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【書評】エレファントヘッド/白井智之

五郎です。
とんでもないものを読んでしまった。

本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!
前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。
多重解決ミステリの極限!

Amazon商品ページより引用

「幸せを守る」という使命感に燃える男の話です。
「シスマ」という薬物と、数々の歪みがこじれていく様が見事でした。
ストーリーや謎解きは複雑ながらも、文章が非常に読みやすいため惹きこまれました。
初見の衝撃が素晴らしいので、できれば事前情報無しで読むのが一番楽しめると思います。

まず感じたのが、文章からにじみ出るドス黒い悪意!
限りなく露悪的というか、倫理観をかなぐり捨てたような内容が印象的でした。グロ描写が強いことも相まって、かなり人を選ぶ作品だと思います。

しかし、それでいてストーリーやトリックの構成は秀逸。
象山の平穏が、日常が、”正常”が崩れていき、ラストへ転がっていくさまは圧巻でした。作者の描写力も高く、伏線も巧みに張られているため読み応えは抜群。

正しいのは”誰”なのか、一体何が起きているのか。絶望的な内容に目を背けたくなりながらも、真相を求めてページをめくり続ける。
まさに抜け出せない薬物のような一冊でした。
オススメです。


以上、書評でした。
私はしばらく読み返したくありません。


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