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【一日一文】夏目漱石「人間食事の旨いのは幸福である」

9月23日。
英文学者・夏目漱石の「漱石日記」より、一文をご紹介します。

粥も旨い。ビスケットも旨い。オートミールも旨い。人間食事の旨いのは幸福である。その上大事にされて、顔まで人が洗ってくれる。糞小便の世話は無論の事。これをありがたいといわずんば何をかありがたいといわんや。医師一人、看護婦二人、妻と外に男一人附き添うて転地先にあるは華族様の贅沢也。

漱石日記より抜粋。


夏目漱石は修善寺で胃潰瘍療養中に、大量に吐血。九死に一生を得たのち、回復に向かう心境を日記につづっています。

食事のありがたさ
日常のありがたさ
命のありがたさ

看病の人々の献身に触れ、感謝の気持ちを記しているのです。

大病をして、生き永らえた経験をした方も多いと思います。救ってもらった命は、自分だけのものではありません。生きる原点を思い出しました。

長い禁食期間を経ていただく食事は、どれほどおいしかったことか。

今日は食事を楽しみ、食べるよろこびをかみしめたいと思います。
その先に幸福があると信じて。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。

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