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固定電話解約

私が一人暮らしを始めたのは大学院に進学したときなのですが、このときはまだ「携帯電話」などというものは存在しませんでした。家に電話を引くには「電話加入権」が必要で、なんと7万以上したのです。電話がない学生も珍しくありませんでした。

こちらからかける場合は公衆電話から連絡できても、逆は出来ない。通信手段が手紙だけというのはなかなか不便なものです。そこでなんとか7万円を捻出して電話加入権を獲得し、一人暮らしのアパートに電話を引いたのでした。

その後結婚して、その権利を使って新居に電話を引き、その後2度の引っ越しを経て今の家に至るわけですが。

オットも私もそれぞれ「携帯」電話を持っている現在となっては、固定電話の存在意義ってほとんどないのです。まず滅多に電話が鳴らないし、鳴ったとしてもほぼ100%勧誘。これって意味あるのかな、とはずっと思っていたのでした。

それとは別件で、家のネット環境が最近あまりよろしくなくて、つながるのですがどうも不安定なことが多かったのです。使えないわけではないのですが、たまにプツッと切れることがあって。

で、オットが業を煮やして「全面的に切り替える」と宣言。それを機に固定電話も解約することにしたのでした。宣言から行動は早くてあっという間に工事の人が来てプロバイダが変わり電話が外されていきました。試しにそれまでの固定電話の番号に電話したら例の「現在使われておりません」というメッセージが流れ、「ほへぇ」という変な声が出てしまいましたよ。

固定電話は使っていない、といってもですね。ごくまれに、本当にごくまれなのですが、FAXが来ることがあったのです。

私の両親は80歳を超えていますがありがたいことに2人とも元気。父は80歳どころか90歳に手が届こうかという年齢なのですが、割とアタラシモノ好きなので、パソコンもスマホも持っていてまあまあ使いこなしています(LINEでのやり取りもしている)。

一方母は完全アナログ人間で、パソコンも触れないしスマホなんてもってのほか。基本的に通信手段は電話なのですが、子供たち(私は三人きょうだい)に一斉にお知らせをしたい場合、その辺の紙に書いてFAXで送ってきていたのです(FAXはなぜか使える)。

そのFAXという通信手段が使えなくなるんだよなあ、と思うと残念な気もするのですが、最近は文書のやり取りは全部メールの添付ですから、職場でもFAXでのやり取りってほとんどないんですよね。

私が小学生か中学生の頃に、母の母(つまり祖母)が住んでいた家の最寄り駅が大々的にリニューアルされたんですよ。子供心には綺麗になってピカピカになって嬉しかったのですが、祖母としてはスッと駅に入れないし駅構内も広くなってしまって歩く距離も増え、非常に使いにくくなったらしいのです。それで「年寄りは死ねってことね」とぶつくさ言っていたのでした。

母はそういう悪態はつきませんけれど、世の中のテクノロジーの進化についていけない、ついていく気もないと、どんどん取り残されてしまうのだなあと心配になった次第。(私も他人事ではない・・・。)