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地域と若者をマッチングさせて新たなチャレンジを創り出す。

地域変革人材インタビュー vol.1

株式会社ガクトラボ ユースコーディネーター
広瀬 一樹さん


プロフィール

1991年、岐阜県高山市生まれ。2010年、金沢大学へ入学、在学中「株式会社 ガクトラボ」でのインターンを経て、卒業後入社。イベント運営・ファシリテート、学生キャリア・学生団体支援、既存コンテンツのオンライン化、インターンシップコーディネート、多様な人材(副業・兼業)と企業とのコーディネート、企業の採用支援・コンサルティング、大学共同で人材開発プログラムのコーディネートなどを手がける。’21年より金沢大学 地域地方創生人材教育(ENGINE)プログラムコーディネーターを務めている。

株式会社ガクトラボ ユースコーディネーター 広瀬 一樹さん

地域でどんな事業や活動を?

学生と企業・大学・行政との協働プロジェクトやイベントの運営など、学生と地域をつなぐ活動を始めて10年が経ちます。最初の3年間は6ヶ月間の実践型インターンシップを立ち上げから活動しました。企業の課題に向き合い、例えばマーケティングや新商品開発などの事業にインターン生が経営者や社員といっしょに実現を目指します。学生と企業がチャレンジするプログラムは100件以上コーディネートしてきました。また、イベント運営ではコロナ禍を機に石川県初の企業合同説明会のオンラインイベントをスタートさせました。 

ここ数年は学生領域を超えた活動が増えました。企業で働きながら自分のスキルを地域に還元したい人に向けた副業・兼業人材活用のコーディネートのほか、企業向けの採用コンサルタント、金沢で働きたい人のためのUJIターン交流イベントなども実施しています。また、高校生を対象にした起業家教育や、学校と家以外の居場所をつくるサードプレイス事業なども始め、「大学生と企業のチャレンジ」から「若者と企業のチャレンジ」へと活動範囲を広げています。 

金沢大学ではキャリア形成科目の授業やインターンの設計コーディネートを担当し、ENGINEプログラムに携わっています。信州大学・富山大学・金沢大学の3大学合同の授業やキャリア形成イベント、3大学混合のグループと地域企業が協働するインターンシップはプログラムの目玉となっています。学生たちの成長と地域の変革人材育成を目指して、僕らコーディネーターは学生や企業に対してサポート・助言を行うほか、プログラムの協力企業とのつなぎ役を担います。

仕事での苦労やこだわりは?

コーディネーターの仕事には人と人をつなぐ大きな役割があると考えています。仕事を通じてたくさんの人とのつながりが生まれ、様々な分野の方から話をお聞きするほどに、それぞれの立場での思いや課題、お困りごとがある一方で、ルールや制限があって、経営者や担当者の孤独みたいなものもわかってくる。そういう背景を理解しながら「この人とこの企業をつなげると面白くなる」とパッションを持って提案しています。事業に参加いただいた企業はすでに100社以上。企業ごとにやりたいことや大事にしていることが違うのでプロジェクトごとに分けてお声かけしますが、全部がうまくいくわけじゃない、むしろうまくいかないことばかり(笑)。

企業以外にも大学、金沢市や石川県、国との連携のもと、多くのプロジェクトを経験しましたが、どの事業でも学生目線で考えることを特に大事にしています。それと予算消化や売り上げのためだけの「こなし仕事」はしないよう肝に銘じています。常にこだわって考えるのは、この事業を通して地域がどうよくなるのか、企業や地域、学生のどんな新しいチャレンジを生み出せるのかどうか 。実際、単発のこなし仕事ばかりをやっても地域はよくならないんです。

 実は金沢の人口当たりの学生数や大学数の多さは全国トップレベル。だからこそ、ここにやって来た学生たちがチャレンジ機会を得ることで、将来自分らしく働いてくれて自分らしく生きてくれる、それに企業も協力してくれる。金沢がもっとそんなまちになるといいなと思って、僕らコーディネーターは使命感を持って活動しています。

 僕自身も学生の時に尊敬できる人やカッコイイ生き方に出会い、地域と共にチャレンジする面白さや感動にふれる原体験があって今があります。金沢大学在学中は土木建築を学んでいて、周りの先輩の大半が大学院へ進学或いはスーパーゼネコンなどへ就職していく中、自分にとって土木建築の仕事にも大手企業の世界にもワクワク感がなかった。大学3年の時、地域と学生のために力を注ぐ「ガクトラボ」の活動に興味が湧いて「自分もこんなふうに働いてみたい!」と思うように。インターン生として活動に加わり卒業後は社員に。自分の好きなことをやらせていただいているので、とてもやりがいがあります。だからといって絶対こうした方がいいと押し付けはしたくない。僕らのような地域活動も選択肢の一つとして知ってもらったうえで自分にふさわしい道を選んでもらいたいです。

地域に関わる面白さとは?

故郷の高山とまちなみが似ていることもあって、金沢には強い愛着があります。尊敬できる大人や好きな人たちといっしょにやりたいことができるのが地域に関わるこの仕事の面白さだと僕は思うんです。金沢はそれを可能にする土壌が育まれています。金沢には全国でもめずらしい学生のための条例があって、地域でのチャレンジを応援してくれる仕組みもある。地域に大学があることも大きい。企業も学生もチャレンジする機会に恵まれています。地域のために何かしたいという人材がもっと増えていけば、金沢はさらに魅力的なまちになるはず。だから僕はこれからもますます若者と企業をつなぎ、地域でチャレンジするきっかけをつくっていきたいですね。

金沢大学ENGINE Webサイト▶https://engine-prgm.w3.kanazawa-u.ac.jp/

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