遠藤ビーム

【毎週木曜日更新】 ジェイコブいうコンビの片方です。さけるチーズを裂かずに食べるよう…

遠藤ビーム

【毎週木曜日更新】 ジェイコブいうコンビの片方です。さけるチーズを裂かずに食べるような、どうしようも無い人間です。主に悲しみや、惨めさを消化する為に、エッセイを書いています。

マガジン

  • 心の燃えカス

    胃の奥に溜まっている『心の燃えカス』みたいなモノを、吐き切りたいのでエッセイとを書いてます。皆さんに共感して貰えるとは思いませんが、各々、突っかかっている何かを、吐き出すキッカケになれれば良いな、と思っております。

  • 僕の旅行記

    よく旅をし、よくエッセイにします。

  • 感想文

    作品等の感想文等を書いています。

  • 恥も外聞もある

    今思い出すと恥ずかしい出来事がたくさんありますので、ここに書き記し、自分を戒めたいと思います。

最近の記事

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奥歯に空芯菜が挟まったまま伝える妻への愛

右奥歯、奥から2列目の隙間に空芯菜が挟まった。 いつもより強めに歯を磨いても、奇跡的に嫁が持ってきていたデンタルフロスを使っても、なぜか取れない。 口の中を最新のiPhoneで照らし、鏡で確認すると、そこにあるのが見えている。なのに、なぜか取れない。Apple社も、まさか最新のiPhoneが、奥歯を照らす為に使用されているとは、夢にも思ってない事だろう。 凄まじい顔で、空芯菜と向き合っている『鏡の中の僕』と目が合った。もうジャックニコルソンにしか見えない。 『でも奥歯と

    • 歩けども、歩けども

      歩きながら、考え事をしている。 信号が、赤に変わった。大通りと細い通りが複雑に絡まる交差点、高速道路の入り口でもある。青に変わるまで、結構、時間かかりそう。向こうから、トラックが来た。交差点に差し掛かる、数十m前からブレーキを踏み、緩やかに停止した。前に、3人乗りのようだ。運転席と助手席の間に、座高を高くした、金髪の若者が座っている。運転しているのは、1番のおじさんっぽい。彼は、とても退屈そうに、前に屈み、肘でハンドルを操作している。明後日の方向を見てるよう。ラジオでも、聞

      • 駒込ピポットを盗んだ

        中学1年の冬だったか。僕が犯行を行ったのは。 あれは、理科の実験で「紫キャベツの煮汁」を作った日。理科室の窓からは、校庭に積もった雪が見える。朝礼台やサッカーゴールが、埋もれていた。昨夜の大雪の所為か。敷き詰められた雪に、太陽光が反射し、教室を熱くした。矛盾した気温に「身勝手な」と思った。 鍋の中でキャベツが煮込まれており、紫色の汁が出来上がっている。ビーカーに移した紫の液体。僕たちは、駒込ピポットを使い、酢や重曹を垂らす。混り合った液体は、青やピンクに色を変えた。摩訶不

        • 承認欲求の王さま

          「裸の王様」 たしか、幼稚園の頃だったか。先生に読み聞かせをして貰い、殴り書きのような絵を描いた記憶がある。握り潰すように右手でクレヨンを持ち、真っ赤な肌、過剰に塗りつぶした黒い目、異様に膨らんだズボン。全然王様じゃない。バケモノである。 それ以来、思い出したこともなかったが、ふと読みたくなり、書店の童話コーナーに来た次第である。当時「面白いな」と思った記憶はある。もちろん「権威ある王様が裸になる」という設定の面白さなど、まったく理解していない。可笑しさのキモも分からない

