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【一日一文】フランシス・ベーコン「少しばかりの書物がよく噛んで消化すべきものである」

1月22日。

「知は力なり」の格言で知られたイギリスの哲学者フランシス・ベーコンの随想集から、一文をご紹介します。

ある書物はちょっと味わってみるべきであり、他の書物は呑み込むべきであり、少しばかりの書物がよく噛んで消化すべきものである。すなわち、ある書物はほんの一部だけ読むべきであり、他の書物は読むべきではあるが、念入りにしなくてよく、少しばかりの書物が隅々まで熱心に注意深く読むべきものである。

『ベーコン随想集』より抜粋


ベーコンは帰納法を提唱した人物として知られています。帰納法とは、「一切の先入観・偏見を取り去り、経験(観察と実験)を唯一の源泉とする思考方法」です。

ベーコンは、「経験」に重きをおいています。

読書もまた、ひとつの経験です。人の心をゆたかにしたり、新たな知識を得たり、世界を広げる一翼を担ってくれます。経験を得て、私たちは思考し新たな行動に移せるのです。

「よく噛んで消化すべき書物」は少ないと、ベーコンは断言します。書物との付き合い方を示唆してくれます。自分にとっての良書を見極めることが、何より大切です。

書物から、なにを受け取りたいのか。
書物から、なにを学びたいのか。
自問しながら、書物と向き合うこと。

すべての本を精読する必要はありません。時は有限です。今の自分にとっての良書を見出せるよう、知恵を育みたいと思うのです。

よく噛んで消化すべき書物と出会えたら、幸せでしょうね。読む瞬間も、読み終えた後も幸せがつづくと感じられるのです。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。

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