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Interviews by Mitsutaka Nagira

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音楽評論家 柳樂光隆による国内外のアーティストのインタビュー記事が読めます。
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#クラシック音楽

interview Taylor Eigsti:『Daylight At Midnight』からグラミー受賞、『Plot Armor』まで

21世紀以降のジャズを振り返って、特に印象的なアルバムをリストアップしていくとしたらテイラー・アイグスティ『Daylight At Midnight』は必ず入るだろう。 ルーファス・ウェインライト、ニック・ドレイク、エリオット・スミス、イモジェン・ヒープ、コールドプレイ、ミュートマスのカヴァーを含むこのアルバムにはジャズがより自由になり、どんどんハイブリッドになっていった2010年代のムードが完ぺきに収められている。ブラッド・メルドーがレディオヘッドやニック・ドレイクをピア

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interview Rafael Martini:そもそもブラジルの音楽はシステムから外れた方法で作られている

 2010年代初頭にブラジルの新世代が発見され、「ミナス新世代」として日本に紹介された。そのきっかけはマルチ奏者のアントニオ・ロウレイロ。彼の音楽の新鮮さはすぐにリスナーの間に広がり、彼と共演しているブラジルの同世代の豊かな才能たちが芋づる式に発見されていった。彼らの何人かは来日も果たしたし、アレシャンドリ・アンドレスやハファエル・マルチニらに関しては日本盤のリリースもあった。2010年代半ばには現代ジャズの最重要人物の一人でもあるギタリストのカート・ローゼンウィンケルが自作

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Interview Becca Stevens & Nathan Schram:ベッカ・スティーヴンスの曲を弦楽四重奏にリアレンジすること

インディー・クラシック系レーベルのニュー・アムステルダムからリリースされているネイサン・シュラムやティモ・アンドレスの作品にも起用されていたベッカ・スティーヴンスがクラシック音楽との相性がいいことは誰の目にも明らかだった。そもそもベッカは正確なピッチや豊か声量、圧倒的なテクニックのヴォーカリストだったわけで、だからこそ、ニュー・アムステルダムのリリースを追っていてもベッカの名を何度も見かけたわけだ。 そんなベッカが弦楽四重奏とのコラボでアルバム『BECCA STEVENS

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Interview Kit Downes - Vermillion:僕らが選んだのではなく、録音した環境が演奏を決定していた

キット・ダウンズはUKのジャズ・シーンでずっと注目されていた人だった。 1986年生まれのこのピアニストはパーセル・スクール・オブ・ミュージックとロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックで音楽を学び、ミュージシャンになり、2009年にリリースしたアコースティックなピアノトリオ・フォーマットのグループのキット・ダウンズ・トリオでのデビュー作『Golden』を発表。この『Golden』はいきなりマーキュリー・プライズにノミネートされる。The XXやマムフォード&サンズなどと並

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interview Pasquale Grasso:頭の中に描かれたものをギターという楽器を通して、僕だけのタッチで表現している

”YouTubeなどで注目を集め、パット・メセニーが絶賛していることで大きく話題になった新鋭ギタリスト”というメディアに書かれている新しさを強調された側面と、”エフェクターもルーパーも使わずにギター1本でバド・パウエルやチャーリー・パーカー、セロニアス・モンク由来のスタンダードを演奏する”というオーセンティックというよりはなんなら保守的にさえ見えてしまう側面は相反するものにも思えてしまいそうだが、パスクァーレ・グラッソの演奏を実際に聴けば、そのどちらも納得できるうえに、きわめ

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