【Wine ワイン】Mâcon Villages Nouveau 2021

【Wine ワイン】Mâcon Villages Nouveau 2021

新酒といえばボージョレのお隣マコンの白も忘れずに!

■Producer (生産者)
⁃ Raoul Clerget

■Country / Region (生産国 / 地域)
⁃ A.O.C. Mâcon Villages Nouveau

■Variety (葡萄品種)
⁃ Chardonnay

■Pairing (ペアリング) 
⁃ Jambon Persillé ジャンボン・ペルシエ (ハムとパセリのゼリー寄せ)
⁃ Andouillette アンドゥイエット(粗粒ソーセージ)


■Bourgogne ブルゴーニュ 

■プロフィール
フランス北東部に位置するブルゴーニュは、ボルドーとともに、4世紀には銘醸地としての名声が確立された。しかしボルドーとは対照的に、ブルゴーニュでは基本的に単一の品種からワインが造られる。また中世以降、 キリスト教の修道会がワイン造りを洗練させた点でもボルドーとは異なる。
畑による個性の違いが顕著で、A.O.C.数は83を数える。

■歴史
ブルゴーニュのワイン造りが大きく発展するのは、ブルゴーニュに設立されたベネディクト派のクリュニィ会(909年設立)とシトー会(1098年設立)の両修道院による。 彼らは場所により個性の異なるワインが生まれることを見抜き、良いクリマ*を識別し、 さらにクロ・ド・ヴージョ (1115年)やクロ・ド・タール(1140年)など今日の銘醸畑を築いた。
当時はフランス・カペー王家出身のブルゴーニュ公爵が支配するブルゴーニュ公国であったが、 その血筋が途絶えた後、1363年にヴァロワ王家のフィリップ・ル・アルディ (フィリップ豪胆公)がブルゴーニュ公爵となる。以降4代にわたるヴァロワ王家のブルゴーニュ公の時代に、公国はその版図を、北方のフランドル地方(現在のベルギー北部)やオランダにまで伸ばし、最盛期を迎える。本家のフランス王家をしのぐ財力と政治力を持った歴代のブルゴーニュ公は、公国の外交の材料としてブルゴーニュワインを活用する。 このために一流の品質をワインに求めた。 例えば、1395年には、フィリップ豪胆公がブルゴーニュにガメイ種を植えることを禁じた。これはコート・ドールの土地では、 ガメイ種は収穫量が多くなり、凡庸なワインしか生み出さなかったためである。ブルゴーニュワインは、フランドルの港から欧州中に輸出され、ブルゴーニュ公国のもとで知名度が拡大した。
1477年、ブルゴーニュ公国は、クランス王国との戦いに敗れ、フランス王国に併合され、繁栄の時代が終わる。フランス宮廷では、17世紀にルイ14世の主治医が、ブルゴーニュの古いワインを王に処方することを命じ、これを機にフランス宮廷でもブルゴーニュワインが流行する。また修道院の力が衰退するにつれ、有力な貴族が畑を取得していく。その代表例が、1760年のコンティ公ルイ・フランソワ・ド・ブルボンによる、後にロマネ・コンティと呼ばれる畑の取得である。
フランス革命により多くの畑が国有化され、その後、新興の富裕層を中心に売却された。以降、 ブルゴーニュの畑の所有者は、相続と売却が繰り返され細分化していく。1935年のA.O.C.法の制定時には、 それまで優良と認識されていた多くのクリマが、A.O.C.として認められた。ブルゴーニュの歴史を刻み、多様性を生み出してきたブルゴーニュのクリマは、2015年、ユネスコの世界遺産に登録された。
なおボージョレは、ブルゴーニュ公国の支配下にはなかった。モルゴンの村の西方にあるボージュー村の大領主ベラールが、後にボージューの聖堂参事会教会となる教会を10世紀に建設する。このボージューの村の名前が後にボージョレとなり、ベラールの子孫がボージョレの領主となっていくが、彼らはフランス王権の支配下にあった。このためボージョレの歴史や文化は、 ブルゴーニュ公国のものとは異なる。17世紀、現在のクリュ・デュ・ボージョレとその周辺のワインはパリへと輸送され、評価されていた。クリュ・デュ・ボージョレの大半はA.O.C.法が制定すると程なくして、A.O.C.として次々と認められた。
*1:明確に規定された区画で、自然条件により、そこで生まれたワインに特別な個性が与えられる土地。