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          タコが悪口なもんか

          歩いていたら『良い加減にしろ、このタコ』という怒鳴り声が耳に入ってきた。令和の時代に、なかなかお耳に掛かれない、貴重な罵詈雑言である。 思わず声がする方を振り向くと、若い後輩社員らしき男が、クソ味噌に叱られている。彼は、良い加減にしないといけない程、悪い事をしたのだ。上司の顔色を伺うに、7回は同じミスをしたであろう剣幕である。後輩社員のストレスメーターが、急上昇しているようだ。僕もよく、上司に怒られたので分かる。 僕は、月末の締め業務が、どうしても出来なかった。何度怒られ

          タコが悪口なもんか

          こちら東京、こちら東京

          また、靴下に穴が空いた。いつもと同じ、中指の爪先と、足の裏。 全く、いつ空いたのだ。朝は、こんな穴無かったはずである。確かに、僕は注意力散漫な男ではある。でも、中指がこの長さまで、はみ出しているのに、見逃すのは逆に不可能である。 ああ、でもダメだ。朝から穴が空いていた気がして来た。この前、なぜか右目の下辺りにマヨネーズが付いていた。それに気付かず、喫茶店に入り、恥をかいた。朝の自分が信じられない。どんどん思い出して来た。お気に入りのチノパンのポケットが牛タンの様にベロンと

          こちら東京、こちら東京

          僕にもラブ・ソングを

          『カラオケ90点以下は、猿以下』 小さな街に、文化は入ってこない。僕が生まれたのは東北の田舎で、お洒落なカフェなど1件も見当たらない。カフェインを取りたいのであれば、激渋の緑茶を飲むしかないような街だった。コーヒー豆1つすら入って来ない閉鎖されたこの場所で、娯楽といばパチンコか『カラオケ』だった。 僕は、歌が得意だ。 小学校の頃、合唱コンクールの練習で、外部から来た講師に、両肩を掴まれ『君の声は、まるでウィーン合唱少年団のようだ』と絶賛された。ウィーン合唱少年団?見た事

          僕にもラブ・ソングを

          禍福はトム・ハンクスの如し

          『自分を精神的に追い詰めて、映画への没入感を増幅させる』 これは僕が考えた、観劇ハックの1つだ。 これは、とても良い。『映画なんて見てる場合じゃない』のは当たり前で、気を抜くと天井の角を2時間くらい見つめている、そのくらいには追い込んだ方が良い。その方が、映画の世界観へ入れて、成功した暁には、脳がトリップする。 蛍だって、そうだろう? 家の裏山に行けばいつでも見られたあの頃も良かったが、一定のポイントまで追い込まれた現代の蛍の方が、より輝きへの有り難みが増すというもの

          禍福はトム・ハンクスの如し

          時計じかけのフルメタル・ガンプ

          人と違う感性を持っていると思われたくて『フォレスト・ガンプ』を見たことがない。もちろん、馬鹿げた意地だと分かっている。 『Run ! Forrest! Run!』 作中に出てくるこの名シーンを、僕は見た事が無い。なぜ知っているかというと『フォレスト・ガンプごっこ』なるものが流行ったからだ。なので、使った事はある。先頭に遅れをとっている全ての人を『フォレスト』と呼びつけにし、走らせていたのも、その時期だ。 実際、誰が何の目的で、フォレストを焦らせているのか、なぜフォレスト

          時計じかけのフルメタル・ガンプ

          親しき仲にも配慮が無いと

          嫁が、冷蔵庫の上にある小さな収納棚を指差して『ハンドソープの詰め替え、取って』と言って来た。確かに、冷蔵庫の身長は、彼女よりも高い。棚から詰め替えボトルを取り出すには、踏み台を準備して、2段登らなければならない。でも、僕の身長ならば、つま先立ちをすればギリ届く。命令口調に多少引っ掛かりながらも『まぁおれの仕事だな』と自分を説得し、冷蔵庫の前を通るついでに取り出して、キッチンの上に置いておいた。 ソファに座り、一連の流れを振り返ると、僕の中にポジティブな感情が生まれている。達

