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心の燃えカス

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胃の奥に溜まっている『心の燃えカス』みたいなモノを、吐き切りたいのでエッセイとを書いてます。皆さんに共感して貰えるとは思いませんが、各々、突っかかっている何かを、吐き出すキッカケ… もっと読む
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#自分と向き合う

歩けども、歩けども

歩けども、歩けども

歩きながら、考え事をしている。

信号が、赤に変わった。大通りと細い通りが複雑に絡まる交差点、高速道路の入り口でもある。青に変わるまで、結構、時間かかりそう。向こうから、トラックが来た。交差点に差し掛かる、数十m前からブレーキを踏み、緩やかに停止した。前に、3人乗りのようだ。運転席と助手席の間に、座高を高くした、金髪の若者が座っている。運転しているのは、1番のおじさんっぽい。彼は、とても退屈そうに

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駒込ピポットを盗んだ

駒込ピポットを盗んだ

中学1年の冬だったか。僕が犯行を行ったのは。

あれは、理科の実験で「紫キャベツの煮汁」を作った日。理科室の窓からは、校庭に積もった雪が見える。朝礼台やサッカーゴールが、埋もれていた。昨夜の大雪の所為か。敷き詰められた雪に、太陽光が反射し、教室を熱くした。矛盾した気温に「身勝手な」と思った。

鍋の中でキャベツが煮込まれており、紫色の汁が出来上がっている。ビーカーに移した紫の液体。僕たちは、駒込ピ

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承認欲求の王さま

承認欲求の王さま

「裸の王様」

たしか、幼稚園の頃だったか。先生に読み聞かせをして貰い、殴り書きのような絵を描いた記憶がある。握り潰すように右手でクレヨンを持ち、真っ赤な肌、過剰に塗りつぶした黒い目、異様に膨らんだズボン。全然王様じゃない。バケモノである。

それ以来、思い出したこともなかったが、ふと読みたくなり、書店の童話コーナーに来た次第である。当時「面白いな」と思った記憶はある。もちろん「権威ある王様が裸に

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親しき仲にも配慮が無いと

親しき仲にも配慮が無いと

嫁が、冷蔵庫の上にある小さな収納棚を指差して『ハンドソープの詰め替え、取って』と言って来た。確かに、冷蔵庫の身長は、彼女よりも高い。棚から詰め替えボトルを取り出すには、踏み台を準備して、2段登らなければならない。でも、僕の身長ならば、つま先立ちをすればギリ届く。命令口調に多少引っ掛かりながらも『まぁおれの仕事だな』と自分を説得し、冷蔵庫の前を通るついでに取り出して、キッチンの上に置いておいた。

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短所7、長所3

短所7、長所3

中学の国語の教師が話していた事を、なぜか頭の片隅に置いている。

なんの授業をしていたかは、全く覚えていない。尾崎放哉なのか、古今和歌集なのか。そもそも、国語の授業中に、なぜこんな事を言ったのか。教え子相手に、調子に乗ってカッコつけちゃったのかな?

第一、国語は嫌いだった。活字は読みにくいし、シンプルに地味だったから。中学から高校までの6年間ノートを取らなかった。最後の方は意地でも取らないように

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比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない

比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない

誰かと自分を『比較』しては、テンションが下がり、下を向いて歩く日々を送っている。

ことエッセイで言えば、人気の記事を読み『どうやったら俺のも読んでもらえるのか?』『このテーマで俺ならどう書く?』『俺にこの描写、このまとめ方ができるのか?』などと、考えてしまう。

そして、読み終えた直後、自分の可能性に賭け、いざ筆をとると、あまりに無惨な表現に、吐き気を催す。

何も出ない。

気を抜いていると、

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これが『弱さ』を認め人の靴を舐める『強さ』を手にする手順である

これが『弱さ』を認め人の靴を舐める『強さ』を手にする手順である

あんぐりと口を開き、左斜め上あたりを眺めている。ふと『上顎は乾いているのに、口の中にヨダレが溜まってきた』という事実に気付き、この世に帰って来たところである。

その時、僕の目の前を、宙に漂う『埃』が横切った。

目で追ってみると、左斜め上から落ちてきた埃は、空気抵抗で少しホップアップしたり、瞬間的にスピードを上げたり、歪な動きをしている。僕には感じ取れない程の、微かな空気の流れに、身を任せている

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取り憑かれる逸材

取り憑かれる逸材

ミスった。初めから夢が変わらない大人になればよかった。

3歳から鍵盤に触れ続けていれば、今頃、世界的なピアニストになっていたかもしれないし、赤ちゃん歩きでボールを必死に追いかけ、親心をくすぐってあげていれば、今頃、シックスパックのCMに起用されるサッカー選手になっていたかもしれない。

僕は何かしらの、1000年に一度の逸材だったかもしれないのに、本当にミスったと思っている。

僕が『逸材』とし

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服を脱いで洗濯をしたから

服を脱いで洗濯をしたから

SNSに股間を晒そうとした事がある。
違う。趣味で、ではない。

隠す事より、全て見てもらう方が、楽だと思ったからだ。僕があまりにも真剣な顔付きで相談するものだから、嫁は『流石にキモい』と言っていた。

エッセイを書いていると『自分をどこまで曝け出せるか』という ”ハイ” の状態になる事がある。奥底にいる自分を曝け出すと、生活をしていく上で『不必要になった自分』が、生き帰るような気がしてくる。それ

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