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【詩】太陽の軌跡

日光は全てを等しく照らし
全ては地上に影を映す

恋人たちは
二人だけに聞こえる声で
そっと耳打ちをし合い
南の森へ向かった

恋人たちは森へ着いた
彼らが歩いている影を見ている
僕は慌てて本を閉じた
大きな木の株に腰かけ
恋人たちが接吻している影を見ている
ゆっくりと時間は流れる

僕はそっと立ち上がり
その場から逃れようとしたが
笹の葉たちが大きく揺れた時
恋人たちは僕の気配に気づき
足早にその場を去って行った

傍に大きな楢の木が一本立っている
その木漏れ日と影をしばらく見ていた
木の下には小川が流れ
微かなせせらぎが聞こえていた

笹の葉がどこか恥ずかし気に
風にそよいでいた
ドウダンツツジが情熱の赤に紅葉して
帰るものを見送っていた

日光は全てを等しく照らし
全ては地上に影を映す
その時 僕は
緩やかな太陽の軌跡を見ていた

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