者にとって経済面の「収入ー支出」構造が、ある意味崩壊しているということ。

収入で充分まかなえる世界に生きていないのです。

でも日本社会では、健常者の世界じゃないと障害者は生活できません。

障害者は、・・明確に不利なんです。

私の場合、もし夫がいなくてひとりだったら・・・

生きていく気力さえも失うかもしれません。

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健常者の世界で生きていきましょう、というのであれば、障害者にはもっとお金が必要です。

だけど健常者の世界観で決められた「企業」にだけ、充分な収入アップを求めるのは厳しいですよね。

だからこそ、公的補助が必要だと思います。

障害者と健常者で収入の物価を明らかに分けるのであれば、公の機関が策を練るべきです。


端的に言えば、障害年金を増やすことが必要。

その対象者を増やし、

額を増やすべき。


そもそも障害者は健常者の世界で生きましょう!インクルージョン!ダイバーシティ!が叫ばれている社会のなかで、堂々と合理的配慮!と打ち出したのは国(障害者雇用促進法など)なのだから、それ相応の努力は図るべきではないかなと思います。
(参考:内閣府ホームページ(https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet-r05.html))


国は、障害者雇用率を達成している企業には調整金を払っているけれど、大事なのはそれだけでなくて、健常者の世界で生活する障害者にも代償として(例えば障害年金という形で)払うべきではないかな。


障害者は、障害者の世界だけで生きていくわけにはいかないのだから。

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なんだか暗い話になってしまってごめんなさい。

私は障害者が生きやすい世の中、というより「生きがい」を感じやすい世の中になって欲しいなと思います。

「生きがい」

以前の話(企業に求めること)とも通ずるところがあるのですが、「生きがい」とは、自分のためだけじゃなく他の人のためになることを考えられるような、そんな気持ちのゆとりがある状態かなと思います。

そのためには、収入がきちんと確保されていることが重要です。

そのためには、国がやるべきことをやるべきです。

ではでは。

※なお収入が厳しい場合、審査を受けて生活保護制度を使うという方法もあります。今回は障害者に限定した国の対策について述べたので言及していませんが、選択肢のひとつにするのもありだと思います。
(厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

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