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「レトロ喫茶おおどけい」を読んで

そりゃ生きてればいろいろ、壁にぶち当たることもあるし他の人と対立することもあるし自分の思うようにならないことありますよ。その都度、泣いたり落ち込んだり怒ったりしながら少しずつ這い上がって前に進むしかない。

そういう「生きづらさ」で胸がふさがっているときに、ちょっとしたキッカケで思いもよらない扉が開いたりすることって、まあ、確かにありますね。

この小説ではそんなキッカケを与えてくれる喫茶店の物語。面白いけど、こんな感じのお話は多いような気も、する。

最近は昭和レトロと称して「純喫茶」がちょっとブームになってます。一方で「流行ってるから」とにわかにソレっぽく作った「不純喫茶」もチラホラと目につきますね(苦笑)。

私自身はバリバリ昭和生まれの昭和育ちですが、こういう純喫茶に行く機会はほとんどなかったのです。なので実はミルクセーキとかナポリタンは大人になってから「知識として」知ったくらい。緑色の「クリームソーダ」はロッテリアにあったので、喫茶店というよりはロッテリアのイメージが強い。

私は落ち込むとひたすら落ち込んでしまうタチだったので、いつまでもイジイジウジウジと泣いて悩んでいました。下向きのスパイラルみたいなもので、思考もネガティブになってしまっているので全てのことがマイナスに思えてしまうのですよ。といってもふとしたタイミングで底を打つと少しずつ上がってくることが出来ていたのです。

仮に完全にネガティブスパイラルに陥っている私が、この小説の喫茶店に入ったとして、うまく「キッカケ」をつかんで上昇気流に乗れるのかなと想像すると、ちょっと微妙な気がするんですよ。キッカケって結局本人の意識なので、他人から与えてもらっても気づかなかったりつかめなかったりします。

なんとなく過去形で書いているのは、あんまり「落ち込むとひたすら落ち込む」ことがなくなってきたため。落ち込んでいるとやるべきことが回らないせいか、あまりいちいち引きずらなくなりました。忙しいというのも悪いことばかりではないのかもしれません(あるいはいちいち引きずるほどの体力と気力がなくなってきたせいかもしれない)。

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