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【一日一文】ル・コルジュジエ「色彩とは、生命のしるしである」

10月6日。
フランスの建築家ル・コルビュジエの「伽藍が白かったとき」より、一文をご紹介します。

色彩とは?
それは身体のなかにたくましくめぐる血である。色彩とは、生命のしるしである。庭や畠にある花には「古色」はない。空は天気の良いときには青い。鋤きおこされた土、立った岩、露わな「あらわな」地層などのくすんだ協和音は、冬のあと、春ごとに生まれかわる生の爆発の堅固な踏切台である。色彩!

「伽藍が白かったとき」より抜粋


「色彩とは、生命のしるしである」と断言しています。

色彩に対する記述がみずみずしく、心あらわれる読後感でした。

空の青さも、咲く花の鮮やかさも、四季を経て色彩が移りゆくさまも、すべては「生命」が宿った証なのです。

さらに「くすんだ協和音」への賛歌もつづられていました。身の回りへのあたたかい目線、色彩に対する感性の高さに、ただ敬服するのです。



ル・コルビュジエは、近代建築三大巨匠の一人。
鉄筋コンクリートを多用した建築群は、2016年に世界文化遺産に登録されました。

東京・上野の「国立西洋美術館」は、日本で鑑賞できる唯一のル・コルビュジエの建築作品です。「無限成長美術館」構想にもとづいた、らせん状の展示空間が印象的。

館内に点在するスリングチェアもまた、ル・コルビュジエの作品。スチールと黒革でデザインされた椅子は、見た目以上にリラックスできます。

打ちっぱなしコンクリートと黒革が印象的な空間。常設展の作品と合わせて、ゆっくり鑑賞したくなりました。後世まで引きつがれる建築空間で、ことばの叡智に思いをはせたいと思います。

ル・コルビュジエは書籍も多く執筆してます。
秋の夜長のおともに、一冊手にとってみてはいかがでしょうか。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。


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