「キャリコンは稼げない?」の実態

※これはあくまで私個人の意見です。当然ながら様々な活動をされているキャリアコンサルタントの方がいらっしゃいます。

私自身が人材・人事関連のコミュニティに多く関わっているせいもありますが、国家資格キャリアコンサルタントを取得される方がだいぶ増えてきて、資格の認知も徐々に上がってきているかと思います。
そして、学んでいる方が一度は聞いたことがあるのではないかと思うのが、「キャリアコンサルタントは稼げない資格」という話。転じて「キャリアコンサルタントで独立は難しい」。
今日はそれについて、私なりの考えを書こうと思います。
キャリアコンサルタント自身がキャリアに悩む、というのも良く聞くので、少しでも参考になればと思っています。

さて、結論から言うと、私自身は「キャリアコンサルタントとして、キャリアカウンセリングだけを行うのでは稼げないし、独立も難しい」と思っています。
会社の人事部に所属して、組織内キャリアカウンセリングを行ったり、人材紹介会社でキャリアアドバイザーとして活動するのであれば、知識として持っていて損はない資格ですし、活躍の場は広いです。
ただ、あくまでキャリアコンサルタントとして独立、と考えると、個人向けのキャリアカウンセリングだけを行うのでは稼げないと思っているのです。

キャリアコンサルタントに限らず、どんな職業でも、to C(対個人)の仕事で安定して稼げるものってそんなに多くないと思っています。
キャリアコンサルタントの主業務はカウンセリングです。独立して、個人向けのカウンセリング一本で収入を得ようと考えた時、収入源は個人からの対価です。そしてカウンセリングをするのは自分。そうなると、どうしても報酬は自分の時間の切り売りでしかないため、価格設定が大事になります。
シミュレーションしてみます。

1日8時間×5日働いたとして、週40時間×4週=160時間
これがそのままカウンセリングの時間に充てられる・・・わけはなく、
ぎちぎちに1時間ずつカウンセリングを入れることなんてそうそうありません。
事前準備とカウンセリング記録のバッファを前後30分程度とったとして、だいたい1日4~5人担当できるのが限度でしょう。
そうなると、
1日4人×5日カウンセリングを担当したとして、週20件×4週=80件
仮にカウンセリング1件を3,000円と設定したら、
3,000円×80件=240,000円
カウンセリング1件を9,000円と設定したら、
9,000円×80件=720,000円
こうやって見ると、なんだ、けっこう稼げるじゃん、とも思えます。
でもこれはMAXの件数です。もちろん夜や土日も受けるのであれば時間は増えますが、時間だけでなく、集客も必要なわけです。
営業しなくてもじゃんじゃかカウンセリングの依頼が来るのであれば、上記の計算も大きく乖離はないのかもしれません。
ただ、ほとんどの場合、最初は集客に苦戦して波も大きいです。安定的にカウンセリングが入るようになったとしても、相当な知名度がないと、個人のキャリアコンサルタントにMAX件数のカウンセリングが入り続けることはおそらくないのではないかと思います。(常にキャンセル待ちで予約が取れないカリスマキャリアカウンセリング!みたいなイメージですね)
かつ、セミナーやレッスンのように一度に複数名集客できるわけではなく、常に1対1なので、どうしても自分の対応できる件数(クライアント一人あたり単価)=報酬となってしまうのです。

キャリアカウンセリングがしたくてキャリアコンサルタントを取得したのに、それだけだと独立は難しいのか・・・と私も一時期ちょっと思いましたが、行き着いた考えとしては、「収入源をキャリアカウンセリングだけに囚われる必要はない」ということです。
それはリスクヘッジしないといけないというわけでも、キャリアコンサルタントの資格を軽視しているわけでもなく、キャリアカウンセリング以外の場に身を置くことがキャリアコンサルタントとしての質を上げるために重要だと思うからです。

キャリアに関わる仕事をするキャリアコンサルタントは、個人にだけ寄り添っていればいいわけではありません。社会や世の中のことを知っているからこそ話に説得力が増すのであって、それは単に傾聴力・質問力のようなカウンセリングスキルを身につけるだけでは不十分だと思っています。個人にばかり焦点を当てているとどうしても浮世離れしてしまう怖さがあります。
ありのままでいいのよ、そのままの自分でいいのよ、だけでは社会では通用しないですよね。
もちろん、キャリアコンサルティング技能士等の資格や学術的アプローチを身につけることを否定するわけではないですが、私自身としては、そういったスキルの深耕だけでなく、常に他の知識・経験の拡大に時間を使いたいと思っています。その方が、相談者へ提示できる選択肢も多くなるし、相談者の状況の把握もよりしやすくなるからです。
なので、あえてキャリアカウンセリング一本での独立はせず、現に今も企業の採用支援との二足わらじで活動しています。おそらく今の企業側のクライアントとの契約が終わった後も何かしら企業向けの仕事をし続けます。採用支援や研修講師かもしれないし、営業代行かもしれないし、カスタマーサクセスかもしれない。とにかく意識して「キャリアコンサルタント兼〇〇」という仕事の仕方を選択し続けるつもりです。

人のキャリアの相談に乗るキャリアコンサルタントなのに、自分自身が先のキャリアが見えないなんて、悲しすぎますよね。
キャリアコンサルタントの資格を勉強している方は、ぜひその後のキャリアを見据えた上で取得してほしいですし、私の経験が参考になるのであればいくらでも相談に乗りたいと思っています。

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