ゲーム紹介:クルセイダーズとクルセイダーズ:神の影響力



こんにちは。
Engamesで制作開発チームでマネージャーをしています橋本と申します。
Engamesではこの度、『クルセイダーズ』を発売することとなりました。

さらに、拡張セット『神の影響力』も同時に発売いたします!

今回は『クルセイダーズ』の基本ゲームと拡張セット『神の影響力』についてご紹介いたします。

どんなゲーム?

まずは『クルセイダーズ』の基本ゲームのご紹介です。
プレイヤーは中世の騎士団の長として、ヨーロッパを股にかけて騎士たちを移動させ、敵を倒し、建物を建設し、自分の教団の影響力を広げます。教団が強大になるにつれて、国王のフィリップ4世は神経質になり、ついには教皇を説得して教団を解散させ、ゲームは終了します。
『クルセイダーズ』内でのアクションは、アクションホイールによって行われます。ホイール沿いにアクショントークンを移動させるにつれて、各アクションの強弱が変化します。ゲーム中、プレイヤーはこのアクションホイールを改良することができます。アクションを実行するタイミングとアクションホイールの管理が、戦略を成功させるための鍵となるでしょう。


『クルセイダーズ』は主なメカニクス(メカニズム)に『マンカラ』の駒移動を用いたゲームとなります。
マンカラとは東南アジアやアフリカなどで古くから遊ばれている伝統ゲームのことで、自分の陣地にあるコマすべてをゴールに移動させたら勝ちというゲームです。コマは陣地1つの上からすべて取り、隣の陣地に1個ずつ置いて移動させます。
『クルセイダーズ』では、このコマの独特な移動方法をアクションとして活用しています。


各プレイヤーは個人ボード上に6つの区画からなるアクションホイールを持っていて、手番ではこの区画の1つを選びアクションを行った後、その区画のコマをマンカラの要領で移動させます。
区画にあるコマの個数によってアクションの強さが代わるので、このコマのマネジメントが重要になってきます。


移動、招集、十字軍、影響力、建設の5つのアクションがあり、これらのアクションを上手く使って自分の教団の影響力をヨーロッパ中に広げていきます。

移動:自分の騎士コマを移動させる。
召集:軍隊を召集する。
十字軍:自分の騎士コマがある場所の敵トークンを討伐する。
影響力:影響点を得る。
建築:自分の騎士コマがある場所に建物を建てる。

アクションの他に手番では改良を選ぶことができ、自分のアクションホイールの区画1つを裏返すことにより、より便利なアクションへと改良できます。区画の裏面にはアクションが表面のアクション1種類+別のアクションがもう1種類描かれています。裏面の区画でアクションを行う場合、2種類のアクションを両方行えるようになります。


ゲーム準備時に人数によって既定の影響点トークンが用意されて、すべての影響点トークンが取られたら、そのラウンドを完了させて全プレイヤーの手番数が同じになるようにし、そこでゲームは終了します。

その後、建物によってゲーム終了時に与えられる影響点と、討伐した敵の種類ごとにプレイヤー上位2名は優勢ボーナスタイルの影響点を得ます。これらの影響点とゲーム中に得た影響点を合計し、最も多くの影響点を獲得したプレイヤーが勝者となります。


拡張での変更点と追加要素

『クルセイダーズ』は拡張を入れて初めて完成する、と噂されるほど拡張セットが重要です。拡張セットを入れることで強すぎた影響力アクションが大きく改善され、追加の建物によって拡大していくプレイ感をより味わえるようになっています。
今回は大きくこの2点について紹介します。


・影響力アクションの変更
影響力アクションで、プレイヤーは騎士団の言葉を広めることによって影響力タイルを得ます。基本では、アクション時の区画のコマの個数分の勝利点を得る、というおもしろくないわりに強すぎる効果でした。拡張では準備時に各地に影響力タイル(下記画像のひし形のタイル)が置かれ、アクション時の区画のコマの個数以下のレベルの影響力タイルを得る、というように変更されました。
影響力タイルを得るとそのレベルによって勝利点が得られ、さらに改良の即時効果や別のアクションが強化される持続効果などを得られるようになりました。
ただ、影響力タイルはそれがある場所に移動しないと取ることができなく、他の人に先に取られてしまうともう取れなくなります。影響力タイルの追加によって、各地に建物以外の早取り要素と能力の拡大要素が追加され、より戦略的なゲームとなりました。


・追加の建物
新しい建物が増えていて、建設アクションでさまざまな新しい利益をもたらす多様な建物を建設することができます。
追加の建物は、追加の個人ボード上に通常の建物と同様に並んでいて、立てることで建物の下に書かれたボーナスが解放されます。追加の建物のボーナスは通常ゲームとは大きく異なり、アクション駒を追加したり、追加の改良を行えるなど通常の建物にはなかった効果があり、騎士団タイルとの相性を鑑みて解放ボーナスを考える楽しさが増えました。
注意点として、通常の建物は木ゴマでしたが、追加の建物はタイル製になります。

※追加の建物の木駒を製作できないか模索していますので、決まりましたらお知らせいたします。


おすすめポイント1
様々な騎士団

『クルセイダーズ』は基本だけでも10種類の騎士団タイルがありますが、拡張ではさらに4種類の新しい騎士団が追加されます。
どの騎士団も非常に特徴的で、それぞれに合った戦略を考えることが楽しく、いろいろな騎士団で遊んでみたくなります。

