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Interviews by Mitsutaka Nagira

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音楽評論家 柳樂光隆による国内外のアーティストのインタビュー記事が読めます。
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#ワールドミュージック

interview Kibrom Birhane:エチオピア由来の音階・リズム・楽器で作る21世紀のエチオ・ジャズ in LA

エチオピアン・ジャズ(=エチオ・ジャズ)のレジェンドのムラトゥ・アスタトゥケ(Mulatu Astatke)の存在はクラブシーンを中心に世界的に何度かの再評価がされていて、フジロックにも出演したり、その人気は日本にも波及していた。 近年はエマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルー(Emahoy Tsegue-Maryam Guebrou)、ハイル・メルギア(Hailu Mergia)、マームード・アーメッド(Mahmoud Ahmed)と言った名前も知名度上げつつある程度には徐々

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interview Becca Stevens & The Secret Trio:トルコ、アルメニア、マケドニアの糸が織り成す微分音と対位法のタペストリー

ベッカ・スティーブンスという人はわかるようでわからない音楽家だ。歌はめっちゃ上手い。引くぐらい上手い。そして、めちゃくちゃいい曲を書く。現代のジャズのあれこれの旨味をさりげなくまぶしたようなアレンジも巧みで彼女が書いた曲だってことがなぜかわかるくらいには強力な個性がある。ベッカ・スティーブンスの音楽には彼女のシグニチャーがあらゆる部分に刻まれていて、それらが機能している。にもかかわらず、やっていることはアルバムごとにいちいち異なる。多くの人がベッカの音楽を最初に聴いた『Wei

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interview AMARO FREITAS『Sankofa』:我々黒人の祖先、自然、そして、音から受け継がれるものを讃える音楽

2010年代にブラジル音楽が面白くなっているという話はアントニ・ロウレイロらが話題になったこともあり、それなりに少なくない人が知っている話かもしれない。 彼らの特徴としては、21世紀以降のジャズの文脈を押さえていたこと。その結果、前述のロウレイロやペドロ・マルチンスらがアメリカのジャズ・ミュージシャンたちとコラボするようになっていった。日本における”ブラジルの新しい世代によるジャズ”のイメージは彼らが担うようになっていた。 とはいえ、ブラジルは広い。才能豊かなミュージシャ

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interview Michael League『So Many Me』:ドラムセットは世界各地の打楽器の認識からすると異質なものだ

スナーキー・パピーのマイケル・リーグが初のソロ作品をリリースした。 マイケル・リーグと言えば、自身が率いるスナーキー・パピーやボカンテのツアーのために世界中を飛び回り続けていて、その合間にもデヴィッド・クロスビーやベッカ・スティーブンスなどなどのレコーディングに参加したり、プロデュースを手掛けたりと、休みなく動き続けていて、時間がない人という印象があった。 それにマイケルはスナーキー・パピーでも、ボカンテでも、たくさんのミュージシャンに囲まれながら、その場で生まれるハプニ

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interview Miguel Hiroshi『Oníriko Orinoko』:さまざまな音楽ジャンルのスタイルはすべて同じ言語の方言のようなものだ

僕はジャズ・ピアニストのシャイ・マエストロが好きなので、彼の参加作は逐一チェックをしている。そういう時にふと見つけたのがミゲル・ヒロシという謎の名前のミュージシャンと謎の名前のアルバム『Oníriko Orinoko』だった。 少し調べたら、どうやらスペイン人で、タイトルもスペイン語だということはわかったが、世界中の様々な音楽の要素が入っていて、様々な楽器が演奏されていて、わからないことはまだまだ多かった。ジャンルも国も特定しづらく、実に自由でハイブリッド。シャイ・マエスト

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