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【一日一文】清少納言「雪は檜皮茸、いとめでたし」

1月16日。
平安中期の女房。歌人・随筆家の清少納言「枕草子」より、一文をご紹介します。

ただ過ぎに過ぐるもの、帆かけたる舟。人の齢(よはい)。春、夏、秋、冬。
   ※
雪は、檜皮茸(ひはだぶき)、いとめでたし。すこし消えがたになりたるほど。また、いと多うも降らぬが、瓦の目ごとに入りて、黒うまろに見えたる、いとをかし。
時雨・霰は、板屋。霜も、板屋。庭。

「枕草子」より引用

雪のある風景が、風情ゆたかに表現されています。平安時代につづられた随筆の中に、今も同じ風景を垣間見ることができるのです。

1月。都内では初雪のころ。神社に行けば、檜皮茸(ひはだぶき)につもる雪も見られるかもしれません。瓦の目ごとに雪が入りこめば、瓦の輪郭がぼやけて「まろ(丸く)」にみえるのも楽しみです。

白い雪と檜の皮。茶色い屋根に苔むす緑。自然に生まれた色がそれぞれ隣り合い、さらなる美しさを引き立てているようです。

霰(あられ)は庭や板屋がおすすめなのですね。最近の霰(あられ)は大きくて当たると危険なので、降り始めたら軒先にダッシュです。音色を楽しむ風情はどこへやら。

それでも降る雪は、私たちを非日常へいざなってくれるように感じます。

(追記)
清少納言は、2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」にも登場します。どんな描かれ方をするのか、興味津々ですね。楽しみ。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。


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