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no.27 発案 ― コンポーズ(構築)Ⅱ


資源を獲得するための目標


ピケティの経済書「21世紀の資本」で説明されているように、金融資産、土地・建物、さらには様々なマネー ゲームへの投資のリターンが、商品やサービスの生産への投資のリターンよりも大きく認識される場合、世界の富裕層の富の多くが直接社会を改善するためのエネルギーとしては使われなくなる。
 
さまざまなリソース、特に世界の富を活用するためには、「リスクはあるが、利益率を含む成功の報酬は大きい」「お金だけではない。これは価値のある、意味のあるベンチャーだ。」と人々に納得させることが重要だ。
 
プレゼンテーションをするとき リソースを獲得するために重要なことは、プレゼンテーションを誰に向けて行い、何を感じ行動してもらいたいかを明確にすることだ。特定の人へ向けてプレゼンテーションを準備する必要がある。
十分な準備とプレゼンテーションに際しての正しい態度は、それらの人々からのリソースをあなたに与えるだろう。
プロデューサーの情熱と自信ももちろん必要だが、もう一つ準備しておくべきことがあり、それが目標だ。
 
社内起業家としてのキャリアを持つある人は、取締役会に新しい商品の開発を提案すると、たいていの場合その提案はまず否決されると言う。しかし、却下はプロデュースのプロセスや提案内容を改めて考えさせられるチャンスでもあるのだ。提案が却下された場合は、その提案をより具体的なものにし、そのプロデュースの目標をより明確にする必要があるのだ。
抽象的な言葉を使うと、人々に「はい」と言ってもらうのは難しい。目標を示して具体的な提案をしてこそ、意見が得られる。 NoをYesに変える鍵だ。プロデューサーは、社長や取締役会メンバー(利害関係者)が期待するこのプロデュースの目標値を見つけて提示する必要があるのだ。
 
目的は抽象的な価値観や主観的な話で語られることが多いが、目標は具体的な数値である必要があり、実質的に定義する必要がある。そしてプレゼンテーションの段階で、プロデューサーはさまざまな利害関係者の特定の要求レベルを、嗅ぎわけ、見つけ出す必要がある。彼らが期待する目標のレベルはどうなのか? また、このプロデュースの目的に彼らが関心を持つに値する最低のターゲットラインは?あなたはそれを推測する必要がある。
 
利害関係者がプロデュースに求めるのは、彼らのメリットであるWinである。そして、この勝利は個人的なものであり、お金、地位、名誉などに関するものである。
見返りにお金を約束するには、プロデュースの成功、成長、収益性の確定が必要だ。また、地位を与えるには、特定の利害関係者がその組織で重要な役割を果たすことができるかどうかが問題である。誇りを感じ、満足してもらうためには、顧客や消費者の目から見た印象的で立派なプロデュースである必要がある。
これらは各利害関係者の主観的な概念だが、最初にプロデューサーはそれらの主観的根拠を調査し、プロデュースの目標と相乗性があるかどうかを検討する必要がある。経済的目標と社会的目標の両方を考慮する必要があるのだ。特に、この利害関係者のサポートがプロデュースに必須である場合、プロデューサーは利害関係者の利益に関連する目標を設計する必要がある。
 
(あなたのプロデュースに対するこの特定の利害関係者の利益を達成できないと思われる場合は、必要なサポートを提供できる別の利害関係者を探すか、この人が不可欠なリソースである場合は、その時点でプロデュースを放棄せねばならない可能性もある。)
 
また、そのような利害関係者を意識した目標を設定するときは、夢や希望に満ちたビジョンではなく、達成可能であることが重要だ。
ほとんどのプロデュースでは、自分以外にも同様の目的に挑戦しようとしている競合他社がいる。客観的に、自分の能力を分析し、達成できる目標を設定する必要があるのだ。(決して悲観的になるべきではないが)。
英語には「Over promise under deliver」と「Under promise over deliver」という表現がある。 「大きな約束をして達成できない」「小さな約束をして必ず達成する」という意味だ。
利害関係者からのサポートを入手したい場合は、まず、彼らがあなたの計画を聞いてくれるように、彼らからの一定の信頼が必要になる。
そのためには、「Under promise, over deliver」を継続することを常に念頭に置く必要があるのだ。
 
そして、目標を確実に達成するためには、投資なしで期待される結果と約束された目標との間のギャップを埋めるためのさまざまな手段を明確化し、常に準備する必要がある。この準備のために、プロデュースされる製品、サービス、および顧客と内部リソースの能力の可能性を計算しておく必要がある。
 
この計算は実行戦略の骨格になる。これについては、このテキストの後半で説明しよう。