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Archiving, Home and Native Lands

コロナに翻弄されながら2021年も終わろうとしています。2022年はもう少し明るい年になることを願いながら、クリスマス休暇中のカリフォルニアで今年最後のNOTEです。ここに来てから、大学の課題と10月のインタビュー撮影の編集作業に取り組んでいます。編集は監督のお手伝い、アーカイブのリサーチと整理作業にほんの少しの応援作業を。まさに猫の手も借りたいような編集とアーカイブ整理、弱小プロダクションは学ぶことが多いのも、インディペンダントの醍醐味といえば醍醐味ですね。

私とママ友Aさんとのある会話から始まった、このドキュメンタリープロジェクト、Home and Native Land(s)には二人の主人公が登場します。前回の日系カナダ人ヘンリー・柴田さんとカナダ人のスチュアート・クーパー・ロビンソンさん。Aさんの叔父さん、スチュアートはとてもユニークな家族史を持つクーパー・ロビンソン家の一員です。

「栄子は日本人でしょう。私の母はカナダ人だけれど、日本で生まれて日本で育ったのよ。」

Aさんのこの一言から、クーパー・ロビンソン家の家族史に興味をそそられ、約10年以上の年月を経て、このドキュメンタリープロジェクトはスタートしました。

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スチュアートのおじいさん、ジョン・クーパー・ロビンソンは、明治21年、トロント大学ワイクリフ・カレッジの援助を受けて宣教師として日本の地を踏みました。それからスチュアートまでの三世代、クーパー・ロビンソン家は第二次世界大戦の戦況が厳しくなる1930年代の終わりまで、日本を自分たちのHome Landとして生活しました。当時珍しかった写真の技術を趣味として会得していたジョンは、歴史資料として貴重な明治時代の市井の人々の姿を写真に収め、その多くはバンクーバー市のブリテッシュ・コロンビア大学やトロント市のカナダアングリカン教会にアーカイブ資料として保存されています。その写真資料はガラス原版ネガの形でも保存されています。

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ドキュメンタリープロジェクトは、ある意味アーカイブ資料との戦いでもあります。それが歴史的テーマなら尚更、資料の発掘と真実に基づく正確さが問われるでしょう。2019年1月にスチュアートのご家族と会話を始め、私と監督は文字通りカナダの東から西まで国を横断して、アーカイブ資料のリサーチと探索に時間を費やしてきました。大学、学校、博物館、教会、図書館、個人所有資料、カナダ以外にも、アメリカ、日本とあらゆる場所でプロジェクト構成に必要な資料を探してきました。そして今、インタビュー映像の編集をしながら、さらなるアーカイブ整理に追われています。

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映画に使用するアーカイブ資料を、予算とにらめっこしながら探索する作業は、好奇心旺盛な私にとっては楽しい作業でもあります。まさにアーカイビングに始まり、アーカイビングに終わるドキュメンタリー映画制作。さて、来年は終わりが見えるでしょうか。2022年も、もう少し書き進めていきたいと思います。どうか、みなさん、良いお年をお迎えください。

[写真資料]

バナー写真:Stuart and Cooper Robinson Family in Japan, late 1920s, Jill Cooper Robinson Private Collection

写真1:John Cooper Robinson and Family on Motorcycles in Japan, 1920s,  Jill Cooper Robinson Private Collection

写真2:Japanese Slides of J.C. Robinson Collection, Anglican Church of Canada, General Synod Archives, Toronto, Canada (*M.S.C.C. stands for Missionary Society of the church of England in Canada)

写真3:Henry Shibata interview still, Alice Shin Productions



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