■文化
ブルゴーニュ公国の首都として栄華を極めたディジョン市の中心には、ブルゴーニュ公宮殿の建物が残り、 当時の繁栄をしのばせる。 3代目のフィリップ善良公の官房長であったニコラ・ロランがボーヌに建てた慈善施療院「オテルデュー」の屋根の三色瓦は、フランドル地方から伝わったもので、人目を引く独特のものである。またこの地域には、 クュニィ会、シトー会の影響で、ロマネスク建築の教会も多く残されている。
ブルゴーニュ地域圏はコート・ドール、ソーヌ・エ・ロワール、ヨンヌ、ニエーヴルの4県で構成される(ボージョレのあるローヌ県は、ローヌ・アルプ地域圏に属する)。ワインはブルゴーニュ地域圏の主要な輸出産品である。その他に、 農産物加工業、治金、プラスチック成形加工などが輸出に強い。
2013年度のブルゴーニュワイン(ボージョレを除く)の販売量は1億8,500万本で、このうち輸出の比率は50%と、フランスのワイン産地の中で、輪出比率が最も高い。日本は、数量金額ともに第3位の市場である。
ブルゴーニュワイン業界は、3,900軒のドメーヌ、300軒のネゴシアン、17軒の協同組合で成り立っている(データ出典:ブルゴーニュワイン委員会、2013年度(2013/9-2014/8)実績)。



■気候風土
ヨンヌ県のオーセールの近隣に広がるシャブリ地区とグラン・オーセロワ地区。 少し離れてコート・ドール県のディジョンから南、約50kmにわたり細長く続く丘陵の斜面にコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌ の地区が広がる。両地区を合わせてコート・ドール(黄金の丘)と呼ぶ。その南にはコート・シャロネーズ地区、マコネ地区と続く。この両地区はソーヌ・エ・ロワール県となるが県名のとおり、ヴォージュ山脈を水源とするソーヌ川の西側に産地が広がる。最も南にはボージョレ地区が広がり、大都市リヨンへと続く。リヨンでソーヌ川は、アルプスを水源とするローヌ川と合流する。
北緯約46度(ボージョレ)から48度(シャブリ)に位置し、夏は暑く、冬は寒い半大陸性気候である。南部のコート・シャロネーズ地区、マコネ地区やボージョレ地区は北部よりも温暖である。北部に位置するシャブリやコート・ドールは遅霜の被害を受ける危険がある。
ブルゴーニュー帯は、ジュラ紀(約2億年~1億5千万年前)には浅く、温かい海に覆われていた。ブルゴーニュ地方の土壌は、この時期の海洋性生物の死骸が堆積して出来た石灰岩が母岩となっている。
コート・ドールやコート・シャロネーズ地区の赤ワインは、ピノ・ノワールから造られる。ピノ・ノワールは冷たく適度に水分を保つ、粘土石灰質の土壌に向いている。一方、 マコネ地区とボージョレ地区の赤ワインは、 ガメイから造られる。ガメイは特に、ボージョレ北部の花崗岩質を好む。
また、ブルゴーニュの白ワインの主要品種はシャルドネで、ピノ・ノワール同様粘土石灰質の土壌に適している。
A.O.C.の数はフランスで最も多く、レジョナル(地方名)、コミュナル(村名)、さらにグラン・クリュ(特級畑)に分かれている。レジョナルがA.O.C.全体(*1)生産量の51%、コミュナル(プルミエ・クリュを含む)が47.5%、グラン・クリュが1.5%と頂点に立つ。
*1:ボージョレを除くブルゴーニュの全体の生産量、2010-2014年



■ワイン生産量
[ボージョレを除く5地区計]
(出典:ブルゴーニュワイン委員会 2010-2014年平均)
ワイン生産量1,400,000hℓ
(うち赤ロゼワイン29%、白ワイン61%、 クレマン・ド・ブルゴーニュ10%)
ブドウ栽培面積28,841ha

