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Interviews by Mitsutaka Nagira

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音楽評論家 柳樂光隆による国内外のアーティストのインタビュー記事が読めます。
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#アフロブラジレイロ

interview Lourenco Rebetez:レチエレスの音楽ではオーケストラの中でリズムが爆発するように多くの音と交わる

僕がブラジルの音楽の中でもアフロブラジレイロの音楽へ関心を強く持ったきっかけは、2016年にロウレンソ・ヘベッチスという作曲家でギタリストが発表したアルバム『O Corpo de Dentro』だった。 ギタリストとしてはカート・ローゼンウィンケル以降の現代ジャズのスタイルもあれば、アイザイア・シャーキー的なネオソウルのギターも聴こえていた。つまり、2010年代におけるギタリストの必修科目と言えるスタイルを兼ね備えていると感じられた。また作曲の面ではギター・カルテットを核に

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interview SYLVIO FRAGA:現代アフロブラジレイロ・ジャズの気鋭レーベルを率いる奇才が語るホシナンチとレチエレス

これまで歴史は欧米の白人中心の視点や価値観で書かれてきた。それをアフリカ系やアジア系も含めたあらゆる人々の視点も考慮した上で、再び編み直そうという試みが世界中で増えていることは多くの人が感じていることだろう。それは音楽においてもかなり顕著で、過小評価されてきたり、失われていたヘリテージ(文化遺産)の価値を引き上げ、ふさわしい評価を与えようとする流れは年を追うごとに強まっている。アメリカの状況を追っていると、アフリカ系アメリカ人によるヘリテージの価値を見直す動きは日々行われてい

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interview JOSE ARIMATEA - Brejo Das Almas:バイーア×モーダルの新たなアフロブラジレイロ・ジャズ

ブラジルのリオデジャネイロにあるホシナンチは今、最も面白いレーベルのひとつだと思う。 ホシナンチはシンガー・ソングライターでギタリスト、詩人で作家でもあるシルヴィオ・フラーガが2010年代に設立し、運営している新しいレーベルだ。リオに構えた自身のスタジオを拠点に、レーベル独自のサウンドを追求している。様々な作品をリリースしているが、レーベルのイメージを大きく高めたのは2019年から始まったレチエレス・レイチ関連作のリリースだろう。シルヴィオとレチエレス・レイチのコラボによる

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interview Àbáse - Laroyê: カンドンブレからバイレファンキまで。ブラジルの今を捉えた音によるドキュメンタリー

Abaseは謎のプロジェクトだった。 僕は2019年にリリースされた『Invocation』で知った。アフロビートへの造詣の深さが聴こえてくるし、演奏もプロダクションもクオリティが高く、すぐに愛聴盤になった。ただ、Abaseを主宰するSzabolcs Bognárの活動拠点がUSでもUKでもなく、ハンガリーってこともあり、彼がどんなミュージシャンなのかの情報はほとんどなく、よくわからないままだった。 2021年には『Laroye』をリリースする。アフロビート系のプロジェク

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Interview Marcelo Galter:アフロブラジル音楽において重要なのはメロディやリズムだけでなく独特の訛り

アマロ・フレイタスのインタビューを機に僕はブラジル北東部バイーア州やペルナンブーコ州のアフリカ系ブラジル人=アフロブラジレイロの音楽をリサーチしている。少しずつではあるがようやく彼らの音楽のことが見えてきた。 そもそも僕は彼の音楽にブラジル音楽のローカルな部分と、現代的でユニバーサルな部分が同居しているところに関心を持っていた。 西アフリカのヨルバに由来するブラジルの宗教音楽カンドンブレがあらゆるブラジル音楽の源流であることにフォーカスしつつも、そのカンドンブレ由来の要

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Interview Orkestra Rumpilezz:about "Moacir de Todos os Santos" & Letieres Leite - レチエレス・レイチによるアフロブラジル音楽の革新

イギリスのシャバカ・ハッチングスやアメリカのクリスチャン・スコットといったジャズ・ミュージシャンたちが“ディアスポラ”について話をしていたことがある。 奴隷として連れてこられたアフリカ人の末裔であり、現在のイギリスやアメリカを生きるシャバカやクリスチャンは、ロンドンもしくはニューオーリンズからカリブ海を経て西アフリカへと、自らの祖先に思いを馳せるようにルーツを遡るような音楽を構想し、演奏する。ゴスペルやセカンドライン、カリプソやレゲエ、アフロビート、サンテリアやブードゥー

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interview AMARO FREITAS『Sankofa』:我々黒人の祖先、自然、そして、音から受け継がれるものを讃える音楽

2010年代にブラジル音楽が面白くなっているという話はアントニ・ロウレイロらが話題になったこともあり、それなりに少なくない人が知っている話かもしれない。 彼らの特徴としては、21世紀以降のジャズの文脈を押さえていたこと。その結果、前述のロウレイロやペドロ・マルチンスらがアメリカのジャズ・ミュージシャンたちとコラボするようになっていった。日本における”ブラジルの新しい世代によるジャズ”のイメージは彼らが担うようになっていた。 とはいえ、ブラジルは広い。才能豊かなミュージシャ

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