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おすすめハラスメント・本棚編

合法ハラスメントの時間です。

ベルサイユのゆり/吉川トリコ 著

こいつフランスの話しかしないというツッコミは受け付けていません

この本は2019年に購入してから、すでに4回、つまり年1ペースで読んでいるくらい好きな本。太宰の『斜陽』と並んでわたしがもっとも高頻度で読んでいる本だと思う。(ちなみに斜陽もおすハラするか迷ったけれど、あまりに有名で読んでいる人は多そうだから今回はやめておいた。でも未読の人はぜひ!)

吉川トリコ氏の『マリー・アントワネットの日記』に続く作品で、『マリー・アントワネットの日記』では、日記という名の通りマリーの独白が綴られていたのに対し、『ベルサイユのゆり』では、マリー=アントワネットと深い関係を持つ人物が、アントワネットのこと、そして自分の人生のことを語るかたちで構成されている。

日記の方もゆりの方も、口語体で書かれている。特に日記の方なんて現代スラング山盛りで、ルイのことは自担と読んでしまうし草も生やすしですごい。注はついているけれど、あと5年、10年も経てば若者には通じなくなりそうな本だ。そしてそのテイストながらも、史実にすごく忠実に書かれている。3冊通じて、稀有な読書体験ができる作品たちだと思う。

ちなみに三つ並べるとこうなる。かわいいでしょう?

日記も大好きな本でぜひぜひ読んでもらいたいのだけれど、どちらが好きかと聞かれると、きっとゆりなので今回はゆりをおすすめすることにした。

この作品には、いろんな女(と一人の男 ※フェルセンでもルイでもない)が出てきて、語っていく。

マリーの親しい友人、ランバルとポリニャック。

マリーの名を決定的に貶めることとなった首飾り事件の犯人、ジャンヌ。

前王ルイ15世の公式寵妃、デュバリー夫人。

マリーと共にモード革命を起こした、ローズ・ベルタン。

そしてマリーの娘、マリーテレーズ。

それぞれにタイプも人生も違うけれど、全員戦う女だ。社会秩序、運命、女の壁、革命、襲い掛かる数々の困難にも負けずに戦い抜いた彼女たちの語りを聞くことで、いつも元気と戦う活力をもらえる。読む場所によるけど、元気な時に読むと絶対に負けない!すべてに勝ってすべての敵をひれ伏せされてやりたい!という気持ちになるし、元気じゃないときに読んでも、ろくでもない人間たちに負けずに強く生きようと思える。この本はわたしのドーピング剤。

その意味では、マリーこそ戦い抜いた女だけれど、彼女の場合はもうあまりにおいたわしい上に、マリーが好きすぎるわたしは毎回怒りに燃えて、民衆というものに心の底から絶望してしまうので、だからこちらの方がよく手に取ってしまうし好きなのかもしれない。まだライト。

でも戦う勇ましさだけではなくて、人生の悲哀とかあの頃のフランスの甘美さだとかいろいろなものが詰まっていて、本当にとっても素晴らしい本なんです。甘くて悲しくてつらくて、でも元気が出る。すごい。

ここまでつらつら書いてきたけれど、わたしがここまでこの作品を愛しているのは、並々ならぬマリーへの想いとフランスへの憧れと、なにより女だからというところもあるとは思う。だからこそ、ほかの人の感想が聞きたいのでわたしのために読んでください。感想教えてもらいたい。

約束された場所で/村上春樹 著

ある程度の年齢の人であれば、日本で知らない人はいないであろうオウム真理教。地下鉄サリン事件が起きたあと、オウムの元信者たちに、あの村上春樹氏がインタビューした内容がまとめられている。

村上氏は地下鉄サリン事件の被害者に対してインタビューした著書も出版している。どちらも読んだのだけれど、圧倒的にこちらの方が共感できて自分がすごく怖くなった。

当たり前と言えば当たり前なのだけれど、地下鉄サリン事件の被害者の方たちは、共通点はサリン事件の被害者であるということだけなので、それまでたどってきた人生も価値観も、もちろん人によって違う。その路線にある業界の企業が多かったのか特定の業界が多いような気がしたが、その多様さは、一般の社会とさほど変わらなかった。だから、共感できる人もいたしできない人もたくさんいた。

でも、オウムの信者たちは違う。
彼らはみんなオウムを受け入れた、受け入れる下地を持っていた人たち。その彼らが人生において持っていた自分が生きる世界への疑問だとか、生きることに対して向いてなさだとか、そういうところが自分と似ていて、文字通り他人事ではないと思い知らされる。

26pに書かれていた恋愛への考えなんてちょうど数日前に自分が思っていたことで、背筋が凍ったことをすごく覚えている。

彼らと自分たちが紙一重だということを自覚することからすべては始まると思うので、カルトが話題になっている今こそ読んでおきたい一冊。

恋愛制度、束縛の2500年史 古代ギリシャ・ローマから現代日本まで

この本は、私のなかで今も続いている(というか一生続きそうな)「ヨーロッパ的思考を内面化しようプロジェクト」の一環として4年ほど前に買った。

本屋さんで見つけたときに、目次を見て最初は買うかどうか悩んでいた。でも、「はじめに」を少し覗いてみると「Je t'aime」に触れられたすごく面白い箇所があって、「これは買うしかない!」とすぐにレジに向かったことを覚えている。

最近読んでいなくて、正直内容はそんなに覚えていないのだけれど、すごく面白かった記憶はあるし、この本すきだ!という想いは覚えているので今回選んでみた。

古代ギリシャの少年愛から、キリスト教と恋愛との関係、中世宮廷恋愛、ロマンティックラブなど幅広く恋愛について語られている。

ヨーロッパ文化を学ぶのにもおすすめできる本。今回パラパラとめくってみたら、今読んでもすごく面白そうだったので、わたしもまた読もうと思う。

以上、おすハラでした。みなさんの推し本も知りたいので、ぜひおすハラしてみてください。

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