見出し画像

Summer in Italy 2022 Vol. 3

Firenze「フィレンツェ」なんといういい響き。 この言葉を聞くだけで、心は芸術が花開くイタリンアン・ルネッサンスに誘われます。英語ではフローレンス(Florence)。私はカナダトロント市で以前この名がついた通りに住んでいましたが、フィレンツェのほうが断然いい響きです。季節はすっかり冬、そして年末ですが、イタリアの旅最終章です。

Firenze とイタリアン・ルネッサンス

メディチ家の栄華と共に花開いたイタリアン・ルネッサンス、フィレンツェの街を歩くとそこかしこに残るメディチ家の残影に、莫大な富をもって芸術の繁栄を支えた歴史が見て取れます。フィレンツェでのメディチ家支配を確立したコジモ・デ・メディチから最後の直系といわれるアンナ・マリーア・ルイーザまで、メディチ家は約4世紀もの間フィレンツェを中心に栄え、アンナ・マリーアの死をもってメディチ家の血は絶えます。このアンナ・マリーアの「メディチ家のコレクション全てをフィレンツェの外へ持ち出すことを禁じ、一般に公開されること」という遺言をもって、現在私たちが観賞できる膨大なメディチ家コレクションはフィレンツェの財産として残されています。

ウフィツィ美術館 Galleria degli Uffizi  U字の形をした美術館の中庭

Galleria degli Uffizi 「オフィス」という名の美術館

「Uffizi」はイタリア語の「Ufficio 」の複数形「Uffici」の異綴語、ウフィツィもしくはウッフィッツィと発音します。1580年にジョルジョ・ヴァザーリの設計で完成した行政機関の事務所だった場所が現在、美術館になっています。ギリシャ建築ドーリア式の回廊の上に2階、3階部分が建築されたルネッサンス様式の建築物は巨大なU字の形をしています。初代トスカーナ大公であったコジモ一世は自らの住まい、ピッティ宮殿からヴェッキオ橋を渡る約1kmの通路も造らせました。ヴァザーリ回廊として知られるこの通路は、メディチ家の美術品コレクションが飾られた見事な廊下で、メディチ家直近の者しか出入りが許されなかったとか。(*バナー写真のヴェッキオ橋、2階部分は回廊の一部)ウフィツィ美術館でお世話になったガイドのフランチェスカさんは、「現在は非公開だけれど、改修が終われば一般公開されるはず。」と教えてくれました。

歴代メディチ家一族の肖像画が飾られた通路
アルノ川沿いのヴァザーリ回廊下を通って、ウフィツィ美術館へ

Palazzo Pitti & Galleria Palatina ピッティ宮殿

ウフィツィ美術館とヴァザーリ回廊でむすばれたアルノ川の向かい側にあるピッティ宮殿パラティーナ美術館など5つの美術館と博物館、世界遺産で有名なボーボリ庭園もここからアクセスできます。なんだかとても複雑そうなチケット購入方法はこちらの「ユアトリップ」というサイトがとても詳しく説明してくれてるので、ぜひ参考にしてください。私たちはイタリア在住の従姉妹ファミリーと落ち合ってフィレンツェの美術館巡りをしました。第一日曜日はタダ!というお得情報を教えてもらい、従姉妹と二人でパラティーナ美術館を巡り、この美術館で従姉妹の一番のお気に入りラファエロ・サンティの『小椅子の聖母』を鑑賞しました。王宮として使用されていたピッティ宮殿の2階部分にあり、荘厳な王宮の各部屋に絵画が所狭しと並んでいる、という感じなのでお目当ての絵画をみつけるのはちょっと困難です。従姉妹のもう一つのお目当ては黒衣のラファエロ自画像。『アテナイの学童』に描かれたラファエロ像との類似点が指摘されるこの自画像は、ラファエロの生地であるウルビーノ、ウルビーノ公爵とクラウディア・デ・メディチの娘であるヴィットーリア・デッラ・ローヴェレからレオナルド・デ・メディチ枢機卿への贈り物だったそうです。残念ながらパラティーナ美術館を訪れたときは、別の場所で展示中(と、お土産物屋のおじさんの説明)でした。

Madonna della Seggiola 『小椅子の聖母』
パラティーナ美術館からボーボリ庭園を望む

Galleria dell'Accademia di Firenze アカデミア美術館

こちらも第一日曜日フリーチケットを利用して入場した美術館。アカデミア美術館で有名なのは、ミケランジェロのダビデ像。「ダビデのトブリーナ」というこの像を展示するために設けられたスペースで、天窓からの光を浴びながらダビデ像は佇んでいます。巨大な大理石を前に何人もの彫刻家が作品制作に挑みましたが、制作は半ば断念、大理石も放置されたままでした。その大理石を旧約聖書のイスラエル王ダビデにと作り上げたのが、フィレンツェ共和国政府に依頼されたミケランジェロでした。ダビデ像はこのアカデミア美術館の像以外にも存在しますが、アカデミア美術館所蔵のダビデ像がミケランジェロ制作のオリジナル作品です。力強く石をもった手やハート形の瞳など、実物を360度様々な方向からじっくり眺めるのは、美術書で見るのとは違った体験です。

トブリーナの壁沿いにベンチが設けられているので、こんな方向からも観賞

Ristorante Artemide 山奥隠れ家レストラン

北イタリアベルガモに在住する従姉妹は英語で言うフーディー(Foody)、食に関しては並々ならぬ知識とパッションがあります。ベルガモで裏千家茶道の先生もこなす彼女、どこかに行くぞ!となるとそのリサーチ力で行く先の美味しいレストランを探してきます。フィレンツェで落ち合った日も、市内ではペスカトリアンの私のために美味しい魚介類レストラン、そして美術館散策後には、フィレンツェから数キロ離れた山奥レストランへと案内してくれました。Ristorante Artemide、ギリシャ神話のアルテミスという女神の名前がついたこのレストラン、Google Mapが間違っているんじゃないの?というくらい山の奥へ奥へと車を走らせ、着いた場所はポンタシエーべ(Pontassieve)というコムーネ(Comune:自治体)の完全に人里離れた山の中でした。私たちが着いた時はひっそり開店前でしたが、いざ開店となると、どこからやって来たのか多数のお客さんでテーブルは満席、そして食事をはじめるとその人気の秘密が分かりました。トスカニーらしいアウトドアの長いダイニングテーブルに、素朴だけれど美味しい料理が並べられ、地元ワインと共に頂いた大満足の夕食でした。

フランス語でいうところのCharcuterie Platter
生ハムや地元産チーズが並びます
レストランに暮らすネコもちょっと一休み

3回に分けて書いてきたSummer in Italy、ローマ、バチカン、トスカニー、フィレンツェの芸術と美味しい食事を満喫し、従姉妹家族にも会えた旅でした。次回は従姉妹の結婚式以来行っていない、ミラノとベルガモにも行ってみたいなあ、と思ってます。

Photographs in this article ©Eiko Kawabe Brown
Summer in Italy Vol. 1 & Vol. 2はこちらから!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?