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ゲーム紹介:ノコスダイス(2023年版)



新しい箱の画像

こんにちは。
Engamesで制作開発チームでマネージャーをしています橋本と申します。
『ノコスダイス』(新版)の記事を書こうとしたのですが、そもそも『ノコスダイス』がどんなゲームかという紹介がなかったので、先にそれから触れていこうかと思います。

1.どんなゲーム?

『ノコスダイス』は、最後に残すダイスが勝負の重要な鍵を握る、トリックテイキングゲームの1つです。
プレイヤーは、各ラウンドでカードが配られた後、場からダイスを取得し、カードとダイスをあわせて手札として持ちます。その後、トリックと呼ばれるミニゲームを数回繰り返します。各トリックにおいて、プレイヤーは手札を“1つ”出し、トリックの勝者が得点を獲得します。ラウンドの終了時、各自が最後に1つ残したダイスの出目が勝利したトリック数と一致すれば、さらなる大きな得点の機会がもたらされます。
プレイ人数分のラウンドを行い、もっとも合計点の高いプレイヤーがゲームに勝利します。

オリジナル版はゲームマーケット2016神戸でQuoth Gamesから頒布され、ゲームデザインは松本裕介さんです。当時のトリックテイキングファンを唸らせたゲームとして話題になりました。

その後、Engames初の自社デベロップ出版作品として商業版が2019年11月28日に発売されました。商業版開発時の葛藤が知りたい方は「ノコスダイスディレクターズノート」をお読みください。
https://note.com/engames/n/n9a7b4c2644bf

そしてこの度、Engamesブランドとして『ノコスダイス』を初の海外展開する流れとなり、併せて新版として作り直すこととなりました。
今回はそのあたりの話と新版の紹介をさせていただきます。

プレイの様子

2.新版での変更点

皆さんが知りたいであろう新版の変更点についてまとめました。
ルールと内容物で大きな部分で7箇所の変更を行いました。

新旧の箱サイズ比較

・箱サイズ、カードサイズの変更
上の画像のとおり、箱サイズは二回りほど大きくなります。また、これまではブリッジサイズという少し細めのカードサイズを採用していましたが、新版からポーカーサイズという他の多くのゲームでもよく使われるカードサイズを採用しました。

・5人プレイの追加
オリジナル版、最初の商業版ともにプレイ人数は3~4人でした。これは期待値の均整をある程度揃えるためでした。
カードやダイスの構成を変更せずに5人プレイが可能かの検討をしたところ、3~4人の均整の取れたプレイ感と異なるものの、新しいプレイ感があったため、5人プレイを採用することにしました。
期待値の話をすると、3人の場合は12トリックなので1人あたりの獲得できるトリックの期待値は4、4人の場合は14トリックなので期待値3.5に対し、5人の場合は12トリックなので期待値2.4と低くなります。
しかしこれにより、他の人数より「0トリック宣言を狙えそう」という新しいインセンティブが付加されていて、これが新しいプレイ感になります。ぜひ色々なプレイ人数で遊んでみていただきたいと思います。

・0トリック宣言のタイミングの変更と0トリック宣言カードの廃止
オリジナル版から最初の商業版になる際にも、分かりやすくする目的でタイミングを変更しました。
オリジナル版の際は、ダイスが3つ以上手元に残っている際に0トリック宣言が可能としていましたが、最初の商業版においては、ダイスの取得後のトリックが開始される前にと、0トリック宣言ができるタイミングを前倒しし、0トリック宣言成功でのボーナスをつけました。これに関しても詳しく知りたい方は「ノコスダイスディレクターズノート」をお読みください。
今回の新版ではさらに変更を行いました。
まず最初の商業版ではカードを用いて0トリック宣言を行っていましたが、0トリック宣言にも専用のダイスを用いることにしました。これによりゲームの最後には全員がダイスを残しておけるようになり、ゲームの一体感が上がりました。何より、タイトルのとおり完全に『ノコスダイス』にすることができたと思います。

0トリック宣言ダイスの採用に伴い、プレイアビリティを上げるために0トリック宣言のタイミングも少し変更しました。0トリック宣言を行うタイミング、つまり0トリック宣言ダイスを取るタイミングも通常のダイス取得のタイミングと同じで、順番にドラフトして獲得(0トリック宣言を)します。
0トリック宣言をするタイミングは最初の商業版よりさらに早まったように見えますが、実際には0トリック宣言ダイスはドラフトの最後の方に取ることになるので、タイミングはゲーム体験上ほぼ変わらなくなります。これによりダイス取得後に全員で1度手を止め、0トリック宣言の確認をするよりもスムーズにゲームを進行することができるようになりました。また、ドラフトにより緊張感が生まれるので、トランプ決定のためのプロセスをより楽しんでいただけるようにできたかと思います。