          親しき仲にも配慮が無いと

          短所7、長所3

          中学の国語の教師が話していた事を、なぜか頭の片隅に置いている。 なんの授業をしていたかは、全く覚えていない。尾崎放哉なのか、古今和歌集なのか。そもそも、国語の授業中に、なぜこんな事を言ったのか。教え子相手に、調子に乗ってカッコつけちゃったのかな? 第一、国語は嫌いだった。活字は読みにくいし、シンプルに地味だったから。中学から高校までの6年間ノートを取らなかった。最後の方は意地でも取らないようにした。何度も怒られたので、取ったフリはしなければならなかった。僕は工夫して、ノー

          短所7、長所3

          弔い

          必ず死ぬのであれば、死は『ゴール』なのかな。 人の死は、どうしようもない程、辛く、苦しく、悲しい。昨日まで、そこにいた人が、この世からいなくなる。それは、今更どう足掻いても、どう頑張っても、覆ることはない事実。頭の良い学者や、偉い人たちにも、解決できない事らしい。 覆りっこない事を、みんな分かっているから、悲しい。期待する場所も、すがりつく場所もなく、心に『事実のみ』が流れ込んで来て、その大きな質量を、堰き止める事ができず、痛みに襲われる。 『もう、会うことが出来ない』

          よく聞け、そこの馬鹿ヤンキー共

          今日という今日は、言ってやる。 お前たち馬鹿なヤンキーが大嫌いだ。 お前らは、自然発生した『のほほん』という、人畜無害で素敵過ぎる空気を、一瞬にして破壊する。 なぜお前たちは、恐怖で空間を支配しようとするのだ。 こじんまりとした銭湯。アットホームで温かい空気。10数名の客が、それぞれの仲間と来ている。他の客が迷惑しない程度のボリューム、下品過ぎず、程よくつまらない会話、気兼ねないゆったりとした間。全てが『チル』な世界。 僕も友人と、この後食べに行く、ラーメンの話しをし

          よく聞け、そこの馬鹿ヤンキー共

          地上最強の生物『嫁』

          嫁と喧嘩になった。主に、お金の件でだ。 正直、そこまで言われる筋合いは無い。 僕は今、ムカついている。 ストレス発散に、勢い任せにこの記事を書いている所である。 僕の嫁は、陸上の生物の頂点に君臨している。 食物連鎖のトップだ。彼女の性格は、暴虐武人で傲慢、自分勝手で、まさに暴君である。彼女は、理性や、都合などでは動かない。怒りを覚えたら、そのままに怒る。本能に忠実に、怒りを露わにするのだ。 自分に不都合な事があると、それはそれは、尋常ならざる勢いでキレる。自分の事

          地上最強の生物『嫁』

          僕が混浴でシェパードになった日

          混浴には『欲望の悪魔』が棲みついている。 あれ?今日は確か、平日だよな? なぜか、リビングの天井が見える。ロフト付きの部屋。天井が高い。 どうにも、この場所から動けそうにないのだ。 今頃、皆んなは、汗水垂らして、働いているのだろうか。 言っておくが、何も、僕だって休みたかった訳ではない。サボりたくて、布団に包まっている訳じゃない。僕にだって、溜まっている仕事もあるし、今日も予定が入っていた。それをドタキャンしてまで、家にいる。 申し訳ない。 だけど、今回ばかりは

          僕が混浴でシェパードになった日

          比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない

          誰かと自分を『比較』しては、テンションが下がり、下を向いて歩く日々を送っている。 ことエッセイで言えば、人気の記事を読み『どうやったら俺のも読んでもらえるのか?』『このテーマで俺ならどう書く?』『俺にこの描写、このまとめ方ができるのか?』などと、考えてしまう。 そして、読み終えた直後、自分の可能性に賭け、いざ筆をとると、あまりに無惨な表現に、吐き気を催す。 何も出ない。 気を抜いていると、下書きに、うんこや、ちんこの話が溜まっている。 逆も然り。 『自分も同じ事を

          比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない