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9. 山口県長門湯本に移住する(3):とらや商店

今日は、とらやさんの看板娘、フサコさんのお話。
 
「フサコさん、おはようございます!」
私が暮らすシェアハウスみかん荘から徒歩10秒、
よろず屋、とらや商店がある。
笑顔の素敵なフサコさんがいる。
 
地域の特産品、地物の野菜や果物、
とびっきり新鮮な天然のお魚にお惣菜。
なんでも揃うとらや商店だが、
一番の売り物はフサコさんの笑顔。

フサコさんと長門の隠れた名品「しらも」

湯本に人通りがあまりないときでも、
とらや商店には、必ずお客さんがいる。
買い物がてら、フサコさんに会いに来る人が多いから。
 
私もそのひとり。
一日の始まりに、人恋しい時や、
なんだかモヤモヤする時、
とらやに行って、フサコさんやお嬢さんのちぃちゃんと
おしゃべりすると元気が湧いてくる。
 
フサコさんは、萩焼深川窯のある三の瀬(そうのせ)の先、
四の瀬(しのせ)の出身。
二十歳の時にとらや商店にお嫁に来た。
 
当時、湯本には100人ほど芸子さんがいて、
お正月には、高島田を結って着飾った芸子さんが
湯本を練り歩いたそうだ。
 
とらや商店での毎日は、目が回るほど忙しく、
お姑さんは厳しい方だった。
単車で配達中に転倒してケガをしたこともある。
「辛かった。でも、そのお陰でたくさん学んだから、今の私がある」
とフサコさんは言う。
 
フサコさんの笑顔は、苦労が多くても、
小さな幸せを見落とさずに、感謝して来た人の笑顔。
毎日を丁寧に紡いでいる人の笑顔。
だから癒やされる、元気が出る。
 
お嬢さんのちぃちゃんは、フサコさんにそっくり。
面倒見がいいところも、笑顔も、ちゃんと受け継いでいる。
 
コンビニはどこにでもあるけど、
とらや商店の様なお店はどこにもない。
コンビニがなくて、とらや商店があるから、
湯本がいい。
 
昔からある、音信川沿いの散歩道や、まちの湯、
そして、とらや商店。
古き良きニッポンが残るまち。
 
私は、海外暮らしが長かったから、
尚更、湯本に感動する。
日本を訪れるインバウンドの方々も、
コンビニや、都会にいくらでもあるようなお店より、
古き良きニッポンを見て、体感したいはず。
 
フサコさんがこれからの湯本に願うことは、
旅人にも、まちの人にも、
嬉しいサービスが増えていくこと。
まちの人が、楽しく集える場所があって、
それを見た旅人が「又、湯本に来よう!」と
思ってくれるまちになることだ。

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