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LDL栄養相談のコツ

リクエストがあった、LDLの食事相談のコツについてまとめたいと思います!
基本的に、日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022が元になっています。PDFで読むことができますので、読んだことがない方はぜひ一度読んでみてください。


また、同じく日本動脈硬化学会から出ているコレステロールに関するQ&Aも参考になります。患者さんからよくある質問にも共通していますので、ぜひ、ご一読ください。

すでに読まれている方も多いと思いますが、佐々木敏先生の本にもとてもわかりやすく書いてありますので、まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください〜!


基本的な知識

・LDL-Cは7割ほど体で作られる 食事由来は3割
・家族歴がある場合は遺伝的にLDL-Cが上がりやすくなる可能性が高い
・女性の場合、閉経後にホルモンの影響で上がりやすい
・動物性の油で上がりやすい=冷えて固まる油
・炭水化物や砂糖そのものはLDL上昇には関係ない
・たまたま食べたものではなく、ほぼ毎日食べているものが関係している
・肥満or20歳の頃から10kg以上体重が増えている場合は、まずは減量が優先
・日本人の場合、揚げ物でLDLが上がる人は少数(患者さんが痩せていたらなおさら)
・時間栄養学によると、コレステロールは夜作られる
・LDL高値のリスクを知るためには、動脈硬化の検査(ABIやPWV)をクリニックでおこなったり、久山町スコアを用いることができる

上記情報を理解しておくことでアセスメントを失敗せずに、少ない食事変更で数値が改善します。
LDLの栄養相談では、50代以上の女性が多いです。閉経すると数値が上がりやすいので、その旨を最初に患者さんにお伝えするようにしています。また、体内で7割ほど作っているため、食事改善では限界がある人もいらっしゃることも伝えています。
糖尿病の方はインスリン分泌の影響を受けてLDLが上がりやすいことがわかっているため、そのことも理解した上で栄養相談をするようにしています。

栄養相談あるあるかもしれませんが、LDLが高くても、痛くも痒くもないので症状がないから大丈夫と思われる方も多いです。その時に、「LDLが高いとどのようなリスクがあるかご存知ですか?」と伺って、患者さんの病気の知識を確認したり、考えていただく時間にするようにしています。
そして、未治療の期間が長かったり、家族歴から脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高いと患者さんの病気に対する思いが変わることもあります。その時に、必要であれば動脈硬化の検査を受けていただいたり、逆に他の疾患がなければリスクが低いため経過観察する場合もあると思います。(※必ず主治医の指示を確認した上で行う)

(習慣的にたくさん食べると)高くなりやすい食品

乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、生クリーム、バター、ホエイプロテイン
肉の脂:バラ肉、鶏皮、ひき肉、豚こま、ウインナー、ベーコンなどの脂質が多い肉

菓子パン(アップルパイやデニッシュ)、焼き菓子(マドレーヌ、クッキー、フィナンシェ、カステラなどの焼き菓子)、洋菓子(シュークリーム、ケーキなど)
スナック菓子(チートスなど)

下げるための食品

(特にお刺身がDHAとEPAを失わずに食べることができるのでおすすめ)
食物繊維(野菜を増やすことで塩や油が増えてしまうのであれば、主食に雑穀を混ぜるのがおすすめ)
大豆製品(今食べているおかずに追加するのではなく、代わりに食べることがおすすめ)
亜麻仁油やエゴマ油(サラダ油やラードから置き換えるのであれば効果がある)

番外編

・上記にどれも当てはまらないけど夕食のたんぱく質が多い場合は、夕食のたんぱく質を減らすことで減量、減塩、たんぱく質が適量になり、数値が下がる(尿酸値が高い人は尿酸値も下がる)
・運動量が少ないとLDLが上がることがあるので、まずは気軽にできる運動を追加する(ラジオ体操、お散歩など)

具体的な指導の流れ

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