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心の燃えカス

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胃の奥に溜まっている『心の燃えカス』みたいなモノを、吐き切りたいのでエッセイとを書いてます。皆さんに共感して貰えるとは思いませんが、各々、突っかかっている何かを、吐き出すキッカケ… もっと読む
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2024年4月の記事一覧

歩けども、歩けども

歩けども、歩けども

歩きながら、考え事をしている。

信号が、赤に変わった。大通りと細い通りが複雑に絡まる交差点、高速道路の入り口でもある。青に変わるまで、結構、時間かかりそう。向こうから、トラックが来た。交差点に差し掛かる、数十m前からブレーキを踏み、緩やかに停止した。前に、3人乗りのようだ。運転席と助手席の間に、座高を高くした、金髪の若者が座っている。運転しているのは、1番のおじさんっぽい。彼は、とても退屈そうに

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駒込ピポットを盗んだ

駒込ピポットを盗んだ

中学1年の冬だったか。僕が犯行を行ったのは。

あれは、理科の実験で「紫キャベツの煮汁」を作った日。理科室の窓からは、校庭に積もった雪が見える。朝礼台やサッカーゴールが、埋もれていた。昨夜の大雪の所為か。敷き詰められた雪に、太陽光が反射し、教室を熱くした。矛盾した気温に「身勝手な」と思った。

鍋の中でキャベツが煮込まれており、紫色の汁が出来上がっている。ビーカーに移した紫の液体。僕たちは、駒込ピ

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承認欲求の王さま

承認欲求の王さま

「裸の王様」

たしか、幼稚園の頃だったか。先生に読み聞かせをして貰い、殴り書きのような絵を描いた記憶がある。握り潰すように右手でクレヨンを持ち、真っ赤な肌、過剰に塗りつぶした黒い目、異様に膨らんだズボン。全然王様じゃない。バケモノである。

それ以来、思い出したこともなかったが、ふと読みたくなり、書店の童話コーナーに来た次第である。当時「面白いな」と思った記憶はある。もちろん「権威ある王様が裸に

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