[ボージョレ地区] 
(出典:ボージョレワイン委員会 2013年実績)
ワイン生産量695,385hℓ
プドウ栽培面積16,572ha
*ブルゴーニュで造られるワインのほぼすべてがA.O.C.ワインである。



■主要ブドウ品種

[白ブドウ]
Chardonnay シャルドネ 発芽が早く、熟期も早い。灰色カビ病やウドンコ病などに弱い。 シャブリやコート・ドール、 コート・シャロネーズ、マコネで栽培される。

Aligoté アリゴテ 発芽が早く、熟期も早い。ブルゴーニュの村名A.O.C.で唯一、ブーズロンがこの品種のみを認めており、 また発泡性のクレマン・ド・ブルゴーニュにも使われる。


[黒ブドウ]
Pinot Noir ピノ・ノワール 発芽が早く、熟期も早い。 灰色カビ病に弱い。ブルゴーニュの日当たりの良い粘土石灰質の土壌で、上質の赤ワインを生み出す。

Gamay ガメイ 発芽が早く、熟期も早い。多くの実をならす傾向にある。果汁が白いガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブランは、 ボージョレの花崗岩質の土壌で、果実味豊かなワインを生み出す。
*ボージョレを除く5地区計では、シャルドネとピノ・ノワールが合計で、栽培面積の約80%を占める。



■地方料理と食材
Escargot à la Bourguignonne エスカルゴ・ア・ラ・ブルギニョンヌ (ブルゴーニュ風エスカルゴの殻焼き):シャブリ、 マコン (白)
Jambon Persillé ジャンボン・ペルシエ (ハムとパセリのゼリー寄せ): マコン(白)、ボージョレ
Andouillette au Chablis アンドゥイエット・オゥ・シャブリ (シャブリ風粗粒ソーセージ)
Cog au Vin コック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮):ジュヴレシャンベルタン
Beuf Bourguignon ブッフ・ブルギニョン (牛肉の赤ワイン煮):コート·ドールの赤
Euf en Meurette ウフ・アン・ムーレット(赤ワイン仕立てポーチドエッグ):コート・ドールの軽めの赤
Quenelle de Brochet クネル・ド・ブロッシェ(川かますのクネル):プイイ・フュイッセ
Epoisses エポワス(A.O.P.チーズ、牛乳、ウォッシュ、熟成中マール・ド・ブルゴーニュで洗う)
Charolais シャロレ(A.O.P.チーズ、山羊乳、シェーヴル、樽栓形)
Máconnais マコネ(A.O.P.チーズ、山羊乳、シェーヴル、円錐台形)



■ブルゴーニュ全域
ヨンヌ県、コートドール県、ソーヌ・エ・ロワール県、ローヌ県内の指定されたコミューン(市町村)で造ることができる。



■土壌
ボージョレを除くブルゴーニュ全域の95%が粘土石灰質の土壌である。シャブリやオーセロワ地域はキンメリッジ階やチトヌス階(以前はポートランド階と呼ばれていた)の石灰岩、コート・ドール地域はバジョース階やバス階、カローヴ階やオックスフォード階の石灰岩が母岩となり、ブドウ畑の表土には、さまざまな石灰岩や泥灰岩の石ころが見られる。ボージョレ地域は花崗岩質土壌が大部分を占める。



■主要なA.O.C.ワイン

Bourgogne ブルゴーニュ (赤、 ロゼ、 白)

Bourgogne Passe-Tout-Grains ブルゴーニュ・パストゥ・グラン   (赤、ロゼ)

Bourgogne Aligoté ブルゴーニュ・アリゴテ (白)

Crémant de Bourgogne クレマン・ド・ブルゴーニュ ( 発砲ロゼ、発泡白)

Bourgogne Gamay ブルゴーニュ・ガメイ (赤)

Coteaux Bourguignons コトー・ブルギニヨン (赤、ロゼ、白)

ブルゴーニュ・ガメイとコトー・ブルギニヨンは2011年11月22日付の政令で新たに認められた。ブルゴーニュ・ガメイは、ボージョレの大部分がブルゴーニュA.O.C.を名乗れなくなった見返りに、 クリュ・デュ・ボージョレのA.O.C.の地域のみを対象とする。コトー・ブルギニヨンは、これまでのA.O.C.ブルゴーニュ・グラン・オルディネールに取って代わった。クレマン・ド・ブルゴーニュは瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングワイン。