0トリックダイスは2個。ディールごとに2人までが0トリック宣言可能です。

・ダイススタンドの追加
ダイスやカードを回収する際に、トランプのダイスも一緒に回収してしまった経験はありませんか?(私はあります)
なので、トランプのダイスを入れ特別感を演出するための台座を作りました!
これにより、トランプとそれ以外のダイスが混ざることはなくなりました。また参照しないサイドの出目も隠れるため、トランプの確認も非常に楽になりました。もちろんダイスの大きさに合わせたジャストサイズなので使い勝手も抜群です。新版の目玉となる追加コンポーネントを是非ご覧ください。

最後に残ったダイス用の台座

・プレイヤーボードの追加
小さいようで大きな変更がこのプレイヤーボードです。ドラフトしたダイスを手元に晒すゲームにおいて、相手の手元のダイスの確認は重要です。今まではそれぞれが手元に好きな順番においていましたが、新版では強さごとにプレイヤーボード上に置く仕様に変更しました。これにより、強い手札を持っているのは誰かや、他の人のビッドの狙いなどもより負荷が少なく予測できるようになりました。

・得点計算用シートの追加
内容物としてなくてもいいですけども、やっぱりあった方が便利ですよね。別府さいさんに特別にデザインしていただいた得点計算用シートを追加しました。

得点計算シート

3.ゲームの流れ


もう少し詳しいゲームの流れを見たい方は下記をご覧ください。

各ラウンドは、以下の4つの順番にゲームを進行します。
1.カードの配布
2.ダイスの取得
3.カードとダイスのプレイ
4.得点計算

1.カードの配布
ラウンドの親を決めます。1ラウンド目は親をランダムに決め、2ラウンド目以降は前のラウンドの親の左隣のプレイヤーが親となります。
人数に合わせたカードを用意します。
親はカードを裏向きでよく混ぜ、各プレイヤーに均等に配ります。

カラフルなカードたち

2.ダイスの取得
親は通常ダイスだけをダイスバッグに入れてよく混ぜます。
親の左隣のプレイヤーから順に、時計回りで、各プレイヤーはダイスバックからダイスを取り出して振り、出目を変えずに各自の前に置きます。

すべてのプレイヤーがダイスを取り終えた後、親はダイスバックからダイスを取り出して振り、出目を変えずにテーブル中央に置きます。
テーブル中央の通常ダイスの近くに、0トリック宣言ダイス2個を置きます。
親の左隣のプレイヤーから時計回りで、プレイヤーはテーブル中央のダイスから1個を選んで取り、出目を変えずに自分の前に置きます。
この時、0トリック宣言ダイスを選んで取ることもできます。0トリック宣言ダイスを取った場合、テーブル中央の通常ダイスから任意の1個をダイスバッグに戻します。0トリック宣言ダイスを取ったプレイヤーは、そのラウンドで1度も勝利しないことを目指すことになります。0トリック宣言ダイスを1人のプレイヤーが2個取ることはできません。
テーブル中央の通常ダイスが残り1個になるまで取り続けます。

残った1個の通常ダイスを出目を変えずにダイススタンドに取り付け、テーブル中央に置きます。
各プレイヤーは取ったダイスをプレイヤーボード上に分けて置きます。

ダイスもとってもカラフル
ダイスのドラフト終了時の例

3.カードとダイスのプレイ
各プレイヤーがカードまたはダイスを“1つ”ずつ出して勝敗を決める「トリック」と呼ばれるミニゲームを数回行います。トリックの回数はプレイ人数によって変わります。
手元のカードと手元のダイスを総称して「手札」と言います。手札はより大きい数字であるほど強いとみなします。手元にあるダイスは同じ色・数字のカードと同じ強さとして扱います。

3-1.トリックの開始
親の左隣のプレイヤーが、手札1つ(カード1枚もしくはダイス1個)を前に出します。その後、他のすべてのプレイヤーが時計回りに手札を1つずつ出します。他のプレイヤーは「リードカラー」の手札があれば、必ずそれを出さなければいけません。また、「リードカラー」が切り札であれば必ず切り札を出さなければいけません。
「リードカラー」の手札が無い場合には、何を出してもかまいません。
カードは表向きで出し、ダイスは出目を変えずに出します。
0トリック宣言ダイスはどのような場合においても出すことはできません。