例えば下記の「ホスピタル騎士団」では、アクション駒を分配するとき、アクション区画を1つだけ飛ばすことができます。
マンカラのメカニズム上、本来なら必ず各アクション区画に駒を分配するので、行いたくないアクションもいつかはやらないといけないのですが、この騎士団では使いたくないアクションにコマを置かなくてもいいという能力になります。つまり強いです。その代わり、初期のアクション駒が他の騎士団よりも少なく調整されています。


また下記の「王帯女性騎士団」ではゲームの準備中、アクション駒2個の代わりに大アクション駒を置きます。この大アクション駒はアクションを解決するとき、アクション駒2個として数えます。
『ガイアプロジェクト』のタクロン族のように1個が複数個のパワーになる駒を持っています。一見地味めな能力ですが、マンカラでは1度に2個の駒を操れることになるので、使いこなせるとその強さが分かります。


おすすめポイント2
自然と拡大する騎士団

『クルセイダーズ』の魅力の1つとして、能力の拡大要素があります。これはいろんなアクションに付随しており、何かのアクションをするたびに別のアクションの値が強化されます。召集アクションでは十字軍のアクション値が強化され敵の討伐を容易にできたり、建設アクションでは建設自体の強化や追加影響点の解放など、自分の騎士団の特性やゲーム状況に合わせて能力を拡大する楽しみがあります。
ゲーム時間としては90分前後かかりますが、ゲーム中に自然とアクションが強化され、やりたいことがどんどん増えていくので、プレイヤーを終始飽きさせません。
ゲーム中に自然と強化される快感は万人におすすめできるポイントになります。


※お知らせ※

今回の日本語版発売に伴って基本の原版タイトル『Crusaders: Thy Will Be Done』は『クルセイダーズ』、拡張の原版タイトル『Crusaders: Thy Will Be Done – Divine Influence』は『クルセイダーズ:神の影響力』となります。実直に翻訳版とするなら『クルセイダーズ:御心のままに』と副題をついたままにするところですが、拡張との混同を防ぐために基本はシンプルに『クルセイダーズ』とさせていただきました。

また、拡張『クルセイダーズ:神の影響力』内の騎士タイルの裏面について注意点がございます。
拡張を入れる際に、基本と拡張の騎士タイルを混ぜて遊ぶことができます。しかし基本と拡張は下記画像のように裏面が異なっております。そのため、基本と拡張の騎士を混ぜて遊ぶ際には袋を用いて裏面が見えないようにする、テーブルの下で混ぜてからランダムに引く、など行ってください。


過去の多言語版で話題に上がった「聖墳墓騎士団」の名称については、日本語の聖墳墓騎士団、あるいは聖墳墓騎士会・聖墳墓教会・Equestrian Order of the Holy Sepulchre of Jerusalem(エルサレム聖墳墓騎馬騎士団)にちなんで名づけられた架空の騎士団の可能性が高いため、今回の日本語版でも「聖墳墓騎士団」としました。


こんな人には合わないかも…

『クルセイダーズ』というゲーム名から感じる「戦い」や「聖戦」の印象とは異なり、基本的に自分の騎士団の影響力をヨーロッパ各地へ広げるという布教系ゲームになります。
トークンの異教徒(敵)を討伐し、自分の影響力を広げるという要素は得点行動として非常に有効ですが、他のプレイヤーとの絡みは建物などの先取や討伐した敵のマジョリティのみなので、少し寂しく感じる方もいるかもしれません。

一方で、あまり邪魔されずに自分の戦略を試してみたいという方にはおすすめです。ゲームの主な部分はプレイヤーボード上のマンカラの操作になります。基本的には他プレイヤーにあまり邪魔されない仕組みなので、個人個人のマンカラの状況に合わせて計画立て、思い思いの戦略を試し、自由に遊ぶことができます。


最後に

『クルセイダーズ』は2008年にディアシュピールさんから多言語版という形で販売されていました。しかし版元Tasty Minstrel Games (TMG) の事実上の破産などの諸般の事情により、現在では入手が非常に難しくなった傑作ゲームの1つです。
今回はこの傑作ゲームを一般流通させるべく、ディアシュピールさんにも許可をいただいた上で、新たな版元Renegade Game Studiosを通して、日本語版を出版させていただく運びとなりました。

弊社としてはオルレアンに続く、傑作ゲームのリバイバル企画第2段となります。
これからも良いゲームの一般流通に力を入れていきますので、是非とも遊んでいただけますと幸いです。


一般発売は基本・拡張ともに1月25日になります。
『クルセイダーズ』の価格は税込み8,800円、『クルセイダーズ:神の影響力』の価格は税込み4,950円になります。


ゲーム名:クルセイダーズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:45~60分

ゲーム名:クルセイダーズ:神の影響力
プレイ人数:2~4人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:45~60分

参照したゲーム

『マンカラ』
https://boardgamegeek.com/boardgamefamily/9/traditional-games-mancala

『ガイアプロジェクト』
https://boardgamegeek.com/boardgame/220308/gaia-project

#ボードゲーム


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?