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検察官の遺言/紫金陳

地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こした男のスーツケースから元検察官・江陽の遺体が発見された。男は著名な弁護士・張超で、自分の教え子だった江陽の殺害を自供する。だが初公判で、張超は突然自供を覆し、捜査は振り出しに。警察は再捜査を進める中で、死んだ江陽が12年前の溺死事件を追っていたことを知る。それは、社会を覆う巨悪と、信念を貫く検察官との壮絶な闘いの記録だった…。社会派ミステリの傑作。

相関図

【感想】
爆発騒ぎ→スーツケースから遺体の発見→初公判自白を覆すと始まりは派手に謎へ引っ張り込んでいく。10年前の冤罪事件から背後の悪へと話は拡がって。中国共産社会でどのような捜査が行われるのかが興味で読み始めたが,実際の事件をモチーフにしており,背景を知っておいた方がよかった。ん~動機は。政府関係者が力を持っているのはわかるが,そのあたりをもう少し知りたかったな。結末は,中国ならばこうなるかと変に腑に落ちた。構成は上手くできていると思う。関係者が食事に介して友好する,女性があまり描かれないとかに中国感を感じた。
巨悪の「悪」をもっと詳細に書いてくれるともう少し気が入るのだが。追う側主体で書かれているので,このあたりが薄い。

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