「頭の良いほど考えが遅いのかも」からタイプ5を考える

比較的良い表現だと『思考者』とも言われるエニアグラムのタイプ5(比較的悪い表現には『傍観者』があるが・・)。

私がエニアグラムを始めたころにワークショップにおいての講師の説明で印象に残っているのが、
「タイプ5に質問する場合、かさないでください。時間を取ってあげてください」
という発言でした。

今は「タイプ5は知者逡巡」だと思っていますが、
そのころの私は「頭が良いイコール答えがすぐに出る」と思っていたので「答えに時間がかかる」というタイプ5像は意外でした。



『サルより遅いヒトの脳処理 -進化するほど脳の回転は遅くなる!? - | 研究成果・実績 | 新潟大学脳研究所(脳研)』
https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/result/cihbs_bmr/001639.html
より

 "脳は大きいほど良い"というのが、脳進化の基本原理です。ただし、単にサイズが大きいことが大事なのではなく、脳の中の神経細胞の数が増えることこそが重要です。つまり正確には、"神経細胞の数は多いほど良い"ことになります。(略)
 しかし、ここで見落とされがちなのは、神経細胞の数が増えれば、それに比例して、一つの一連の脳処理にかかる総時間は長くなる(いわば、脳の回転が遅くなる)はずだということです。なぜなら、個々の神経細胞が入力を受けてから出力するまでの時間が、処理に参加する神経細胞の数だけ足し算で積み上がるからです。

これへの反論としては、「脳の神経は習熟度が増すに従い、簡略化が起こる」という話があったように思うのですが、それはさておき。

これを読むと「神経細胞が多い、もしくは神経細胞を多く使っている人ほど、思考速度は遅いのかも知れない」なんて思ってしまいます。
タイプ5の人物像のひとつに、「考え事で、上の空の教授」というものがあります。
「これは、考えに考えるから(それが積み上がって)思考速度としては遅くなってしまうタイプ5の姿なのかも知れないな」なんて思いました。

引用を続けます。

ヒトでは、どの動物よりも多くの神経細胞が処理に参加することで、どの動物よりも脳処理が遅くなっているはず

それで実際に調べてみたそうです。

音によって大脳の聴覚野から誘発されるN1と呼ばれる脳反応が、音の鳴り始めから何ミリ秒後に生じるかを調べました。

すると、

コモンマーモセットで40ミリ秒、
アカゲザルで50ミリ秒、
チンパンジーで60ミリ秒、
ヒトで100ミリ秒と、
脳が大きくなるほど(N1と呼ばれる脳反応が)遅くなり、ヒトで特に顕著に遅延していました。

という結果が出たそうです。

(音によって大脳の聴覚野から誘発される)N1の生じるタイミングが遅いということは、音を分析する時間窓が長いことを示唆します。実際に本研究グループは、聴覚処理の時間窓が、マカクザルよりヒトで長いことを示しています。
 時間窓が長いとは、視覚で例えるなら、視野が広いようなものです。すなわち、音の変化をストロボのように瞬間ごとでなく、一連のものとして大局的に捉えることができます。これは、言語音のように時間的に複雑に変化する音の分析に有利です。

ここでもまたエニアグラムの話をすると、『思考者』タイプ5は、この思考においての時間窓的なものが長いということが考えられます。

長く思考することは、複雑に変化する事象の分析に有利です。

『思考者』とも言われるタイプ5は、思考においての時間窓的なものが長いので、考えるスピードは遅い。ただし、思考においての時間窓的なものが長いことは複雑に変化する事象の分析に有利に働く。


元の文章を読みながら、そのようなことを考えたのでした。

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