3-2.トリックの勝者判定
全員が手札を1つ出し終えたらトリックの勝者を判定します。「リードカラー」でもっとも強い手札を出したプレイヤーがトリックの勝者です。ただし、「切り札」が出されているならば、切り札の中でもっとも強い手札を出したプレイヤーがトリックの勝者です。
トリックの勝者は出されたカードとダイスをひとまとめにし自分の脇に置き、1トリック分の勝った目印にします。

「切り札」とは、他の手札より強い手札のことです。テーブル中央に1個残ったダイスの出目の数字、もしくは色と同じ要素を持ったすべての手札が切り札となります。切り札となった手札は、元の色を失い「切り札」という特別な色として扱います。

3-3.次のトリックとラウンドの終了
直前のトリックの勝者が「リード」をして次のトリックを行います。これを、全員の手札がダイス1個になるまで続けます。すべてのプレイヤーはラウンド終了時に必ずダイス1個を残す必要があります。
全員の手札がダイス1個になるとラウンド終了となり、得点計算を行います。

4.得点計算
得点計算シートにラウンドでの得点を記入します。以下の2種類の得点の合計が、ラウンドでの得点です。
4-1.勝利トリック数による得点
各プレイヤーは、勝利トリック1つにつき1点を獲得します。
4-2.勝利トリック数の一致による追加得点
各プレイヤーは、自分の前に1個だけ残したダイスの出目と自分の勝利トリック数を比べ、それらが一致していれば追加の得点を獲得します。さらに、0トリック宣言ダイスで一致したプレイヤーは0トリックボーナスを追加で獲得します。

得点計算シートに記入した後、再び「1.カードの配布」から始め、次のラウンドを行います。

ゲームの終了
人数分のラウンドを行ったらゲームは終了します。ゲーム終了時、もっとも合計得点の高いプレイヤーが勝利します。

オススメポイント
『ノコスダイス』(新版)はカードとダイスを手札として扱う少し特殊なタイプのトリテです。見えない手札のカード、見えてる手札のダイスを上手く出してビッド数に合うようにちょうどよく勝つ、コントロール精度を強く求められるタイプの玄人向けトリテです。
そのため、コントロール感のある玄人向けトリテを求めている方には非常にオススメです。

また、最初の商業版と同様、イラストレーションとグラフィックデザインは別府さいさんに引き続きお願いしました。最初の商業版の幻想的な雰囲気は変わらず、それに合わせて追加の内容物をデザインしていただきました。こちらも非常に所有欲をくすぐるデザインになっていますので、是非ご検討ください。

こんな人には合わないかも…
トリテというジャンルが苦手な方には当然ながらおすすめできません。
先にもご紹介しましたが、『ノコスダイス』(新版)はコントロール精度を強く求められるタイプの玄人向けトリテです。ゲームのシステム上、相手を突き落とすことで自分の得点が増えるので、そのようなゲームをしたくない方にはおすすめしません。

最後に

『ノコスダイス』(新版)は、10月にドイツで行われるボードゲーム・カードゲーム・TRPGのユーザー向けの見本市SPIEL Essenにて発表します。SPIEL EssenやBGGに登録してからというもの、海外のユーザーさんやお店から多くの問い合わせがあり、海外の人も心待ちにしていたのだと実感しています。
昨年のホビー・ジャパン様の『キャット・イン・ザ・ボックス』に続き、日本のトリテが世界に羽ばたきます。その雄姿を皆様も見守っていただけますと幸いです。

弊社としても今後、自社デベロップの出版作品を増やしていきたいと考えています。『ノコスダイス』に続くよう、海外への展開も視野に入れた作品の発掘をしていきますので、そのような作品がありましたらご連絡ください。ゲームマーケットで(こっそり)伺わせていただきます。

『ノコスダイス』(新版)の一般発売日は12月を予定しており、定価2750円(税込)です。
ゲームマーケット秋でも試遊や先行販売をいたしますので、気になる方はブースまでお越しください。

ゲーム名:ノコスダイス
プレイ人数:3~5人
対象年齢:10歳~
プレイ時間:45~60分

参照したボードゲーム
・キャット・イン・ザ・ボックス
https://boardgamegeek.com/boardgame/345972/cat-box-deluxe-edition

#ボードゲーム

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