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天竺な岡寺。踊ってはいけない般若心経

日本最古の巡礼の路、西国三十三所第七番札所のお寺「岡寺」(龍蓋寺)。
ゴールデンウィーク限定の天竺牡丹(ダリア)観覧会「華の池」の初日に訪れると、釣り太鼓に拍子木、ノリノリな勤行に身も心も踊り出すようなお勤めが行われていた。

できることなら踊り明かしたい

踊ってはいけないのが大変惜しいけれど、「こういうイベントを増やしていきたい」と住職さんも仰っていたのて、次あったらまた行こうと思う。
そのうち踊れるようになるんじゃないかな?
その方が、刺さるんじゃないかな?


日本最古の巡礼の路「西国三十三所」

1300年以上続く聖地巡礼

国内の聖地巡礼と言えば、(厳密には違うけど)四国遍路や熊野詣などが思い浮かびがち。
意外にも(?)、日本最古の巡礼路は西国三十三所で、718年、実に1306年前から続いている。

西国三十三所では2018年の草創1300年記念に、4月15日を「良(よ)いご縁の日」に制定し、各お寺で記念法要を行うのだとか。

ちなみにお遍路さんが10年前に1200年と言っていたし、熊野詣は平安中期頃(900年ぐらい)から。
鎌倉時代には西国三十三所と熊野詣のコラボレーションが大バズりで、皇族から庶民までみんなありがたくお詣りしていたらしい。
昔は県単位が国のような物で行き来が著しく制限されていて、基本的に県外への渡航目的は聖地巡礼に限られていたし、それはそれは色んな意味で素晴らしい旅だったろうと思われる。

御朱印帳=極楽浄土行きフリーパス

裁判中の閻魔さま

御朱印帳を発明したのは、西国三十三所では第八番札所のお寺に当たる長谷寺の徳道上人。
病気で死にかけて冥土へ行ったら閻魔さまに会うことになり、
「ちょっと最近の人間破廉恥じゃない?私の仕事多すぎるから、観音さまの功徳を説いて地獄に来る人減らしてくれるかな」
と、33個の宝印と依頼文を渡されたらしい。
生き返った上人は33ヶ所のお寺に宝印を渡し、西国33ヶ所の観音巡りを確立したそうな。
御朱印帳の使い方
①33ヶ所のお寺で観音さまの功徳をしっかり勉強する
②お詣り証明として御朱印を貰う
③閻魔さまの裁判で御朱印帳をフリーパス代わり使えば、現世での罪がチャラになり極楽浄土行き確定!

西国三十三所 第七番札所 岡寺(龍蓋寺)

岡寺、中は撮影禁止。

国の重要文化財にも指定されて、日本最大にして最古の塑像をご本尊に祀る岡寺は、特に女性の厄除け寺として有名で、鎌倉の書物『水鏡』にも登場している。
江戸時代、ご本尊の上に後建てされた本堂は煌びやかだけれど、「仏さまは1300年前から大地に座っていらっしゃいます」と言われると、何だか感慨深い。

牡丹とお地蔵さま

敷地は広く、ボタンやシャクナゲなど奥の院へ続く庭園の花も季節ごとに美しく整えられているので、花の寺として知っている方の方が多いのかもしれない。

限定イベント①春限定御朱印帳

華やかでカラフルな切り絵と刺繍入り、毎年デザインが変わる春限定の御朱印帳を頂戴できる!

限定イベント②春風回廊

ダリア×ボタン

岡寺に加えて、第六番札所、桜大仏で有名な壷阪寺と第八番札所長谷寺の3寺院共同で、麗らかな春の花々も楽しめる御朱印巡りを開催中!

ゴールデンウィーク限定イベント③ダリア観覧会

天竺牡丹(ダリア)農家の檀家さんから奉納されるたくさんのダリア。
「なるべくたくさんの人に見てもらいたい」という思いで、10年前からゴールデンウィーク限定で初めて下さったイベント。
これがさぞ混み合うだろうと思いきや、ゴールデンウィークの穴場イベントになっている。

華やか過ぎる手水
まるで天竺!

こんなにも華やかな手水、小さな滝の音がひたひた流れ込んでいく池に迎えられ、気分は一気に天竺!

ダリア玉
本堂手前

至る所にダリアや季節の花々が溢れている。
さらに、今年から始まった1300年記念法要では、釣り太鼓と拍子木&お経の生音演奏・歌付きで、お線香の香りがなんともエキゾチックな、軽いレイブだっけ?と錯覚しまうほどの、アップテンポで心臓に響く勤行が繰り広げられていた。
何となく本堂で勤行待ちしていたら、軽やか過ぎるビートに衝撃!

最早ちょっとサイケ

若手の住職さんがロックさながらに抑揚をつけながら釣り太鼓を叩きつつ、〆めは「般、若〜心〜ぎょ〜〜〜う」ダダダダダーンってハモっていて、変なライブよりいいじゃねぇか!と思わず踊りそうになる。
手を合わせて拝む人こそ多くても、もちろん誰も歌わないし踊らない。「フー!」とか「ヘーイ!」とかも誰も言わない。
踊念仏とかそういうものの名残があるのは、一晩中しかも毎晩踊り続ける、郡上踊りだとかそういうイベントぐらいかしらんと思っていたので、こう言うものを見ると、ただただ嬉しい。
いやー、親の代で絶対に墓終いする予定だけれど、こんな法要やっているなら仏教も捨てたものではないと思わせていただける、躍動感溢れる法要だった。
撮影不可が本当にもったいなく、ぜひ中継していただきたい。需要は絶対にあるだろう。

ちなみに、普段の厄除けの法要では太鼓や拍子木はついていないし、テンポもそんなに早くは無さそうだった。
住職さん曰く、「これは草創1300年絡みのイベントで今年初めての試みだが、今後はこういうイベントを増やしていきたい」とのこと。
生演奏付き勤行、定番化が期待される!

限定イベント④ご本尊特別拝顔中

最後に、本堂内には江戸時代などに制作されたミニ厨子や瓦、西国三十三所のミニご本尊など、博物館さながらの展示がされているが、春限定でご本尊(本物)を間近に拝み、塑像ならではの白い美しさや、着色されて華やかな色合いだった時代の名残が垣間見られるほどの距離まで近づくことができる、特別拝顔が行われている。
遠くから眺めるよりも、間近に拝むとさらに大きく、髪の毛の一本いっぽんが描かれているのも確認でき、ありがたみが増した気がした。

ゴールデンウィークは飛鳥でまったり

プチ天竺・岡寺

ゴールデンウィーク穴場スポット、エキゾチックな岡寺、そして飛鳥村。
お出かけ先に悩んでいるなら、プチ天竺体験をぜひおすすめしたい!
早朝参拝も開催されているけれど、ゴールデンウィーク初日土曜日の午前9時半から11時前まで滞在した感じものすごく混み合うとか、朝イチで来ないとゆったり楽しめないといことは全くなかった。
駐車場もお寺併設の無料のものに余裕を持って停められるので、足の悪い方やお子さん連れなどでも最寄りまで車で行けるので安心。

所 在 地:〒634-0111 奈良県高市郡明日香村岡806入山時間:8:30~17:00 (12月~2月 8:30~16:30)
本堂内陣の一般内拝期間:毎年4月~12月
*1月~3月の間は随時厄除法要勤修のため一般の方の内拝はできません。
*4月~12月の間であっても法要や行事などの為に
一般の内拝を一時ご遠慮いただくことがございます。
入 山 料:一般(大学生以上) : 400円 / 高校生 : 300円 / 中学生 : 200円

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