■マコネ地区Máconnais
コート・シャロネーズの南に、約50km近くにわたり続く広い丘陵地帯。北のコート・ドールよりもわずかに温暖で、土壌はシャルドネ種に適しており、生産量の約85%が白ワイン。コストパフォーマンスの高い、さわやかでフルーティなワインを産み出す。またガメイ種から、ロ当たりの軽やかな赤ワインも造られている。トゥルニュスからマコン市までの西側に位置する広い範囲で造られるのが、この地区のレジョナルのA.O.C.で、マコン、マコンにコミューン名を付記したA.O.C.、そしてマコン・ヴィラージュ。さらにコミューン名のA.O.C.で、プイイ・フュイッセ、プイイ・ヴァンゼル、プイイ・ロッシェ、サン・ヴェラン、ヴィレ・クレッセがある。プルミエ・クリュ、グラン・クリュはない。

■主要なA.O.C.ワイン
[マコネ地区のレジョナルのアペラシオン]
マコンMácon(赤、白、ロゼ)
マコンMácon+コミューン(赤、白、ロゼ)
マコン・ヴィラージュMácon-Villages(白)
マコネ地区のほぼ全域で造られるレジョナルのA.O.C.がマコンである。さらに、指定されたコミューンで、規定の条件に従って造られた場合は、マコンの後ろにコミューン名を付記することができる(白は26コミューン、赤ロゼは21コミューン)。マコン・ヴィラージュは白のみに認められたA.O.C.で、やはり指定されたコミューンで規定の条件を満たした場合に名乗ることができる。ブルゴーニュ北部よりも全般的に日照に恵まれ、力強い味わいのワインを生み出す。

[マコネ地区のコミュナルのアペラシオン]
ヴィレ・クレッセ Viré-Clessé(白)
ヴィレとクレッセの2つの村を中心に、南北に走る2つの丘陵に広がる。広大なA.O.C.マコン・ヴィラージュの中で、その秀逸さと共通性が認められ、1999年2月26日付の政令にて、コミュナルのA.O.C.として独立した。さらに2018年4月26日の政令により、残糖が4g / ℓを超え8g / ℓ未満のワインには〈demi-sec)、8g / ℓ以上18g / ℓ以下のワインには(Levourté)と、Viré-Clesséの後に表記することが定められた。Viré-Clessé Levroutéは熟成期間が長く定められ、少なくとも収穫から2年目の2月1日まで熟成させなくてはならない。
プイイ・フュイッセ Pouilly-Fuissé(白)
プイイ・ロッシェ Pouilly-Loché(白)
プイイ・ヴァンゼル Pouilly-Vinzelles(白)Saint-Véran(白)サン・ヴェラン
ブルゴーニュ南部のシャルドネから造られる4つのコミュナルのA.O.C.。ブルゴーニュのコミュナルのA.O.C.で最大のプイイ・フュイッセは、標高500mあまりのヴェルジッソンとソリュトレの2つの岩山の裾野に広がる。ワインのスタイルは、厚みのあるものから繊細なものまで多彩である。プイイ・フュイッセに続いて規模の大きいコミュナルのA.O.C.サン・ヴェランは、プイイ・フェイッセの北側と南側に広がる。1971年に認められた比較的新しいA.O.C.で、それまで南部の白はボージョレ・ブラン、北部の白はマコン・ヴィラージュを名乗っていた。ちなみにSaint-Vérand サンヴェラン村(村名には最後に“ d "がつくが、A.O.C。名はdが落ちた)のワインは、サン・ヴェランのほか、今なおボージョレ・ブランもマコン・ヴィラージュも名乗ることができる。プイイ・フュイッセの東側にあるロッシェとヴァンゼルの村の周囲の畑は、規模は小さいものの、それぞれプイイ・ロッシェ、プイイ・ヴァンゼルという独立したA.O.C.が認められている。東向きの畑で日照に恵まれ、力強いスタイルのシャルドネが造られる。

参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier  

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