【書評】奈倉有里著『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』
ロシアという国には、抗いがたい魅力がある。
隣国でありながらも決して東洋ではなく、ではヨーロッパかというと、ヨーロッパと聞いてわたしが真っ先に想起する西欧諸国とは、何かが決定的に違う気がする。独特な世界観を持った好奇心を刺激してくる国。そんなイメージを、いつの頃からか持っていた。そのせいかロシアと聞くとつい心惹かれてしまうところがある。
ロシアとウクライナとの戦争が始まって半年が経つ。この半年は、なおさらロシアがわからず、この大きくて、そして雪に包まれた隣の国のことをもっと