適職、3つ目の要素と あるタイプ5ウイング4の話 あと武井壮

あるタイプ5ウイング4の人、ここではAさんと呼びます。
その人の話を書きたいと思います。

あわせて適職という話もします。


先に適職の話からします。
大まかな話をすれば、その人の適職は、性格の欲求に一致していて、能力もそれを満たしているものとなります。

性格の欲求に一致していないと、当人にストレスがかかりますし、仕事自体もいまひとつこなせないようです。

事務の仕事に就いたけど、会話が無い職場だったので嫌になっただとか。
これは、職種だけではなく、会社の文化や国の文化によっても違いが出てくるかも知れません。

外国の工場での話。日本だと黙々と働くところが、その外国の工場では会話しながら働いていたという話を聞いたことがあります。
会話するのが好きな人だと楽しいでしょうが、一方で、会話するのが苦手な人は、こういった環境がストレスになります。

これに良い悪いはありません。

あとは、性格の欲求に合致していれば、能力が無くても、給料が低くても、低ストレスなので、続ける人がいるかも知れません。
ただ、それが仕事だと叱責されるかも知れませんし、いずれ何らかの形で追い出される可能性はあります。


ここからタイプ5ウイング4のAさんの話です。
エニアグラムでは『偶像破壊者』とも言われるタイプ5ウイング4のAさん、職場ではなくてはならない人です。年長者ですが優し人なので、皆から慕われています。何か困ったことがあってAさんに相談すると親身に対応してくれます。困ったような疲れたような顔で笑みを浮かべて話を聞いてくれます。
Aさん自身は、困ったとき自己解決しているようで、誰かに相談する姿を見たことが無く、私だったら専門の人にお願いするような事を、ネットで調べて それを理解して仕事を黙々とこなしています。

ちなみにAさん、『偶像破壊者』な感じではありません。タイプ5ウイング4のもうひとつの別名『哲学者』でもありません。あえて言えば消極的な意味においての『哲学者』ではあります。つまり
「Philosopher」の訳語の「諦観者」に該当する人です。

Aさんは、興味をもっている事柄がいくつかあります。その話になるとにこにこと話の輪に加わります。積極的に発言するわけではありませんが、話をふられると自分の見解を話します。
そして話が興味のある事柄から変わっていくと、部外者になり無口になります。表情も存在もフェードアウトする感じです。

私はある日、Aさんに「本当にやりたいことは何ですか?」とたずねました。タイプ5ウイング4として本当にやりたいことは何なのかに興味をもったからです。
Aさんは「〇〇のことだけやってられたら最高だね」と答えました。

具体的には書けないのですが、少し表現を変えるなら、〇〇に入るのは「ヨーロッパのある国のある時代の列車」とか「日本の戦国時代の武士の槍(やり)」とか、そういった部類の言葉となります。
私は聞きながら、それは仕事にならないなあ、と思ってしまいました。研究職にしても あまりにもニッチすぎるし(狭すぎるし)、もうある程度調べられた分野のようにも感じたからです。
Aさんもそこは分かっています。たぶん。
だから今の仕事をしているのです。

Aさんにとって今の仕事が向いていないわけではありません。
Aさん自身は、この仕事に愛着があるようにも見えます。
いっぽうで、Aさんは、現在の仕事以外の資格も取っているそうです。これも、将来のことを考えて今から勉強しているのだそうです。
ただしそれらが本当にやりたい仕事かというと、そうではないわけです。

先ほど、適職とは、性格と能力だと書きましたが、もうひとつの要素があるようです。それは需要です。需要というか、くだけて言えば、それがお金になるか? という話です。

そういえば、
武井壮には、こんな話がありました。

大学1年の夏に陸上競技を始め、100m走のデビュー戦で10秒9を出しました。(略)

(途中で、陸上十種競技に転向し)競技歴2年半で、僕は日本インカレやグランプリ、日本選手権で優勝し、日本一になりました。この時出した100m走と400m走の記録は、当時の日本最高記録でした。

すぐに企業からオファーをいただいたのですが、提示された報酬が、一般的なサラリーマンとさほど変わらない額だった。正直、これには打ちのめされましたね。

なにしろ、同じ学年には野球ならイチロー選手(略)など、スポーツ界のスーパースターが大勢いる世代。短期間でこれだけの記録を出しているにもかかわらず、誰からも注目されない競技を選んでしまった。この業界で日本一のクオリティを備えているのに、これしか評価されないのか、と。マイナーな十種競技を選んでしまった自分の不勉強を思い知らされ、日本一になった翌日にどん底に落ちたような気持ちになりました。

難しい話です。

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