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新卒で就活に失敗した結果入れてもらったお店の話

画像に特に意味はありません。自分のアルバムからピンときたものを拾って載せています。

今日、私が大学卒業後に入社したフレンチレストランが閉店したとの知らせがありました。
実際には1年の在籍期間の中で、本店で働けたのは数か月で、あとは空港店に行かされることになったのですが…それも良い思い出です。

そのレストランを知ったのは、とりあえず仕事を探さないといけないとタウンワークを見ているときだったので、一度も食べたことがないのに応募したのですが、そこで見かけてから応募し面接に行ったのが、シェフの誕生日。
いつも別れ際に握手をしてくれるシェフでした。

その頃の私は東京で暮らしたこともなかったし、フレンチで働くどころかそうした料理を食べた経験もほとんどなく無勉強、サービス業といってもファストフードやコンビニなどでのアルバイトしかしたことがありませんでした。
アルバイトの延長みたいな感じで入社できたはいいものの、厳しいことの多い日々でした。
サービスの基本もわからない、食材や料理の知識もない、社会経験も浅く気配りができない、会社(店)という組織の中での立ち回りもうまくない。

そんな私に、ちょっとした所作や歩き方、言葉遣いなどからサービスのことを教え、模範を示してくれた上司がいました。
その人は本当にワインが好きで、仕事中もお客様に対してワインのことを楽しそうに語り、散々テイスティングをするのに仕事が終わってからもワインを飲む。こだわりが強くて平静を装ってても感情が出やすく、気難しいように見えるけどその表情からは本当に好きでこの仕事をやっているんだということを感じました。いわゆる「初めての上司」がこの人で良かったと思います。

また、会社と店の柱・顔であり私の精神的支柱でもあったのがシェフです。
いちばん忙しい人なのに弱音を吐かない、店全体を見て誰よりも大きくはっきりとお客様への挨拶をする、私がテンパっているときに呼んで話をし、気づかせてくれる。私にもわかる説得力で、飲食店の、サービスの仕事というのはこういうことだと、その姿と言葉で伝えてくれました。
常にお客様を見た仕事をする、自分のもとで従業員が楽しく働けるように努め、お店の人と商品・サービスを誇る。
そういうことだったと思います。
お店が愛されたのはシェフの人柄もあり、そしてシェフの作る料理が魅力的であったからだと思います。
朝とお昼の賄いだけを楽しみになんとか働いていたときもありました。

当時は若かったのもあって、もうほとんど覚えていないけど毎日のように失敗したし上司やシェフに何かしら指摘されて、何も役に立たないのに休みも月に5,6日程度9時前から0時近くまで働く日々に、疲弊して無い自信がさらに無くなったものでした。
大きいミスは未だに思い出して自己嫌悪に苛まれます。
本当に仕事がつらいときは、通勤前の駅で泣いていました。

けど、そのときにすぐ辞めなくて、身体と心が持ちこたえてくれてよかったと思います。
辞めるほどの余裕もなかったというのも正直なところだけど。
仕事がつらいとき、耐えられる許容範囲って人によって違うだろうけど、
「環境がきついから」「仕事がつらくて」を越えずに辞めるのか、せめて越えようとしてから辞めるのかでは、やっぱり将来につながるものが違うと思います。
乗り越えようとするときに周りにいてくれる人が何を言い何をするかにもよりますが。

環境って案外会社に居たままでも変えられるし、変えられないとしても捉え方を変えることはできるし、最終的にある程度慣れるし。
つらい仕事って大体何にしてもあるし、だからこそ仕事になっているわけだから誇っていいことだし、「どんなつらさが我慢できないのか」の解像度を少しでも高めてから転職したほうがいい。
あと、目の前の仕事をやりきれるちからが自分にない、と思ったりもする。でもそれで辞めないといけないとしたら、人じゃなくてAIに頼めばいいですよね。自分が採用された時点でそこにいることの責任は自分と会社お互いにあるわけだから、何かしら言われるまでは、恐れず堂々と自分にできる最善を尽くせばいい。そのうちにできることが広がって、自分にしかできないことができていくものだと思います。

まあ、1年しかいなかったんですけどね。
退職した経緯などについては、また機会があれば書きます。

退職してからも1,2度訪れたことがあるお店、本当に大好きでした。
実家に戻ってからも機会を見つけて訪れたいと思っていたのですが、それができなくなってしまったようです。
シェフは「一期一会」という言葉を大切にしていました(今もだろうけど)
その出会いの中に私が混ざれたこと、幸せだと改めて思いました。

ありがとうございました。

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