タイプ5の本質

タイプ5の本質って、結局「客観」なのだと思い始めている。
タイプ5は、どこまでも「客観」であると。
タイプ5を一言で済まそうと思ったら「客観」だということだ(後述しているが、それは「傍観」と重なりあった「客観」だと見ている)。

エニアグラムのタイプ5は、『考える人(ドン・リチャード・リソ)』『傍観者(ヘレン・パーマー)』『観察者(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』とも言われる性格タイプ。

それで、多くの人は、分かりやすい表現である『考える人』だとか、そういった類の言葉でもって性格タイプを判別しようとしている。
でも、そういった人の多くはタイプ5の別の側面、『傍観者』『観察者』を無視する傾向があるように思える。


タイプ5を『考える人』と言ったリソですら、以下のようにタイプ5を書いている。

「タイプ5はどちらかというと判断力に欠ける」
「通常のタイプ5は他人のほめ言葉をほとんど気にしない」
「通常のタイプ5は自分の仕事や発見を隠して話したがらない」
「タイプ5は往々にして、打ち解けず、変わり者で、他人から孤立し、社会の基準に合わせようなどという気はまったくない」
「実利主義的な考え方をする通常のタイプ3は、どうすれば最も効率的な方法で目標を達成できるかを計算するが、これは、非実際的で好奇心で動くタイプ5にはまったく無縁のもの」

これらは、「客観」という言葉でもってまとめることができる(「考える」という言葉では、まとめることができない)。
「考える」から「判断力に欠ける」のではなく、
「客観」を維持して、当事者になることから逃げるから「判断力に欠ける」のだ。
「考える」から「他人のほめ言葉をほとんど気にしない」のではなく、
「客観」を維持しているから、当事者になることを避けているから結果として「他人のほめ言葉をほとんど気にしない」のだ。
「考える」から「自分の仕事や発見を隠して話したがらない」のではなく、
「客観」を維持したいから、自分を消す。自分を消そうとするから「自分の仕事や発見を隠して話したがらない」となる。もちろん当事者になることを避けている面もある。
「考える」から「打ち解けず、変わり者で、他人から孤立し、社会の基準に合わせようなどという気はまったくない」のではなく、
これらは極度に「客観」に特化したタイプ5の姿を表している。全てから切り離した態度になりがちだということである(それは、あえて言えば自分からも切り離す、自分にも他人行儀な態度となる)。
「考える」から実利主義的なものと無縁になるのではなく、
「客観」を保って物事に接する内に、「非実際的で好奇心で動く」ことになり、実利主義的なものと無縁となる。別の言い方をすれば、「客観」ゆえに「主体」となれないから、実利主義的なものと無縁になる。ということだ。


「客観」ゆえの『傍観者』『観察者』。
『考える人』よりも、『傍観者』『観察者』が先に来る。
先ほど、「「客観」ゆえの『傍観者』『観察者』」と書いたが、これは、『傍観者』『観察者』ゆえの「客観」かも知れない(「卵が先か、ニワトリが先か」的な話となるが・・)。
『観察者』でいたいから、自分が「観察」されるのを嫌がる。とにかく、『観察者』『傍観者』でいたがる。その延長線上に「客観」があるのかも知れない。
いずれにせよ、「客観」「傍観」「観察」は密接に結びついている。
これを無視してタイプ5を語る人が多い。

「知的好奇心」とか「思考」とか「考える」は、範囲が大きいものになる。
これでタイプ5をとらえようとすれば、本質を見失う。

タイプ5の本質は「客観」。それは「傍観」と紙一重のもの。というかタイプ5において両者は少しばかり重なっている(それは、自分にすら傍観で他人行儀であったりして、その延長線上に『他人に苦しみを打ち明けない人』『タイプ5は自分の説明が下手』があったりもする)。
まずそれらが始めにあって、状態が良ければ「観察」という面が見えてきて、その延長線上に「考える」とか「知的好奇心」が出て来だす。


だから、大抵のタイプ5は、ヘレン・パーマーの言うように『傍観者』であり、レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲルの言うように『観察者』となる。
それで、ときに、リソの言うように『考える人』として花開く。


リソがタイプ5を『考える人』と表現したことは良いことだと思っている(その中身の説明を読めば、先ほどのように、決して「考える」だけでは無いのだけど)。
リソが本を書いたアメリカは、タイプ3の国。
そしてタイプ3は、イメージで周りとの関係性を構築する。そのような文化の中で、「傍観」なんて言葉は嫌われるだろう。それよりは、より良い表現で語る必要も出てくる。だから、この表現を悪く言うつもりはない。


エニアグラムをやっている人は、いくつもある別名のうちから、当てはまるものだけで、性格タイプを判断しがちとなる。
だけども、
少なくともタイプ5に関しては、『考える人』と、『傍観者』と、『観察者』は、同じものを見て言っている。
これら全てを含んだものがタイプ5となる。

そして、その基本、根っこの本質は、どこまでも「客観」と「傍観」(状態が良ければ観察)なのだと私は見ている。



タイプ5・客観性・トレードオフ
イギリスのEU離脱はあれでいいと思っています 』『傍観者』『観察者』つながりで。

タイプ5と、タイプ4、タイプ6の関係は、『【エニアグラム用語】ウイング(ウィング)
タイプ5と、タイプ8の関係は、『【エニアグラム用語】統合と分裂
を参照のこと。

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