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残念すぎる『フランダースの犬』の真実、大聖堂前に眠るパトラッシュ

ベルギーと言えば美食!ビール、チョコレート、フリット🤤
アントワープまで足を伸ばすなら、フランダースの犬!ぐらいの勢いで、フランダース地方訪れる人は多いはず。
もれなく私も「ネロがあんなに焦がれた絵を観てみたい!」とアントワープを訪れ、地面から飛び出すパトラッシュとネロに迎えられて、度肝を抜かれることになる。


ベルギーの大阪、アントワープ

基本情報

首都ブリュッセルに次ぐ第二都市アントワープ。
オランダと国境を接しており、公用語はフランス語・オランダ語・ドイツ語の3ヶ国語が使用される。

世界一美しいとも言われるアントワープ駅

人口は約120万人で、首都からは電車で45分ぐらい。電車も1時間に2本ぐらいあるので、思い立ったらいつでも行ける!

ビールもコーヒーも美味しい駅カフェ

駅だけでなく、駅中のカフェもものすごく可愛いので、ちょっと早めに行ってぜひ一杯飲みたい感じ。

怖すぎるww手のひらだらけのアントウェルペン

手のモニュメント

アントワープはオランダ語でAntwerpen、語源はhand(手)werpen(投げる)で、巨大な手のモニュメントや手のひら型のチョコレートを街中で見かけることができる。
それだけでも地味に変な感じがするけど、語源を知るとますます怖いww

巨人伝説
アントワープには昔巨人が住んでいて通行人から通行料を取っていたらしいんだけど、払わない人間の手(hand)を切り取って投げ捨て(werpen)ていたからアントワープと呼ばれるようになったのだとか。
色々すざまじいなww

フランダースの犬の舞台アントワープ

大聖堂横でランチ(ムール&フリット)

ダイヤモンド、世界遺産などなど、アントワープへの目的は色々あると思うけれど、アントワープまで来て、フランダースの犬の舞台である「アントワープ大聖堂」をスルーする日本人はなかなか居ないんじゃないだろうか。

永遠に泣ける日本版をおさらい

フランダースの犬

主人公はお祖父さんと暮らしている、絵を描くのが大好きな少年ネロ。

ある日、ネロとお祖父さんは鞭打たれながら無理矢理働かされているパトラッシュを助ける。2人と1匹は牛乳を売るなど、口に糊しながらも生計を立て、慎ましく幸せに暮らしていた。

ところが、長年の無理がたたり頼りのお祖父さんがとうとう無くなってしまう。

孤児になってしまったネロに世間の目は冷たい。それでも何とか仕事の合間をぬっては絵を描き、縋るような思いでコンクールに応募するが落選。

隣人の悪意から家も仕事も失ったネロは、吹雪の中で何とか大聖堂まで辿り着き、憧れのルーベンスの絵の前で「パトラッシュ、疲れただろう。僕も疲れたよ。」と呟くとパトラッシュと一緒に息を引き取る。

あらすじを思い出しただけで泣けてきた。
猛烈に泣ける。

現地では忘れ去られた残念な原作

物語のあらすじが大きく違うことはないが、異なる点がいくつかあり、この相違点と価値観の違いがヨーロッパでの『フランダースの犬』の評価を決定的に下げている。

①ネロの年齢
日本版は8歳の少年として描かれるネロが、原作版では割と大人である15歳になっている。
→当時(19世紀)のヨーロッパで15歳はもう自立するべき大人の年齢に達していた。

②牛乳屋さんの仕事
日本版では村人があれこれ忖度した結果、ネロが貧しい子どもであると言う理由だけで牛乳運びの仕事を失ってしまう。
原作版では、ネロは新規事業者の参入で競争に敗れて仕事を失う。
→大人が職を失ったのに次の仕事も探さず、フラフラと恋愛をしたり絵を描いたりばかりしている。

③ネロの最後
日本版では家まで失い寒さと疲れの余り雪の中で眠ってしまい天に召されるネロ、原作版では死の決意、つまり自殺をしている。
→宗教的に自殺は大罪

このような具合で、ヨーロッパでは『フランダースの犬』は「ただのダメ男の陰気な物語」として捉えられており、もともとあまり人気もなかったため、今となってはすっかり忘れ去られてしまっている。
ちょっと、悲しい🥹

私「アントワープにフランダースの犬見に行くんだわー🥰」
フランス人「犬???フランダース地方?良いよね?」
私「???うん?」
みたいになったことがある、確かに。
私のフランス語が下手だから意思疎通できて無いだけだろうと思ってたけど、『フランダースの犬』観が決定的に違っていたらしい。

最終回の舞台、アントワープ聖母大聖堂を訪れる

少年ネロが見たかったルーベンスが飾ってある「アントワープ大聖堂」。

アントワープ大聖堂内

真っ白でプロテスタントっぽいシンプルな内装が荘厳で、あの「ルーベンス」が見放題。

ネロが観たかったのはこちら。キリスト昇架の絵

中央奥ではなく手前右側にかかっているこちらの1枚が、ネロが焦がれた1枚。
命かけてないのに、努力もしてないのに、入場料だけで観れてしまったなぁと、大迫力の本物を目の前に複雑な気持ちになる。

教会ビール

しんみりするけど、飲む。
砂糖とかタバコの専売制があったような感じで、ヨーロッパではビールやワインなんかのアルコールが教会特権で作られていたので、今でも教会に醸造所が併設されていたりして、気軽に飲める。

大聖堂裏庭にて

ビールの国でビール発見したら、とりあえず飲んでしまうよね。
天気も良かったし、老いも若きも皆まで飲んでいるんだし。
スタウトとラガー、2種類がいただけるようになっていた。

衝撃度100%🥹ネロとパトラッシュの像

ネロとパトラッシュの像、だと……?

ほろ酔いで気持ち良く出て来た大聖堂出入り口。
入る時には「なんかあるなー」と思いながらもスルーした像、なんと「ネロとパトラッシュの像」だった。

な、なんじゃこりゃあ!!!

しかもこれが結構でかい。ネロの顔だけでも、直径80cmぐらいはあったと思う。
「日本人がめちゃくちゃフランダースの犬のことばっかり言うから作ったらしいよ」と現地の人。
まじ?
ちなみに作者は中国人だったので、私の中の『フランダースの犬』とはミスマッチだけど、中国の『フランダースの犬』はこういう感じに違いない、多分。

もう出来てから8年も経ってるんだから、みんな知ってることなんだろうけど、めちゃくちゃびっくりして涙は引っ込み衝撃のアントワープ遠征が終了した。

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