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このわたと日本酒。

能登の冬は美味しい。

鰤、鱈、鯵、烏賊、蟹、牡蠣、海鼠。

白菜、大根、ゆず、吊るし柿。

昨日は日曜日。

美味しい魚を食べたくて近所の寿司屋へ行った。

店内に入ると、お客様は2人連れの1組だけ。

「今日は魚が少ないんですよ。ごめんなさいね〜」と、女将さん。

ガラスケースの中を覗くと、なるほどいつもより少ない。

カウンターに座っておしぼりで手を拭き今日のお品書きを見ると、「このわた」の文字が真っ先に目に入った。

私の冬一番の好物だ。

夫がすかさず、「『このわた』があるよ。」と言う。

夫は『このわた』が嫌いだ。生臭いから嫌だと言う。

「そんな臭いものを食べる人の気が知れない」と失礼なことを言う。

私は、「こんな美味しいものを嫌うなんてもったいないわねぇ。」とやり返す。

そこへ、寿司屋の大将が、「わしもあんまり好きでないんだわ。うちの女房は好きなんだけどね。」と笑う。

注文したこのわたを運んできたおかみさんも笑う。

いい寿司屋だ。

昨夜も能登の地酒が美味かった。





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