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庭が理科教材の倉庫になる

自分は情報主任をやっていたり、情報科の授業を持っていたりするので、最近では情報の先生と思われることが多いのですが、元々は中学部の理科の教師です。
今年度は知的障がいを併せ持つ課程の理科も担当しています。

家を建てたとき、庭に理科の授業で使うと思われる植物を植えていました。
どのようなものがあるか、紹介したいと思います。
写真があるものは写真も載せていきます。

ユズ

特別支援学校学習指導要領(知的)では小学部生活科や中学部の理科に植物の栽培・動物の飼育がありますが、昆虫の飼育はなかなかできていないようです。
家の庭にユズを植えておけば、アゲハチョウがやってきます。
卵を見つけると学校へ持っていき、チョウになるまで観察します。

ユズの葉とアゲハチョウの幼虫

写真に写っているティッシュは、ユズと幼虫が乾燥しないように湿らせてあります。
実物投影機で拡大して見たり、静かにしていると葉を食べる音が聞こえたり、つつくと臭角を出したりするのを見ると、生命の神秘を感じることができます。
あと、目のように見えるのは模様で、本物の目は別のところにあることも、興味を引くところだと思います。

昆虫の飼育で大変なのは、毎日の世話でしょうか。
毎朝、ユズの葉を学校に持っていきます。
終齢幼虫になると葉をたくさん食べるので、量を見誤ると次の日にすねているように見えてかわいそうになります。

また、土日に学校に残しておくわけにいかないので家に持って帰るのですが、息子が虫かごから幼虫を出して遊んでいた、ということもありました。

あと、土曜日に羽化してしまったことも数回ありました。
その時は羽化の様子をビデオカメラで撮影し、庭で外に逃がしました。
スマホでの撮影もできますが、暗かったり撮影しにくい場所にいたりするので、ビデオカメラがあった方がいいです。

ユリ

特別支援学校の教員免許の領域追加で視覚障害領域の講習を受講したときに、
「ユリは花が大きいから、触ってつくりを調べるのに向いている」
という話を聞いたため、ヤマユリを植えていました。
肢体不自由の生徒でも、ユリなら容易に観察することができます。
何年か経ち、順調に株も増えたので、1人1つ調べても大丈夫な量の花が咲きます。

ユリ

注意点としては、花が開きすぎてしまうと葯が割れて花粉が出てきてしまい、服に付くと取りにくくなります。
花弁とがくの見た目がほとんど同じですが、つぼみと比較すると、どれが花弁でどれががくかが判別できます。
観察が終わってからも教室に置いておくと、ユリの香りが漂います。
ゆり根が食用になることも紹介するのもいいと思います。
オニユリだと、むかごを見せることができたなぁと思っています。

イヌワラビ

そこらにも生えていますが、自分は苗を購入しました。
根、茎、葉の区別、胞子の観察などに使えます。
一度植えれば地下茎や胞子でどんどん増えていきます。
自分はまだやっていませんが、前葉体の観察もやってみたいです。

ムラサキツユクサ

これもそこらに生えていますが、苗を購入しました。
葉を折って引っ張ると、表面の薄い皮が得られるので、細胞の観察ができます。
また、花粉管の観察にも使えます。
強いので、一度植えればどんどん増えていきます。
種子がこぼれて別の場所にも生えてきます。

シソ

良い写真がなかった

うちの庭に勝手に生えてきました。
種子が小さいので、風で飛ばされてきたのでしょう。
においがあるので、重度の学級の授業でにおいを感じることもできます。
秋にかわいらしい花が咲きます。お刺身に沿えるやつです。
赤しそなら、色水づくりにも使えます。においますが。

スミレ

近所ではあまり見ないのですが、なぜかうちの庭にだけ生えています。
花や葉の形が変わっていておもしろい、ということもありますが、別の理由で役に立っています。
スミレはツマグロヒョウモンの大好物なのです。

ツマグロヒョウモン

幼虫は黒と赤でグロテスクなのですが、毒はありません。
さなぎは黒地に金色の点が混ざってきれいです。
成虫とのギャップに驚く生徒(教師)が多いです。

カラスノエンドウ

雑草ですが、よく見かけるので、生徒も知っていて損はないでしょう。
カラスノエンドウを引っ張って土から抜くと、根に粒がついているのが見えます。
これは根粒と呼ばれ、中に根粒菌が住んでいて、空気中の窒素から硝酸塩を作り出して養分として使うことができます。
実で草笛をやってみることもできます。
実が熟すと真っ黒になるのも、意外と知らない人がいます。

ヒメオドリコソウ

これもよく見かける雑草です。
名前を知っていて損は無いと思います。

ヒメオドリコソウと似ている植物にホトケノザがあります。
うちの庭にはヒメオドリコソウしか生えてないのですが、2つ並べて区別させるのも面白いと思います。
あと、シソ科の植物なので、葉をちぎるとにおいがします。

まとめ

庭からいろいろなものを持っていくと、生徒より一緒に授業に入っている教師の方が食いつきが良いことがよくあり、ついついしゃべりすぎてしまいます。
でも、その時の話を生徒が覚えていて、保護者から、
「子供が理科の話をしているのを聞いて、ちゃんと理科の授業をやってんだなぁと思ってびっくりした。」
と言われたことがあります。
生徒が興味を持てるような材料を、これからも用意していきたいと思います。

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