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複雑にして綺麗なお酒

夏になると飲みたくなる日本酒。それって夏酒ってこと?まあ、夏酒もそうなんですけど、個人的には甘重いお酒をロックで行きたいんですよね〜

ということもあり、甘くて重めのお酒を探していた中、ふと目についたのがこちらのお酒。

奈良県 花巴 ナチュールXナチュール 21BY

奈良県は美吉野醸造さんの「花巴 ナチュール✕ナチュール」。甘重、ロックとかになってくると、酒を酒で仕込む「貴醸酒」となってしまうんだけど、こちらも造りでは貴醸酒の範囲なのだろうが、そもそも、「貴醸酒」は複数の酒蔵の登録商標なので、その酒蔵グループに入っていない酒蔵は貴醸酒を名乗れない。この酒蔵は、どうなんだろ?

こちらのお酒は、蔵付き酵母(酵母無添加という表記)の生酛を、菩提酛で造った酒で仕込んでいるという、ちょっと独特の造り。これらが自然志向なので、「ナチュール」なんでしょうね。。

さて、飲んでみると、生酛、菩提酛、自然酵母で味自体は複雑味を持つが、これがびっくりするほど綺麗な仕上がり。甘さもあるけど、良質の酸が非常に良い仕事をしているのと、高めのアルコール感から、スッキリとして、甘口と辛口が同居しているような味。

醸造年からすると、酒蔵で1年程度熟成出荷なので、古酒ではないが、軽い古酒のような米の香ばしさと乳酸香を熟成させた風味。良質の甘味と酸、特にこの野趣あふれる造りから考えると実に綺麗で品がある。さっすが花巴、やるなあ〜と感じた。

唯一惜しむらくは、飲んだ時に甘味と酸の分離感(一体感に欠ける。時間差で味が来る)と、17%のアルコール感が少し角が立つこと。もし、これらが追熟や空気に触れさせることで緩和されるのであれば。。。ちなみに、ロックには不向き。氷入れると薄まった感が強く、水との相性が悪い。そのまま冷やして飲む方が良いだろう。

花巴って、ほぼほぼ燗酒〜って感覚だったのだけど、これを飲むと、上質のシェリー酒やポート酒などの酒精強化ワインと張り合えるポテンシャルを感じる。現に、このナチュール✕ナチュールのシリーズは、黒(このお酒)、白、赤と三種類あって、白は海外向けでアルコール度数を下げた(ワインレベルにした)もの、赤は梅酒だそうだ。

日本酒のチャレンジとして、古い造りを基軸とした未来を感じさせる酒だと思う。

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