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Interviews by Mitsutaka Nagira

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音楽評論家 柳樂光隆による国内外のアーティストのインタビュー記事が読めます。
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#アメリカ

interview Joshua Redman"Where Are We":ソフトでスロー、リリカルでメロディックに紡ぐアメリカの理想と現実(8,200字)

ジョシュア・レッドマンがブルーノートと契約したことには驚いたが、リリースした『ホエア・アー・ウィー』がまさかの歌ものだってのにはもっと驚いた。様々なチャレンジを行って、21世紀のジャズの道を切り開いてきたジョシュアだが、ヴォーカリストを加えての歌ものってのは彼のキャリアの中でも初めてだ。しかも、そこには定番のジャズ・スタンダードもあれば、ロックもあったりするカヴァーもの。これもまた驚きだった。 ただ、そこにひとひねりあるのがジョシュア・レッドマンだ。ただ過去の曲の演奏してい

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interview Antonio Sanchez:"Shift"で示したプロデューサーとしての進化とメキシコ人としてのルーツ

アントニオ・サンチェスといえば、2010年代以降のパット・メセニーの音楽に欠かせないパットの音楽の最重要パーツのひとつであり、世界最高のジャズ・ドラマーのひとり。 そんなアントニオは映画『Birdman』の音楽を担当し、そこから徐々に音楽性が変わってきた。 ドラムだけで様々なシーンの感情や意味を表現した前代未聞のサウンドトラックだった『Birdman』での作業はアントニオ・サンチェスに作品を作りこむことの魅力を発見させることになった。その結果、ひとりで多重録音と編集を駆使

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interview Shaun Martin - Empire Central:僕らダラスのシーンの合言葉は"Music for Booty&Brain"

スナーキー・パピーの『Empire Central』のテーマのひとつは だった。マイケル・リーグを始めとした主要メンバーはテキサス州のダラスのシーンで腕を磨き、ダラスでこのバンドをスタートさせた。という話はマイケル・リーグに語ってもらったのだが、ここでスナーキー・パピーの中の“ダラスらしさ=Dallas-ness”をもっと深く知りたくなった。そこで今回はスナーキー・パピーの鍵盤奏者ショーン・マーティンにも話を聞くことにした。 スナーキー・パピーのライプを観たことがある人な

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Interview Pasquale Grasso - Be-Bop!:パーカー、ガレスピー、そして師バリー・ハリスに捧げたビバップ曲集

まるでピアノを弾いているような音をギターで奏でるギタリストとして、シーンに衝撃を与えたパスクァーレ・グラッソ。 圧倒的なテクニックが注目されるパスクァーレだが、そのテクニックは彼が憧れるアート・テイタムやバド・パウエルの表現をギターで挑むために必要なテクニックであり、ある意味ではピアニストの2本の手をギターに置き換えるための最小限の、同時に機能的な演奏手法でもある。パスクァーレはそんな自身の想像上の音楽を具現化するために新たな奏法を開発し、それに合うサウンドを作り上げたわけ

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interview Pasquale Grasso『Pasquale Plays Duke』: デューク・エリントンの曲はミステリアスなほど僕のギターにハマるんだ

アート・テイタムやバド・パウエルのピアノのようにギターを弾きたいというアイデアを独自の奏法と発想で可能にしてしまった異端のギタリストのパスクァーレ・グラッソはデビュー以降、着々とストリーミングで音源をリリースしている。 アルバムとしては『Solo Masterpieces』、『Solo Ballad』、『Solo Standard』、『Solo Bud Powell』、EPだと『Solo Monk EP』、『Solo Bird EP』からクリスマス・ミニアルバムの『Solo

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interview THEO CROKER『BLK2LIFE || A FUTURE PAST』:過去と現在が繋がるブラックネスの円環

シオ・クローカーはずっと注目されているトランぺッターだった。ただ、そのキャリアも音楽性もあまりに独特で、よくわからないところがあった。 そもそもそのキャリアを見てみると、レジェンドのドク・チータムの孫という出自のサラブレッドだが、アメリカの大学でジャズを学んで以降、キャリアの多くを上海で過ごし、そこでディーディー・ブリッジウォーターに発見され、再びアメリカはNYに拠点を移し、近年はさらにLAへと移住したという紆余曲折がある。 しかし、アメリカへの帰国後はすぐに頭角を現し、

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